ロサンゼルス周辺(アメリカの観光地 9)
ロサンゼルスを中心とするアメリカ西海岸の南部は、夏は太陽が輝いて乾燥し、冬も温暖な地中海性気候の地で、陽気で、リベラルな雰囲気をもつ地域です。
メキシコなどの中南米、あるいはアジアからの移民が多く、住民は白人は半分で、3割がヒスパニック、1割がアジア系で、独特の多国籍の雰囲気があります。
ハリウッド、ディズニーランドなど、アメリカの娯楽産業が集結したような地で、日本でも人気も高い地域です。
ロサンゼルス
ロサンゼルス (Los Angeles) は、アメリカ西海岸、カリフォリニア州南部の人口380万人の大都市で、周辺人口を含めると1600万人の人が集まるアメリカ屈指の大都市です。
1781年に小さな村ができたのが最初で、スペイン、メキシコの支配を経て19世紀半ばにアメリカ帰属となりました。
20世紀に入ってから、油田発見による石油産業の発展、第二次大戦中の軍用飛行機生産、ハリウッドの映画産業の発展、さらに労働力としてのアジア系移民の受け入れなどで、数千人の町が一挙に大都市に成長しました。
温暖で雨が少なく、晴天が多い気候は年間を通じて旅行がしやすく、ハリウッドやディズニーランドといった映画産業の世界的中心地であり、エンターテインメント中心の旅行が楽しめる町です。
市街は広域にわたりますが、中心が「ダウンタウン (Downtown)」、その北西に「ハリウッド (Hollywood)」、ハリウッドの西に「ビバリー・ヒルズ (Beverly Hills)」、「サンタ・モニカ (Santa Monica)」と続く地域に主要な観光地があります。
市名はスペイン語の「天使」を意味しますが、読み方は英語で「ローサンジャラス」または「ロサンジャリーズ」、スペイン語で「ロサンヘレス」(いずれもアクセントは「サ」)です。「ロサンゼルス」、「ロサンジェルス」は日本語読みです。
また、日本では略称を「ロス」と言いますが、これはスペイン語の冠詞部分だけの読みで、現地では通じません。「LA」(エル・エイ)が正しい略称です。
ダウンタウン
- シビック・センター (Civic Center)
- ダウンタウンの中心にある連邦政府や州、郡、市などの庁舎、裁判所、警察署、郵便局など官公庁が集中する地域です。
「ウォルト・ディズニー・コンサート・ホール (Walt Disney Concert Hall)」や、「ミュージック・センター・コンプレックス (Music Center Complex)」などの文化施設も並んでいます。
- 市庁舎 (City Hall)
- シビック・センターの東にあるロサンゼルス市の庁舎です。1928年の建造、高さ138mで、頂上が日本の国会議事堂にそっくりです。27階の展望台から町を眺めることができます。
1994年の大地震で被害を受けて取り壊す予定でしたが、市民の要望で残され、歴史的建造物の指定を受けています。
映画の町らしく、「スーパーマン」のクラーク・ケントの勤める新聞社、「ダイ・ハード2」では警察署などとして、映画にたびたび登場しています。
- リトル・トーキョー (Little Tokyo)
- シビック・センターの南東側にある、アメリカ最大の日本人街です。
現在は実際の日系移民はほとんど郊外に移り、この地域は書店や日本料理レストラン、日系のホテルなどが集まる町となっています。
一角にある「全米日系人博物館 (Japanese American National Museum)」では、戦前の移住から戦後の復興に至る日系人の苦難の歴史を紹介しています。
日系人の生活の場ではなくなっているため、やや治安は悪いといわれています。
- オルベラ街 (Olvera Street)
- シビック・センターの東側にある地区で、1781年にスペイン総督が最初に村を築いたロサンゼルス発祥の地です。
メキシコの土産物やレストランが並び、メキシコ人も多く集まる賑やかな町です。
ロサンゼルス最古のメキシコの民家「アビラ・アドービ (Avila Adobe)」があり、内部が公開されています。
- チャイナ・タウン (Chinatown)
- オルベラ街の北にある中華街です。
世界各地にあるチャイナタウンと同様に中華料理や民芸品、日用品の店が並んでいますが、アメリカらしい広い街路に店が並んでいるため、狭い通りに人がひしめきあうイメージとは異なっています。
- 現代美術館 (Museum of Contemporary Art)
- シビック・センターの南西にある美術館で、通称は頭文字をとった「モカ(MOCA)」です。
1986年の開館で、20世紀後半のアメリカの現代作品を中心に収蔵します。レンガ造りの建物は日本の建築家・磯崎新氏の設計です。
ハリウッド
