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中国の国旗 重慶とパンダの里・四川(中国の観光地 11)

重慶は中国の直轄市の一つですが、長江の中流から上流域に沿って北海道よりも広い地域を占めています。
人口は約2900万人で、中心市街だけでも1千万人が集中しています。
亜熱帯気候で、冬は温暖ですが夏は酷暑になり、武漢、南京と並ぶ「中国三大火炉」の一つです。霧の日が多いのも特徴です。

中心部は長江と嘉陵江(ジアリンチアン)の合流する半島部にあり、起伏が激しくて坂が多く、夏の強烈な暑さ、霧が多い気候で、大気汚染も深刻という町です。
日中戦争時代の1940年には国民党政府の臨時首都が置かれ、日本軍の空襲に対する防空壕も残っています。

重慶からは、長江下りのクルージングが大きな観光の目玉となっています。

重慶の西が四川省で、パンダの里や、辛い四川料理で有名です。

四川省の省都が東部にある成都で、ここも人口1千万人の大都市です。
古くから温暖な気候や豊かな水に恵まれ、物産の豊富な「天府の国」といわれてきました。

2008年5月に四川大地震が発生し、多くの観光地も被害を受けましたが、現在は復旧しています。

重慶(チョンチン)

枇杷山公園(ビーパーシャン・ゴンユアン)
重慶駅の東1km、市街の中心部に位置する公園です。
市内の夜景を見る絶好のポイントで、市民の憩いの場です。
南に長江、北に嘉陵江を望みます。
鵝嶺公園(エーリン・ゴンユアン)
市街の西部、重慶駅の西1kmにある丘の上の公園です。
展望台「瞰勝楼」から南に長江、東に中心街が眺められます。
日中戦争時代には蒋介石の住居が置かれていたこともある地です。
紅岩村(ホンヤンツン)
重慶駅の北2km、嘉陵江近くにある地域で、日中戦争時代に中国共産党が事務所を置いていた所で、周恩来や葉剣英などがここで暮らしていました。
当時の事務所跡や「革命記念館」があります。
朝天門(チャオティエンメン)
市街の東の端、長江と嘉陵江の合流点の先端の地点です。
広場があり、長江三峡下りの船が出る港があります。
羅漢寺(ルオハンスー)
朝天門の南西にある北宋代の11世紀半ばに造られた寺です。
明代に五百羅漢を祀って「羅漢寺」と呼ばれるようになりました。
羅漢堂の他にいくつも建物が残っています。
大足石刻(ターズー・シークー)【世界遺産】
重慶の西北西90kmの町・大足を中心に周辺の山々に点在する唐代末期の9世紀から宋代の13世紀にかけて造られた石刻仏像群で、40ヶ所に10万体があるといわれます。
代表的なものは大足の北15kmにある「宝頂山(バオディンシャン)」と西北2kmの「北山(ベイシャン)」です。
「宝頂山」は12〜13世紀に造られ、寺院を中心に15ヶ所、1万体ほど、「北山」は9〜12世紀に造られ、石窟の形で1万体ほどの仏像があります。

長江三峡(チョンジアン・サンシャー)

重慶市街から北東350km、重慶市域北東部の奉節(フォンジュ)から湖北省の宜昌(イーチャン)までの192kmに及ぶ長江の大峡谷です。(宜昌は武漢の西約250kmに位置します。)
大きくは上流から「瞿塘峡(クタンシャー)」、「巫峡(ウーシャー)」、「西陵峡(シーリンシャー)」に分かれているので三峡と呼ばれます。
重慶と下流の宜昌や上海間で多くのクルーズ会社がクルーズ船を運航しており、重慶・宜昌間では下りで3泊4日、上りで4泊5日かかります。
なお宜昌の北西40kmの地点には世界最大の「三峡ダム」(2009年完成)があり、これらの区間は水位が以前より175m上がって、かつての景観から変わっているところも多くあります。

