海外旅行準備室 ロゴ トップページこのサイトのご案内

中国の国旗 河西回廊を通って敦煌へ(中国の観光地 12)

西安から蘭州を経て、北にゴビ砂漠、南に祁連(チーリアン)山脈を望みながら、敦煌に至るシルクロードを「河西回廊」と呼びます。
地形的に、山脈に挟まれた900kmに及ぶ長く狭い平地にルートがあるため、「回廊」という名がついています。

後漢代に匈奴を駆逐して、蘭州から先の支配を強化するためにこのルート上に置いた4つの町が「河西四郡」で、武威、張掖、酒泉、敦煌をいいます。
このルートは「万里の長城」も平行して走っています。

蘭州は、甘粛省南部にある黄河沿いに広がる省都で、人口300万人の工業都市です。
ここから北西にシルクロードの河西回廊が続き、古来から漢民族と西域の民族が出会った地点でもあります。
また南西に向かってはチベットへの道となっています。

敦煌は、甘粛省の北西端に近い標高1700mにある砂漠の中のオアシスの町です。
唐代は「沙州」と呼ばれ、河西回廊の西端にあたり、西域の最前線でした。
シルクロード観光の中心地で、辺境地ながら比較的滞在しやすい町です。

蘭州(ランチョウ)

甘粛省博物館(カンスーシェン・ボーウークアン)
市の西部、蘭州西駅近くにある博物館です。
石器時代から明代の文物を展示していますが、嘉峪関で出土した魏晋時代の壁画墓の復元展示や、武威の雷台の漢墓から出土した「馬踏飛燕」と呼ぶ青銅の馬の像が見所です。
白塔山公園(パイターシャン・ゴンユアン)
市街中心部から黄河をはさんだ北側にそびえる白塔山を中心とした公園です。
頂上に建つ高さ17mの白塔は、チベットからチンギス・ハンのもとへ遣わされた僧がここで病死して、その供養のために建てられたものだといわれます。
現在の塔は明代に改修されたもので、山肌にはいくつもの楼閣が建てられています。
五泉山公園(ウーチュアンシャン・ゴンユアン)
市街の南にそびえる皋蘭山(カオランシャン)北麓にある公園で、文字通り5つの泉があります。
紀元前120年に前漢の武将・霍去病が征西の際に駐留した地です。
明代創建の「崇慶寺」などの建物があります。
炳霊寺石窟(ピンリンスー・シークー)
蘭州の南西100km、黄河北岸の山間にある石窟群です。
かつてのシルクロード南路の黄河渡渉点にあたり、旅の安全祈願で4世紀の西秦代から清代まで1600年にわたって彫られてきたといわれます。
2kmほどの絶壁に180余の石窟が掘られ、約700体の仏像があります。
アクセスは、陸路で黄河を堰き止めた劉家峡ダムへ行き、そこから約1時間船で遡ります。
麦積山石窟(マイジーシャン・シークー)
蘭州の南東300km、天水(ティエンシュイ)市の南東郊にある石窟群です。
高さ150mほどの円錐形の岩山の東西の絶壁一面に194の石窟が掘られ、中央に巨大な三尊像をはじめ、全体で7千体余の仏像があります。
後秦代の384年から清代まで彫られてきたものです。

河西四郡

武威(ウーウェイ)
蘭州の北西240kmの町で、唐代には「涼州」と呼ばれました。
市の北部には、明代創建の雷神廟「雷台」の地下から1969年に発見された後漢代の将軍の墓陵「雷台漢墓(ライタイ・ハンムー)」があり、青銅の馬像「馬踏飛燕」(蘭州の甘粛省博物館に展示)が出土したことで有名です。
また市の東南には、明代創建で甘粛省最大の孔子廟「文廟(ウェンミャオ)」があり、併設の「武威市博物館」に西夏王国時代の貴重な西夏文字の石碑が展示されています。
張掖(チャンイェ)
武威の北西230km、唐代には「甘州」と呼ばれたオアシスの町で、良質の米や麦などを産する農業地帯でもあります。
河西四郡の中心地となった所で、隋の皇帝・煬帝やマルコポーロも訪れています。
市内の見所として、西夏時代の1098年創建で体長35mの涅槃大仏を安置する「大仏寺(ダーフォースー)」、隋代の582年創建の万寿寺境内の塔として建てられた高さ33mの「万寿寺木塔(ワンショウスー・ムーター)」などがあります。
酒泉(ジウチュアン)
張掖の西北西210km、唐代には「粛州」と呼ばれた町です。
西へは嘉峪関、北へはモンゴル高原へ向かう分岐点で、古くから交通の要衝でした。
唐の詩人・王翰の「涼州詞」に出てくる玉石製のワイングラス「夜光杯」が名物で、米ロに次いで有人宇宙船を打ち上げたロケット発射基地もあります。
旧市街の中心には、前涼代の346年創建で1905年に再建された高さ27mで3層の「鐘鼓楼(チョングーロウ)」があります。
また東郊には、前漢の将軍・霍去病が匈奴に勝利し、武帝から賜った酒を注ぐと水が酒に変わったという泉がある「酒泉公園(ジウチャン・ゴンユアン)」があります。

嘉峪関(ジアユーグアン)