ハリウッド (Hollywood) は、ダウンタウンの北西10km、市街の北部に東西に横たわるサンタモニカ山脈の南麓にある町です。
ニューヨークやシカゴの大手映画業者が特許権のもとで独占行為を強める中、中小の制作者が新天地として1911年以降次々に集まるようになり、映画の町として急激に発展しました。
しかし近年は最盛期の20世紀中頃と比べて映画産業も下火になり、町の雰囲気も下町のようになってきたといわれます。
映画やテレビ番組の制作スタジオが集まり、関連するスポットが多くあります。
- チャイニーズ・シアター (Chinese Theater)
- ハリウッドの中心部にある1927年に開館の映画劇場です。
赤と緑の中国寺院風の建物で、ハリウッドの中心的な存在です。
常に新作映画が上映され、入り口の床にある映画スターの手型や足型が有名です。
- ハリウッド&ハイランド (Hollywood & Highland)
- チャイニーズ・シアターに隣接する、2001年にオープンした巨大な複合施設で、寂れつつあるハリウッド建て直しを期待して登場しました。
アカデミー賞の授賞式が行われる「ドルビー・シアター (Dolby Theatre)」を中心に、ホテルやレストラン、ショッピング・センターなどが入っています。
(「ドルビー・シアター」は当初は「コダック・シアター」でしたが、コダック社が2012年に倒産して命名権を喪失、ドルビー・ラボラトリーズ社が命名権を獲得しました。)
- ウォーク・オブ・フェイム (Walk of Fame)
- チャイニーズ・シアターが面するハリウッドのメインストリート「ハリウッド大通り (Hollywood Boulevard)」の歩道です。
約5kmにわたって、星型の敷石に映画スターやミュージシャン約2500人の名が刻まれています。
- ルーズベルト・ホテル (Roosevelt Hotel)
- チャイニーズ・シアターの南にあるハリウッドを代表するホテルです。
第1回アカデミー賞の晩餐会が開かれたことで有名で、当時はチャップリンなど当時のハリウッドの大物が出入りしたといわれています。
中2階にハリウッドの歴史の展示コーナーがあります。
- ハリウッド・サイン (Hollywood Sign)
- ハリウッド北東の山の山腹に立てられた「HOLLYWOOD」の文字サインです。
1文字は高さ14m、幅9mあり、晴れた日には40〜50km先からでも見えます。
元々は "Hollywoodland" という不動産会社の広告として1923年に13文字で建てられたものですが、後に "LAND" 部分が破損したため撤去されたものです。
老朽化のため1978年に全面建て替えが行われ、2005年に補修を行っています。
2007年には放火による山火事で、間近まで火の手が迫ったという事件がありました。
- ハリウッド・ボウル (Hollywood Bowl)
- ハリウッド中心街の北1kmの丘陵地にある野外劇場です。1922年の完成で1万7千人を収容します。
かつてフランク・シナトラ、ビートルズをはじめとする伝説的なアーティストが数多く公演を行っています。
現在も夏を中心に数多くのコンサートが開かれています。
- グリフィス天文台 (Griffith Observatory)
- ハリウッド中心街の北東4km、広大な「グリフィス公園 (Griffith Park)」内にある天文台です。
1935年の開設で、ロサンゼルスの夜景を見るスポットとして人気です。プラネタリウムも併設されています。
- ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド (Universal Studio Hollywood)
- ハリウッド中心街の北5kmの丘陵地帯にある映画のテーマパークです。
1915年に制作を開始したユニバーサル映画の撮影所を1964年にテーマパークとしたものです。
映画の主役を体験できるなど、撮影場面を再現したさまざまなアトラクションがあります。
- ファーマーズ・マーケット (Farmer's Market)
- ハリウッド南西のウェスト・ハリウッド地区にある市場です。
1930年代の大恐慌時代に近くの農家が農産物を持ち寄って開いたのが始まりで、昔ながらの市場の雰囲気が残り、観光名所になっています。
ウェスト・サイド(ハリウッドの西の地域)
- ビバリー・ヒルズ (Beverly Hills)
- ハリウッド中心街の西南西7kmにある高級住宅地で、ロサンゼルスに隣接する独立した市です。
有名スターや各界の成功者が多く住む町として知られ、豪邸が建ち並び、高級車ロールスロイスの所有台数が世界一といわれています。
- ロデオ・ドライブ (Rodeo Drive)
- ビバリー・ヒルズ市内の高級ショッピング街です。通り沿いに超一流のブティックが並んでいます。
