ボストン,フィラデルフィア周辺(アメリカの観光地 2)
アメリカ東海岸の北部は、1776年の独立時の13州が連なる地域です。
特に北東端のメーン、ニューハンプシャー、バーモント、マサチューセッツ、ロードアイランド、コネチカットの6州は「ニューイングランド (New England)」といい、1620年にメイフラワー号で上陸したイギリスの清教徒たちが、新天地として名づけたものです。
ボストンやフィラデルフィアなどはアメリカの中での「古都」といわれる町で、特に歴史的なスポットが多く残っています。
現在のアメリカ政治のの中枢である首都ワシントンDC、経済や文化の中心である大都市ニューヨークもこの地域に入っています。
ボストン
ボストン (Boston) は、ニューヨークの北東300km、ニューイングランド地方の中央にあるマサチューセッツ州の州都です。
市街の人口は60万人ですが、周辺の都市圏では500万人が集中します。
1630年にイギリスから移住した清教徒が町を築いたのが始まりで、19世紀にはこの地方の中心地となりました。
アメリカ発祥の地で、イギリス風の町並みが残る観光都市であり、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学などがある学園都市でもあります。
ボストン中心部のアメリカ独立の頃の16の歴史スポットをつなげた観光ルートは、フリーダム・トレイル (Freedom Trail) と呼ばれます。
全長約4kmで、歩道につけられた赤い線をたどって歩きます。所要時間は約3時間です。(下記説明文末のカッコ番号が巡る順番です)
フリーダム・トレイル
- ボストン・コモン (Boston Common)
- ダウンタウンの中心にある公園で、17世紀の植民地時代から市民の集会や演説が行われた地です。
フリーダム・トレイルの出発点になります。(1)
- 州庁舎 (State House)
- ボストン・コモンの北、ビーコン・ヒル (Beacon Hill) に建つ金色のドームを持つ庁舎で、州議会議事堂があります。
独立戦争後の1798年に完成したものです。(2)
- パーク・ストリート教会 (Park Street Church)
- ボストン・コモンの東側、パーク通り沿いに建つ教会です。1810年の創建で、塔の先は珍しい八角形をしています。
1829年にアメリカで初めて奴隷制度反対の演説が行われたところです。(3)
- グラナリー墓地 (Granary Burying Ground)
- パーク・ストリート教会の北側に広がる墓地です。
独立戦争を戦った愛国者たちが葬られています。(4)
- キングス・チャペルと墓地 (King's Chapel and Burying Ground)
- パーク・ストリート教会の北東にある教会と墓地です。
清教徒の市民の猛反対を押し切ってイギリスの植民地政府が1688年に建設した英国国教会の教会です。(5)
- ベンジャミン・フランクリン像 (Benjamin Franklin Statue)
- キングス・チャペルのそばに立つ、政治家で物理学者だったベンジャミン・フランクリンの像です。
1777年に独立宣言の起草をした一人で、凧で雷が電気である実験をしたことでも知られます。
そばには1639年に設立されたアメリカ最古の小学校跡があります。(6)
- オールド・コーナー書店 (Old Corner Bookstore)
- キングス・チャペルの東にある建物で、ホーソン、エマーソンなど著名な文学者が集まって議論をしたサロンがあります。(7)
- オールド・サウス会議場 (Old South Meeting House)
- オールド・コーナー書店の南にある清教徒の礼拝堂です。
1773年にボストン茶会事件の決行集会が開かれた場所です。(8)
- 旧州庁舎 (Old State House)
- オールド・サウス会議場の北にあるボストンで最古の建物です。
1713年に完成し、植民地政府が入っていましたが、1776年にバルコニーから独立宣言が読み上げられました。
内部は「ボストン歴史博物館」になっており、独立戦争の頃の品々が展示されています。(9)
- ボストン虐殺事件跡 (Boston Massacre Site)
- 旧州庁舎のそばにある独立戦争のきっかけとなった1770年のボストン虐殺事件が起こった地です。
重税に苦しむボストン市民がイギリス兵に投石したところ、発砲されて5人が亡くなり、独立への機運が加速した歴史があります。(10)
- ファニュアル・ホール (Faneuil Hall)
- 旧市庁舎の北西にあるレンガ造りの建物です。
1742年に富豪のピーター・ファニュアル氏が建造し、市に寄贈したものです。(11)
- ポール・リビアの家 (Paul Revere's House)
- ファニュアル・ホールの北西0.6kmにある、独立戦争の英雄とされるポール・リビアが住んでいた家で、ボストン最古の民家とされています。
1775年に高まる独立運動の鎮圧のために深夜に海から奇襲を企てたイギリス軍の動きをリビアが察知して仲間に知らせ、イギリス軍に打撃を与えて独立を勝ち取る活躍をしたというものです。(12)
- オールド・ノース教会 (Old North Church)
- ポール・リビアの家の北0.3kmにある教会です。1723年創建のボストン最古の教会で、白い尖塔が特徴です。
1775年にポール・リビアが尖塔の先に付けられたランタンの数でイギリス軍奇襲のルートを察知したことで有名です。(13)
- コップス・ヒル墓地 (Copp's Hill Burying Ground)
- オールド・ノース教会の北西にある墓地です。
