ニューヨーク(アメリカの観光地 1)
ニューヨーク (New York) は、アメリカ東海岸の中北部、国内だけでなく世界の金融、経済、文化の中心地です。
中心部だけで800万人を超える人口があり、都市圏全体では2200万人が集中する北米屈指の大都会です。
都心は、西にハドソン川 (Hudson River)、東にイースト川 (East River) にはさまれたマンハッタン (Manhattan) 地区にあり、高層ビルが林立しています。
イースト川対岸のブルックリン (Brooklyn) 地区はロングアイランド島 (Long Island) の西の端にあたります。
ニューヨーク市はニューヨーク州に属しますが、ハドソン川の対岸はニュージャージー州で、川が州境となっています。
1626年にオランダがマンハッタンを先住民から購入したのが始まりで、当初は「ニュー・アムステルダム」と名乗りましたが、イギリス占領後に「ニュー・ヨーク」と改名しました。
1776年のアメリカ独立後から1790年にフィラデルフィアに遷都するまで首都になりました。
その後も発展を続け、世界の経済、文化の中心地になりましたが、2001年9月11日に同時多発テロが発生し、「テロとの戦い」の発端となりました。
国連本部もあり、世界情勢の鍵を握る世界の中心地です。
マンハッタン島 (Manhattan Island) は、ニューヨークの中心となる地区です。
西をハドソン川、東をイースト川、北部はハドソン川からイースト川に流れ込むハーレム川 (Harlem River) という3つの川に囲まれています。
南北約20km、東西4kmほどの大きさで、大きくは南から「ダウンタウン (Downtown)」、「ミッドタウン (Midtown)」、「アップタウン (Uptown)」と分け、さらに東西を「イースト (East)」、「ウェスト (West)」と分けることもあります。
また、特に南端に近い重要な地域を「ロウアー・マンハッタン (Lower Manhattan)」ともいいます。
ダウンタウン
- グラウンド・ゼロ (Ground Zero)
- ダウンタウン南端に近いハドソン川寄りで、2001年9月11日にイスラム系過激派テロリストがハイジャックした旅客機の突入で崩壊した世界貿易センタービル (World Trade Center) の跡地です。
1973年に日系のミノル・ヤマザキ氏の設計で建てられた高さ443mのツインタワーが一挙に崩れ、3千人余もの犠牲者を出したことは世界に衝撃を与えました。
現在跡地には7つの新しいビルが建設中で、仮称として「フリーダム・タワー」と呼ばれていた最初に完成するビルは、「1ワールドトレードセンター (One World Trade Center, 1 WTC)」と言う名前になりました。
毎年9月11日に遺族が集まって追悼式が行われます。
- ウォール街 (Wall Street)
- グラウンド・ゼロの南東にある東西に走る通りで、周辺は大手銀行ほ本店が建ち並び、ニューヨーク証券取引所や連邦準備銀行なども建つ世界金融の中心地です。
かつてオランダ人がインディアンやイギリスの攻撃から守るために築いた丸太の壁が由来で、17世紀末に壁のあったところに通りができ、1784年に最初の銀行が建てられたのが、金融街の始まりです。
- トリニティ教会 (Trinity Church)
- グラウンド・ゼロの南、ウォール街の西端にあるプロテスタント教会です。市内最古の1697年創建のネオ・ゴシック様式で、現在の建物は1846年に再建されたものです。
高さ81mの尖塔があり、敷地内には多くの著名人の墓があります。
- サウス・ストリート・シーポート (South Street Seaport)
- ウォール街の東、イースト川沿いにあるショッピング・タウンです。
17〜19世紀頃にニューヨーク港として栄えた地区の跡地で、当時の古いレンガ造りの建物や道路が残っています。
川に突き出す埠頭のピア17〜18には、ショッピングセンターの「ピア17 (Pier17)」や、古い家や帆船を修復して当時の港を再現した「サウス・ストリート・シーポート・ミュージアム (South Street Seaport Museum)」があります。またそばには東海岸最大の「フルトン魚市場 (Fulton Fish Market)」があります。
- バッテリー・パーク (Battery Park)