「サンタモニカ大通り (Santa Monica Boulevard)」、「ウィルシャー大通り (Wilshire Boulevard)」が囲む1kmほどの三角形の地域はブティックやデパートが集まり、「ゴールデン・トライアングル」といわれます。
- センチュリー・シティ (Century City)
- ビバリー・ヒルズの南2km、近代的な高層ビルが建ち並ぶ地域です。
20世紀フォックスの映画撮影所だった敷地に、1960年代以降計画的な未来都市として建設されたものです。
オフィス、住居、ホテル、ショッピングセンターなどが揃っています。
- ウェストウッド (Westwood)
- ビバリー・ヒルズの西4km、カルフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) がある学生の町です。
キャンパスの出入りは自由で、大学生協でロゴ入りのグッズを買うことができます。
- ゲッティ・センター (Getty Center)
- ビバリー・ヒルズの北西10km、サンタモニカ山脈の丘の上にある美術館です。
石油王ポール・ゲッティが収集した美術品を展示し、教育・研究の施設も併設しています。
傑作といわれるものは少ないですが、中世の家具や室内装飾品は時代ごとの部屋で再現しています。
- サンタ・モニカ (Santa Monica)
- ビバリー・ヒルズの西南西10km、太平洋に臨むビーチ・リゾートです。
ローラー・スケート、ビーチ・バレー、サーフィンといったビーチ・スポーツ発祥の地です。高級レストランやショッピング・モールがあります。
ビーチに張り出す1908年建造の木造の桟橋「サンタモニカ・ピア (Santa Monica Pier)」は、その上に小さな遊園地がある人気のスポットです。
- マリーナ・デル・レイ (Marina del Rey)
- サンタ・モニカの南10kmにある世界最大のヨット・ハーバーです。1万隻以上のヨットやクルーザーが停泊しています。
レストランやギフトショップも多くあります。
ロサンゼルス近郊各地
- パサディナ (Pasadena)
- ロサンゼルスのダウンタウン北東15km、サンタモニカ山脈の麓にある町で、閑静な高級住宅地が広がっています。
「オールド・パサディナ (Old Pasadena)」はヨーロッパ風の面影を残す地域で、その東には新しいモール「パセオ・コロラド (Paseo Colorado)」やショッピング街の「レイク・アベニュー (Lake Avenue)」など気軽な散策スポットがあります。
町の北西には10万人を収容でき、毎年元日にカレッジ・フットボールの決勝戦が行われる「ローズ・ボール (Rose Bowl)」があります。
- ナッツ・ベリー・ファーム (Knott's Berry Farm)
- ロサンゼルスのダウンタウン南東30km、アナハイム (Anaheim) の北西部にあるテーマ・パークです。
イチゴ農園だったナッツ氏が、妻の販売するチキン・ディナーに長蛇の列ができ、その待ち時間を楽しんでもらおうと、1940年に農場内に開拓時代のゴーストタウンを再現したのが始まりです。
現在はゴーストタウンだけでなく、絶叫マシンなどの遊園地もあり、ルーツでもあるチキンディナーのレストランもあります。
1983年には、近くにあるディズニー・ランドに対抗してスヌーピーのキャラクターを導入しています。
ナッツ・ベリー・ファームの公式サイト(英語)
- ディズニーランド (Disneyland)
- ダウンタウンの南東40km、アナハイムにある世界のテーマパークの元祖ともいえる遊園地です。(ナッツ・ベリー・ファームの南東8kmにあります。)
1955年の開園で、「眠りの森の美女」の城を中心に60以上のアトラクションやショーが楽しめ、東京ディズニーランドに未上陸のアトラクションも多くあります。
2001年には南隣にカリフォルニアをテーマ・パーク化した「カリフォルニア・アドベンチャー(California Adventure)」がオープンしています。
カリフォルニア・ディズニーランドの公式サイト(日本語)
カリフォルニア州南部内陸部
- パーム・スプリングス (Palm Springs)
- ロサンゼルスの東150km、谷の砂漠に広がる広大なリゾート地です。
砂漠ながら気候は温暖で、世界的なヤシの産地でもあり、そのまま地名となっています。
地域に90以上のゴルフ場がある、全米でも有名なゴルフ天国で、ホテルやショッピングセンターなどもたくさんあります。
北西部にあるロープウェイ「パーム・スプリングス・エアリアル・トラム (Palm Springs Aerial Tram)」は360度回転式で景色を眺めながら展望台まで登ります。