嘉峪関は、酒泉の西30kmにある小さな町で、近郊にある「万里の長城」の最西端が見所です。
河北省の渤海にのぞむ山海関から延々と連なること6千km、「万里の長城」はここで終点になります。
山海関が「天下第一関」と呼ばれるのに対し、嘉峪関は「天下雄関」と呼ばれます。

嘉峪関関城(ジアユーグアン・グアンチェン) 【世界遺産】
市街の北西7kmにある、万里の長城の最西端の関所である嘉峪山麓にある城塞跡です。
明代の1372年にモンゴル族の侵入を防ぐために構築され、城壁で囲まれた中に3つの城楼があります。
南北に長城が連なり、南に祁連(チーリェン)山脈、西にゴビ砂漠を望みます。
長城第一墩(チャンチェン・ディーイートゥン)【世界遺産】
嘉峪関関城から南へ7km続いてきた長城が途切れるところで、正真正銘の「万里の長城」の西の果てです。
途切れた長城の前には、氷河を水源とする大河「北大河(ベイダーホー)」が流れる高さ60mの絶壁が横切り、川の対岸には砂漠が広がっています。
懸壁長城(シュアンビー・チャンチェン)【世界遺産】
嘉峪関関城の北7km、明代の1539年から建造された長城で、1987年に修復が行われています。
750mほどが残っていますが、山の頂上からうねるように続いて見える雄大な景観が有名です。
魏晋壁画墓(ウェイジン・ビーフアムー)
市街の北東20km、ゴビ砂漠の中にある3〜5世紀頃の墓です。
1972年に発掘された8墓のうち、6墓のレンガに合計600の絵が描かれています。
題材としては生活、狩猟、戦争、牛馬などで、赤系統の単色で描かれています。

敦煌(トゥンフアン)

鳴沙山(ミンシャーシャン)
市街の南5kmにある東西40km、南北20kmの砂丘です。
砂粒が細かくサラサラで、風紋や美しい陰影を見ることができます。
風が強い日には耳やカメラなど砂が入り込んでしまうことがあるので要注意です。
また日中は砂が熱いため、ツアーは日没後が多いです。
月牙泉(ユエヤーチュアン)
鳴沙山の北麓にある砂丘の中の泉で、三日月形をしているためこの名がついています。
東西200m、南北50mで、古代から澄んだ水が湧き、涸れたことがないといいます。
水草が繁り、魚も生息して、周囲の砂漠と対比すると不思議な景観です。
莫高窟(モーカオクー)【世界遺産】
市街の南東25km、鳴沙山の東麓の岩壁約1.6kmに彫られた石窟寺院で「千仏洞」とも呼ばれています。
492の石窟に2415の塑像があり、壁画も合わせて45000uに及びます。
366年に彫られたのが最初といわれますが、確認できるのは5世紀から元代の14世紀ごろまでのものです。
その頃から忘れ去られましたが、1900年に洞窟内から多くの仏典や文献が発見されて注目され、中華人民共和国成立後にようやく保護の体制がとられるようになったということです。
陽関(ヤングアン)
市の南西70km、砂漠の中にある漢代に造られた関所跡で、石造りの烽火台跡が風砂にさらされて残っているのみです。
今でも強風の後に陶器や貨幣などの遺物が発見されることがあり、「骨董砂漠」ともいわれます。
唐代の詩人・王維が西域へ旅立つ友に贈った詩「西出陽関無故人(西のかた陽関を出づれば故人無からん)」が有名です。
玉門関(ユーメングアン)
市の北西90km、南の陽関に対する北の関所跡で、これも漢代に造られたものです。
砂漠の中に高さ10mの四角い城壁跡や倉庫跡が残っています。
西方1500kmの和田(ホータン)産の玉石が入ってくる関所だったため「玉門」と呼ばれたのがその由来です。
楡林窟(ユーリンクー)
敦煌の東170km、嘉峪関との中間に位置する石窟です。
楡林河の作る渓谷の両岸に彫られ、唐代の9世紀頃から元代に造られたと考えられ、西夏時代のものは莫高窟を凌ぐ美しさといわれます。
川の東崖に30窟、西崖に11窟があり、100体ほどの彩色塑像と美しい壁画が残っています。
アクセスはここから北西70kmにある年中強風が吹くことで知られる町・安西(アンシー)からになります。
東千仏洞(トンチアンフォートン)
楡林窟の東70kmにある石窟です。
長子山北麓の涸れた峡谷の両岸に合計23窟彫られ、彩色塑像56体と壁画が残っています。
11世紀の西夏時代に作られ、西域やチベット仏教を融合した独特の風格を持っています。


中国の観光地

河西回廊周辺の地図


蘭州・白塔山公園蘭州・白塔山公園
(Photo IMG_9001 by kenner116)

張掖・万寿寺木塔張掖・万寿寺木塔
(Photo 200901 Zhangye by westup)

嘉峪関関城嘉峪関関城
(Photo 2008_07_31_DSC00754 by Gwydion M. Williams)

長城第一墩 (右上が長城の終端)長城第一墩
(Photo 嘉峪関 200709 by Dayou_X)

懸壁長城懸壁長城
(Photo Great Wall at Jiayuguan by watchsmart)

敦煌から鳴沙山への道敦煌から鳴沙山への道
(Photo dunhuang-mingshan by tsc_traveler)

月牙泉月牙泉

莫高窟莫高窟

陽関陽関

玉門関玉門関
(Photo Yumen Pass by jiazi)

このエントリーをはてなブックマークに追加

海外旅行準備室