北にチャールズ川 (Charles River) を望む高台にあり、独立戦争時にはイギリス軍の砲台が置かれていたところです。(14)
- U.S.S.コンスティテューション号 (United States Ship Constitution)
- コップス・ヒル墓地の北、チャールズ川を渡った対岸の海軍の港に係留されている世界最古の軍艦です。
1797年に進水し、40回以上の戦いに出動して無敗といいます。(15)
- バンカーヒル記念碑 (Bunker Hill Monument)
- 軍港の北にある高さ67mの丘に立つ記念碑です。1775年の独立戦争で戦闘があった地です。
フリーダム・トレイルの終点です。(16)
ボストンのその他のスポット
- ハーバード大学 (Harvard University)
- ダウンタウンの西北西4km、チャールズ川北のケンブリッジ (Cambridge) の町にある1636年創設のアメリカ最古の大学です。
多くの大統領やノーベル賞受賞者を輩出した世界でもトップレベルの総合大学です。
広大な敷地に400以上の校舎があり、ケンブリッジの町は大学の中に町がある感じです。
観光スポットにもなっており、キャンパスの見学は自由で、大学付属の美術館や博物館にも入れます。また見学ツアーもあります。
- セーラム (Salem)
- ボストンの北東25kmにある町です。1692年に「魔女狩り」と称する虐殺が行われた地で、町には魔女の絵や看板が目立ちます。
魔女狩りの様子を展示や芝居で見れる「セーラム魔女博物館 (Salem Witch Museum)」、東インド会社による設立が最初で、アジアの美術品を中心に展示する「ピーポディ・エセックス博物館 (Peabody Essex Museum)」などのスポットがあり、道路に引かれた約2kmの赤い線に沿って歴史スポットを歩ける「ヘリテイジ・ウォーキング・トレイル (Heritage Walking Trail)」で町の観光ができます。
- プリマス (Plymouth)
- ボストンの南東60kmにある大西洋沿いの町です。
1620年にイギリスの清教徒102人を乗せた「メイフラワー2世号」が上陸したアメリカ発祥の地です。
港には再建された「メイフラワー2世号」があり、当時の植民地を再現した「プリマス・プランテーション (Plymouth Plantation)」、清教徒が上陸第一歩の足をおろしたという岩「プリマス・ロック (Plymouth Rock)」などのスポットがあります。
フィラデルフィア
フィラデルフィア (Philadelphia) は、ニューヨークの南西130km、デラウェア川 (Delaware River) の西岸に広がる人口150万人の大都市です。
アメリカ建国ゆかりの町で、独立宣言の起草、憲法制定会議が開かれ、1790〜1800年はアメリカの首都にもなっています。
なおフィラデルフィアの治安は概ね良好ですが、川の対岸にあるカムデン市 (Camden) は全米で危険な都市のトップランクになっています。
- 市庁舎 (City Hall)
- 市街の中央にある、1789年建造のルネサンス様式の建物で、フィラデルフィアのシンボルです。
高さ167mの時計台がそびえ、頂上には町の建設者ウィリアム・ペンの銅像があります。展望台から市内を一望できます。
- インディペンデンス国立歴史公園 (Independence National History Park)
- 市庁舎の東1kmにある、アメリカ独立に関する記念物が残る公園です。
「リバティ・ベル」や「独立記念館」などがあり、周辺の地区も歴史的な建造物が多く残っています。
- 独立記念館 (Independence Hall)【世界遺産】
- インディペンデンス国立歴史公園にある、1732年に植民地の議事堂として建設された建物です。
1776年の独立宣言の可決と、1787年の憲法制定会議が行われた歴史的な場所です。見学ツアーがあります。
- リバティ・ベル・パビリオン (Liberty Bell Pavillion)
- 独立記念館の北側にあるガラス張りの建物で、1776年の独立宣言後に現・独立記念館で打ち鳴らされた鐘「リバティー・ベル(自由の鐘)」が収められています。
ロンドンで鋳造されたもので、後に亀裂を生じて1846年を最後に鳴らされることはなくなったそうです。
- フランクリン・コート (Franklin Court)
- インディペンデンス国立歴史公園の東にある、政治家で物理学者のベンジャミン・フランクリンの所有していた家が残っている場所です。
地下には博物館があり、資料や発明品が展示され、フランクリンを紹介する映画も上映しています。
- 合衆国造幣局 (United States Mint)
- インディペンデンス国立歴史公園の北東にある世界最大の造幣局です。
貨幣の製造を行っており、製造過程を見学できます。記念のコインなどが買えるギフトショップもあります。
- フィラデルフィア美術館 (Philadelphia Museum of Art)
- 市庁舎の北西3kmにある美術館です。1876年の創設で、現在のギリシャ風建物は1928年に完成したものです。
中世から現代まで、またヨーロッパから東洋に至る幅広い作品を50万点以上収蔵しています。
- アトランティック・シティ (Atlantic City)
- フィラデルフィアの南東90km、大西洋に臨むビーチ・リゾートです。
19世紀後半から東海岸随一の海水浴場として賑わいましたが、20世紀前半には寂れてしまいました。しかし1978年のギャンブル公認で、一躍東海岸のカジノの町として再興しました。
夏に開かれる「ミス・アメリカ・コンテスト」は全米で最高に権威のあるコンテストです。
アメリカの観光地