- ウォール街の南、マンハッタンの最南端にある公園です。19世紀に砲台(バッテリー)が置かれたため、このような名前が付いています。
「自由の女神」へのフェリー発着所があります。
- 国立アメリカ・インディアン博物館 (National Museum of the American Indian)
- バッテリー・パークの北側にある、アメリカ大陸全般のインディアンの歴史、工芸品、装飾品などを100万点以上収蔵する博物館です。
1916年にワシントンDCに本部を置く「スミソニアン協会」が開設したものです。
ジェロニモが使ったという銃をはじめ、西部劇で出てくるような品々を見ることができます。
- 自由の女神像 (Statue of Liberty)【世界遺産】
- マンハッタンの南西3km、アッパー・ニューヨーク湾 (Upper New York Bay) に浮かぶ小島「リバティ島 (Liberty Island)」に立つ巨大なブロンズ像で、アメリカのシンボル的存在です。
1886年にフランス政府がアメリカ独立100年を記念して寄贈したもので、製作はフレデリック・バルトルディです。フランスで仮組み製作し、214個に分解して輸送し、当地で組み上げられたということです。総重量は225tです。
像本体の高さは46mですが、台座を加えると高さは約93mになります。右手はたいまつを高く掲げ、左手には独立宣言文を抱えています。
台座部分はエレベーターで登れ、銅像内は一方通行の細いらせん階段で頭の部分まで登れます。ただ、かつて登れた王冠部分は同時多発テロ以降は立ち入り禁止となっています。
バッテリー・パークからフェリーで約15分で渡れます。
- ソーホー (Soho)
- ウォール街の北2km、北は西ハウストン通り (West Houston St.)、南はキャナル通り (Canal St.)、東はブロードウェイ (Broadway) に囲まれた700m四方程度の地域です。
19世紀後半に町工場や倉庫が集まった地です。1960年代から安くて広い倉庫を改造して住む芸術家が集まり、画廊やブティックができ始め、さらにレストランやショップも増えてニューヨークで最もファッショナブルな町となりました。
なお「Soho」とは「ハウストン通りの南 (South of Houston)」の頭文字からつけられたものです。
- グリニッジ・ビレッジ (Greenwich Village)
- ソーホーの北に隣接する約1.5km四方程度の地域です。
20世紀の後半から、エドガー・アラン・ポーや O.ヘンリーなどの小説家をはじめ芸術家が集まった地区で、現在は歴史あるジャズ・クラブや劇場が点在しています。
中心には「ワシントン・スクエア (Washington Square)」があり、休日には楽器をひく人やパフォーマンスを行う人たちが出て、観光客も集まっています。
- トライベッカ (Tribeca)
- ソーホーの南西、キャナル通りの南側の地域です。キャナル通りが斜めに走るため三角形の地域になっており、「Triangle below Canal St.」の頭文字が地域名になっています。
ソーホーの地価高騰でアーティストたちが移り住むようになり、倉庫が点在する中にレストランやカフェが続々オープンして活気が出てきています。
ミッドタウン
- 5番街 (Fifth Avenue)
- グリニッジ・ビレッジにあるワシントン・スクエアを基点に、ハーレム川まで一直線にマンハッタンの中央を、北北東から南南西に貫通するニューヨーク一のメイン・ストリートです。
沿線に高級ホテルや高級ブティックの他、さまざまな観光スポットが点在します。
なお、ソーホーの北を横切るハウストン通りから北は、東西に横切る通りは1番から順に番号が付いていて、交差点がその番号を「丁目」で表現します。
また南北に走る通りも5番街から西へ6番街、7番街・・・、東へ4番街、3番街・・・となっています。
- エンパイア・ステート・ビル (Empire State Building)
- ワシントン・スクエアの北北東2.5km、5番街の西側で、33丁目と34丁目の間にある高層ビルです。
1931年に完成した102階建てのビルで、屋上にある62mの電波塔を含めた高さ443mは長い間世界一の高さでした。世界貿易センタービルに抜かれましたが、9・11テロによる崩壊で再びニューヨーク一に返り咲いています。
世界恐慌直後の完成だったため、当初はテナントが埋まらず、もじって「エンプティ (empty /空っぽの)・ステート・ビル」といわれました。