市街には、砂漠の自然や砂漠に住むインディアンの歴史や生活を展示する「パーム・スプリングス砂漠博物館 (Palm Springs Desert Museum)」や砂漠の動植物を集めた「リビング・デザート (Living Desert)」などのスポットがあります。
- デス・バレー国立公園 (Death Valley National Park)
- ロサンゼルスの北東300km、カリフォルニア州からネバダ州にかけて広がる南北200km、幅20kmの広大な谷です。
かつての塩水湖が干上がったもので、大半が標高が海面下で中心部の海抜はマイナス86mです。極度の乾燥地帯で、夏には50度を越えることがあります。
塩分濃度の高い池「バッドウォーター (Badwater)」や、泥と塩の原野が広がる「悪魔のゴルフコース (Devil's Golf Course)」などのスポットがあります。
サンディエゴ周辺
サンディエゴ (San Diego) は、ロサンゼルスの南東200km、人口120万人のアメリカ西海岸の最南端に位置する町で、海軍基地が置かれています。町の南はメキシコ国境です。
1542年にポルトガル人が発見し、1769年にスペインが伝道所を建てたのが町の始まりです。
スペイン風の民家が建ち並び、住民の4分の1がヒスパニック系です。
温暖な気候、大都市ながら田舎風の土地柄、豊かな自然、治安のよさなど魅力のある町です。
- ダウンタウン (Downtown)
- サンディエゴ湾に面する町の中心街です。古い建物を生かしながら都市整備を行い、レトロな雰囲気の町並みが広がっています。
中心にはカラフルな建物で造られたモールがある「ホートン・プラザ (Horton Plaza)」、その南東のレトロで美しい建物が並び、カフェやレストランも多い「ガスランプ・クオーター (Gas Lamp Quarter)」など楽しく散策できるスポットがあります。
- バルボア公園 (Balboa Park)
- ダウンタウンの北東に広がる、2.5km四方の広大な公園です。1935年に開催のカリフォリニア・太平洋博覧会の会場を公園としたものです。
園内には多くの博物館や美術館など施設が点在し、スペイン植民地風の建物で目を引きます。
また園内にある「サンディエゴ動物園 (San Diego Zoo)」は、規模や動物の種類の面で世界最大級といわれ、世界中の800種、4千匹の動物を見ることができます。
- ホテル・デル・コロナド (Hotel del Coronado)
- ダウンタウンの南西、サンディエゴ湾(San Diego Bay)の1kmほどの水路を隔てて浮かぶコロナド島の南側にあるホテルです。
1888年に建てられ、歴代のアメリカ大統領が宿泊した格式あるホテルで、食堂の「クラウン・ルーム」には多くの大統領が演説した演壇があります。
エジソンの発明した電球を最初に採用、1920年代にはイギリスのエドワード王子が王位を投げうって人妻と結婚、など多くのドラマを生んだ舞台です。
- オールド・タウン (Old Town)
- ダウンタウンの北西6km、1769年にスペインのセラ神父が伝道所を建てた町の発祥地で、当時はスペイン軍が要塞も置きました。
当時の建物が復元された歴史公園になっており、メキシコの土産物屋やレストランが並んでいます。
- シー・ワールド (Sea World)
- オールド・タウンの西北西3.5km、サンディエゴ川 (San Diego River) 河口の沼地を再開発した海浜公園「ミッション・ベイ・パーク (Mission Bay Park)」の南側にある海のテーマパークです。
展示パビリオンや、シャチ、イルカなどによるさまざまなショーが行われます。
- ラ・ホヤ (La Jolla)
- オールド・タウンの北西15km、太平洋に臨むビーチ・リゾートです。美しい海岸に沿ってレストランやブティックなどが並びます。
子供用に造られた砂浜にはアザラシやアシカが棲みついています。
- ロマ岬 (Point Loma)
- ダウンタウンの西10km、コロナド島を北側から包み込むように延びる半島の南端にある岬です。
1542年にポルトガルの探検家ロドリゲス・ガブリヨが当地を発見して上陸した地です。
東にサンディエゴ市内や遠くメキシコの山々、西は太平洋を眺めることができます。ガブリヨの像や灯台もあります。
- ティファナ (Tijuana) 《メキシコ》
- サンディエゴの南25km、メキシコ国境を越えてすぐの町です。
町の中心にはカラフルな店や露店が建ち並び、メキシコの工芸品や革製品、アクセサリーなどが売られています。
アメリカからの客で成り立っているような町で、ホテルやレストランもあり手軽にメキシコの雰囲気が味わえます。
アメリカ側から入る場合はパスポートが必要です。
アメリカの観光地