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海外旅行に行くときは、一般に飛行機(旅客機)を使います。
現在のところ、交通機関としては断然高速で、これなしに世界を駆け巡ることはできません。
しかし改めて考えてみると、ライト兄弟が人類で初めて飛行機を飛ばしたのが 1903年。わずか1世紀前のことです。
大量輸送手段としての旅客機が出てきたのが 1950年代。そこからはたったの半世紀ちょっとです。
1970年代までは飛行機に乗るというのは、非常に特別なことで、しかも料金は庶民にとっても高嶺の花でした。
しかし、今や鉄道同様に便数も増え、料金も肩を並べるという身近な乗り物になりました。
その飛行機について、飛行に関する知識をまとめてみます。
もともと飛行機が発明された時の飛行動力は、エンジンでプロペラを回して飛ぶ「プロペラ機」の形態でした。
仕組みとしては、角度の付いた羽を数枚取り付けたプロペラを高速で回転させて、前方の空気を勢いよく吸い込んで後方に逃がして、推進力を得るというものです。
その後出てきたのが、ジェットエンジンを搭載した「ジェット機」です。
ジェットエンジンは、筒型の容器の内部で燃料を燃やし、それを後方に勢いよく噴射して、推進力を得るというものです。
やはりその構造から、速度的にも推進力的にもジェット機のほうがプロペラ機より勝りますので、旅客機としては、プロペラ機は中距離以下の国内線で使われ、ジェット機は国際線、国内線ともに幅広く使われています。
飛行機の燃料は「ジェット燃料」と呼ばれ、石油から取り出した揮発油や重油、灯油などを用途に応じてブレンドしたものです。
使うエンジンの種類に応じて、灯油に近いものになったり、ガソリンに近いものになったりします。
なお燃費は、プロペラ機の方がジェット機よりもいいということです。
旅客機は、基本的に高度10,000メートル付近を飛行します。
この高度はエベレスト山の高さよりも1,000メートル以上高く、飛行するのに障害物がないちょうどいい高度...という理由ではありません。
高度10,000メートルでは、気圧は地上の4分の1程度です。要するに空気がそれだけ薄くなっているということです。
空気が薄ければ、飛行機が飛ぶのに抵抗が少なくなります。
一方で、ジェット燃料を燃焼させるためには、空気(酸素)がある程度なければ十分な推進力が得られません。
この両者を最適に実現できるのが、高度10,000メートルであるというわけです。
なおこの高度は、飛行機の外側では地上の気温より60度低く、氷点下30度から50度といった気温になっています。
またこの高度は雨を降らせるような濃密な雲はあまりなくて、雲が発生している場合ははるか眼下に見えます。
但し、夏に発生する入道雲で極度に発達したものは、強烈な上昇気流でこの高度をはるかに超えて飛行ルート上に立ちはだかることがあります。
ゆっくりと自分の乗った機体が、空港建物から離れてのろのろと滑走路に向けて移動します。
滑走路の末端で機体をこれから滑走する方向にセットし、いったん停止します。もちろんこのときは速度 0km/h です。
そして全開したエンジン音高らかに、飛行機は高速で滑走をはじめます。
十分に滑走してふわっと機首が持ち上がり、離陸します。....
この時の速度は約 250km/h。ほぼ新幹線並みのスピードです。
飛行機は速度を上げながら上昇を続け、10〜20分後に10,000メートルの高度に達したころには、安定した運航速度になっています。
その速度は、900km/h 前後です。
たとえば、成田・ホノルル(ハワイ)間の飛行時間を見てみます。(距離 6213km)
行き(成田→ホノルル):6時間35分(平均速度 943km/h)
帰り(ホノルル→成田):9時間25分(平均速度 660km/h)
北半球と南半球のそれぞれちょうど真ん中あたり(北緯・南緯30〜60度あたり)の上空は、地球規模で常に帯状に西から東へ強風が吹いています。
その風速は台風もはるかにしのぐものです。
この強風帯のことを「偏西風」または「ジェット気流」と呼んでいます。
たとえ大型で強力な推進力を持つ旅客機といえども、この風に抗するのは大変なことです。
例題の日本とハワイを結ぶ便というのが、まさにその偏西風の真っただ中の路線ということになり、行きは強い追い風、帰りは強い向かい風の中を飛ぶことになり、これだけの時間差ができてしまうことになります。
日本から東方向、西方向に向かう国際線は、必ずこういう時間差ができています。
当然のことながら、南北へ向かう便についてはこの影響はほとんどありません。
たとえば、成田・ケアンズ(オーストラリア)間(距離 5881km)の飛行時間は、
行き(成田→ケアンズ):7時間40分(平均速度 767km/h)
帰り(ケアンズ→成田):7時間40分(平均速度 767km/h)
お分かりのように、日本から香港や東南アジア、南太平洋など、地図上で斜めのルートとなるような場合は、上記の中間の結果となることは言うまでもありません。
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