現在もニューヨークのランドマークとして多くの観光客が訪れています。
86階と102階に展望台がありますが、102階はスペースが狭いため混雑する週末は閉鎖されるようです。
- マジソン・スクエア・ガーデン (Madison Square Garden)
- エンパイア・ステート・ビルの西0.7km、7番街の33丁目にある複合施設です。
プロ・バスケットボールやアイスホッケーのチームが本拠地とするスポーツ・アリーナと、地下には5千席の劇場があります
- 国連本部 (United Nations Headquarters)
- エンパイア・ステート・ビルの東1.5km、イースト川河畔の42〜48丁目のブロックに建つ国際連合の本部ビルです。1945年にニューヨークに本部設置が決定され、建物が完成したのは1953年です。
広い敷地に、総会議場、事務局ビルや、安全保障理事会などの会議場があるカンファレンス・ビル、図書館があります。
見学ツアーがあり、日本語のツアーもあります。
- タイムズ・スクエア (Times Square)
- エンパイア・ステート・ビルの北1km、7番街と斜めに走るブロードウェイ (Broadway) が交わり、さらに42〜47丁目が交わる通りをいいます。
1904年にニューヨーク・タイムズ本社ビルが移転したことに由来しますが、他へ移転してもこの名が残っています。
周辺はブロードウェイ・ミュージカルの中心地で、40以上の劇場が集まっています。
大晦日のニューイヤー・カウントダウンに大勢の人が集まる場所としても有名です。
- セント・パトリック大聖堂 (St.Patrick's Cathedral)
- エンパイア・ステート・ビルの北北東1km、5番街の50〜51丁目の東側にあるゴシック様式の大聖堂です。
1879年に創建し、その後20世紀初めまで尖塔などの増築が続きました。
アイルランドの守護聖人である聖パトリックを祀る全米最大のカトリック寺院で、多くの参拝者が訪れます。
- ロックフェラー・センター (Rockefeller Center)
- セント・パトリック教会の西向かい、5〜6番街の48〜51丁目の区画を占める20ほどのビル群の総称です。
石油王ロックフェラーが1932〜1940年に建設し、オフィス、銀行、ショップ、レストランなどが集まっています。各建物のアールデコの装飾や点在する彫刻が見ものです。
クリスマス・シーズンに巨大なツリーのイルミネーションが有名です。
中心となる高さ260mのGEビルの最上階は、新装されて約20年ぶりに2005年秋に再オープンした「トップ・オブ・ザ・ロック (Top of the Rock)」という展望台になっており、ニューヨークでは屋外で360度のパノラマが見える唯一のスポットです。
- 近代美術館 (Museum of Modern Art)
- セント・パトリック大聖堂の北0.3km、5〜6番街の53丁目にある美術館で、愛称は頭文字の「モマ (MOMA)」です。
20世紀後半のアメリカ画家の作品や、セザンヌ、ゴッホ、マチス、ピカソなど後期印象派から現代に至る作品を15万点以上収蔵しています。
2004年に日本の谷口吉生氏のデザインで建物を改築してリニューアル・オープンしました。
- カーネギー・ホール (Carnegie Hall)
- セント・パトリック大聖堂の北西0.8km、7番街の57丁目にあるコンサート・ホールです。
1891年に鉄鋼王カーネギーが建設したもので、老朽化で取り壊しの危機があったものの、1986年に改修を行って現在も使用しています。
落成当時のオープニング・コンサートはチャイコフスキーが指揮をしたといわれ、今も著名な演奏家が出演する夢のホールです。
アップタウン
- セントラル・パーク (Central Park)
- カーネギー・ホールの北、東西は5番街と8番街にはさまれた800m、南北は59丁目から110丁目に至る約4kmの長方形の広大な公園で、マンハッタンのほぼ中央部に位置します。
1876年に都市計画に基づいて建設された公園としてオープンし、池、湖、噴水、遊歩道、動物園などの他、文化施設も園内に配しています。
日中はジョギングや散歩など市民の憩いの場となっていますが、夜間に歩くことは避けたほうがよさそうです。
- フリック・コレクション (The Frick Collection)
- セント・パトリック大聖堂の北北東1.8km、5番街の東側の70〜71丁目にある美術館です。
鉄鋼王で鉄道王のヘンリー・フリック氏が長年収集した作品を、本人が住んだ邸宅に、本人が飾っていた通りに展示している個人美術館で、子息が1935年に開館したものです。
レンブラント、ルノワール、フェルメールなどルネサンス以降の傑作のみが集められ、内部の部屋の調度も豪華で美しいものが揃えられています。
- ホイットニー美術館 (Whitney Museum of American Art)
- フリック・コレクションの北東0.4km、5番街の1本東のマジソン街75丁目にある美術館です。
女性彫刻家のガートルード・ホイットニー氏が1931年創設したもので、20世紀のアメリカ芸術を中心に本人のコレクション約6千点を収蔵します。絵画、彫刻以外にも写真、映画、ビデオまで幅広い作品があります。
- メトロポリタン美術館 (The Metropolitan Museum of Art)
- セントラル・パーク園内の中央東端、5番街82丁目付近を正面とする、世界4大美術館のひとつです。
1870年にロックフェラーやモルガンなどの大富豪たちが設立したもので、古代から現代までの芸術作品を330万点収蔵します。
1階に古代エジプト、ギリシャ、ローマ美術、2階に中世ヨーロッパ絵画を中心とした展示室があります。1987年には「日本ギャラリー」もオープンしています。
- グッゲンハイム美術館 (Solomon R.Guggenheim Museum)
- メトロポリタン美術館の北北東0.5km、5番街89丁目にある美術館です。
実業家ソロモン・R・グッゲンハイムが抽象絵画美術館として1939年に設立したもので、白い巻貝形の建物が特徴です。
抽象画の父といわれるカンディンスキーのコレクションを中心に、後に寄贈を受けた印象派の作品も展示しています。
- クーパー・ヒューイット美術館 (Cooper Hewitt, National Design Museum)
- グッゲンハイム美術館の北北東0.2km、5番街91丁目にある美術館です。ワシントンDCに本部を置く「スミソニアン協会」のひとつで、世界の食器、家具、テキスタイル、建築工芸品など30万点を収蔵する装飾芸術品の美術館です。
デザイン、グラフィックに冠するアマリカ随一の展示を誇ります。
- リンカーン・センター (Lincoln Center)
- セントラル・パークの南西、9番街の65丁目にある音楽、オペラ、演劇、映画など舞台芸術のための世界最大の複合文化施設です。
1955年から1968年までかけて順次建設され、「メトロポリタン・オペラ・ハウス (Metropolitan Opera House)」を中心にいくつもの劇場施設の他に、舞台芸術家養成所の「ジュリアード音楽院 (The Julliard School)」があります。
- アメリカ自然史博物館 (American Museum of Natural History)
- リンカーン・センターの北東1.5km、セントラルパーク西側の8〜9番街の77〜81丁目のエリアを占める博物館です。
1869年の創設で、動植物、化石、鉱物、隕石などの標本をはじめ、自然科学に関するあらゆる分野の展示を行っています。恐竜の骨格標本や世界最大のサファイアなど多くの見所があります。
- ハーレム (Harlem)
- セントラル・パークから北、110丁目以北の地区です。黒人が多く住む地区で、北東部はキューバやプエルトリコ系の住民も住んでいます。
1658年のオランダ植民地時代にオランダ地名から名づけた「ニュー・ハーレム」が由来で、1920年代から30年代に地価の暴落で黒人や移民が流入し、独特の黒人文化が発達して優れたミュージシャンなどを多く輩出しました。その後の不況で貧困が進み、犯罪の多い地区となりましたが、近年改善はされてきているもののやはり散策には注意が必要な地域です。
125丁目がメインストリートで、教会も多く、日曜日のミサではゴスペルを聞くこともできます。
- クロイスターズ美術館 (The Cloisters)
- セントラル・パークの北北東10km、マンハッタンの最北部のハドソン川を見下ろす丘の上に建つ美術館です。
メトロポリタン美術館の中世美術部門を受け持つ分館で、ヨーロッパの修道院や礼拝堂が移築されて絵画やタペストリー、壁画、家具などが展示されています。静かな環境の中で中世ヨーロッパの雰囲気を醸し出しています。
アメリカの観光地