豊都鬼城(フォントゥ・グイチェン)
重慶から長江の下流約130kmにある道教の寺です。
「鬼」を祀っている風変わりな寺で、鬼の面や地獄のミニチュアなどがあります。
漢代に「王」と「陰」の姓を持つ二人を、閻魔大王である「陰王」が住むと勘違いされ鬼城となってしまったといわれています。
石宝寨(シーパオツァイ)
豊都の下流約80kmの河畔、高さ50mの岩山に建つ寺院です。
明代に船の航行の安全を祈願して建てられたもので、現在の建物は清代のものです。
レンガ造りの山門、12層の楼閣もあり、長江が一望できます。
張飛廟(チャンフェイミャオ)
石宝寨の北西70km、雲陽(ユンヤン)の町の対岸にある廟です。
三国時代の3世紀、蜀の武将・張飛が暗殺されてはねられた首が流れ着き、老漁師が埋葬したところに建てられたといわれています。
現在の場所はダムの水没で町とともに移築された所で、元来あった場所は下流約30kmの位置です。
白帝城(パイディチェン)
雲陽の東90km、長江に臨む断崖の上にある城跡です。
前漢末期の紀元前1世紀に公孫述が独立王国を作り、自ら白帝と名乗ったことで命名され、三国時代には蜀の劉備が後を諸葛孔明に託して臨終した場所として知られています。
瞿塘峡(クタンシャー)
三峡のうち最上流にある33kmの区間で、奉節が入り口になります。
三峡の中で最も雄大な景色といわれ、両岸に高さ数百メートルの山々が迫り、切り立った絶壁が連なります。
川幅は100〜200mで、激しい流れが続きます。
沿線には多くの名所古跡があります。
巫峡(ウーシャー)
瞿塘峡に続く40kmの区間で、両岸に巫山十二峰が並ぶ間を緩やかに流れ、「麗しい」渓谷と呼ばれます。
小三峡(シャオサンシア)
巫峡の途中で北から長江に合流する支流・大寧河(ダーニンホー)にある3つの渓谷で、「ミニ三峡」というニックネームもあります。
「龍門峡」、「巴霧峡」、「滴翠峡」で、長さ50kmにわたり、長江の黄土色の水と対照的に青い水が流れています。
ここに立ち寄るクルーズもあります。
神農渓(シェンノンシー)
巫峡の下流部で、北から長江に合流する渓谷で、全長60km余りあります。
水がきれいで、滝や鍾乳洞も多くあります。
観光船から小舟に乗り換えての観光になります。
西陵峡(シーリンシャー)
巫峡に続く最下流の76kmにわたる区間です。
最も「険しい」といわれ、浅瀬が多く、航路が複雑な難所でしたが、葛洲唄ダムと三峡ダムの建設によって水位が上がったため穏やかになりました。

成都(チェントゥ)

文殊院(ウェンシューユアン)
市中心部の北2kmにある仏教寺院で、文殊菩薩を祀っています。
5世紀の創建で、現在の建物は清代に再建されたものです。
文化大革命で市内の仏教寺院は徹底的に破壊されましたが、ここだけが残りました。
精進料理も食べることができます。
成都動物園(チェントゥ・ドンウーユアン)
市中心部の北東6kmにある動物園で、四川省がふるさとであるジャイアントパンダが十数頭います。
他にキンシコウなど中国独特の動物もたくさんいます。
成都大熊猫繁育研究基地(チョントゥ・ターシオンマオ・ファンユー・ヤンジウ・ジーディ)
市の北郊にあるパンダの繁殖と飼育を研究する施設です。
60haの広大な敷地で20頭ほどのパンダが飼育されています。
一般公開されており、見学ができます。
永陵(ヨンリン)
市中心部の西北西5kmにある10世紀の五代時代、前蜀の皇帝・王建の墓陵です。
別名「王建墓(ワンジアンムー)」ともいいます。
直径80m、高さ15mの円墳で中に3つの墓室があり、棺の周りに楽隊のレリーフや力士像があります。
青羊宮(チンヤンゴン)
市中心部の西2.5kmにある市最大の道教寺院です。
道教の祖・老子が青い羊を連れてここを通ったという故事による名称です。
唐代の創建で、明代に焼失して清代に再建されたものです。
2体の銅の羊像のうち1体は、体の各部に十二支の動物の特徴を入れた奇怪な姿をしています。
杜甫草堂(トゥフー・サオタン)
永陵の南1.5kmにある唐代の詩人・杜甫が住んだ旧居跡です。
759年の48歳から4年間を過ごし、240ほどの詩を作っています。
竹林生い茂る敷地で、質素な住居だった跡地に唐代末に草堂が建てられています。
武侯祠(ウーホウツィ)
市中心部の南西2kmにある三国時代の蜀の宰相・諸葛孔明を祀る廟です。
6世紀頃から建てられ、明代には隣接する主君だった劉備の陵墓「昭烈帝墓(ツァオリエディームー)」と併合されて両者が同じ敷地内にあります。
敷地内には唐代の優れた文、書、彫刻による石碑が6本あります。
望江楼公園(ワンジアンロウ・ゴンユアン)
市中心部の南東3kmにある唐代の女流詩人・薛涛ゆかりの公園です。
130種余という中国一多い種類の竹が植えられており、竹の公園として知られています。
府河に臨む4層の楼閣「望江楼」などいくつかの建物もあります。

四川省各地

三星堆(サンシントゥイ)
成都の北東40km、広漢(クアンハン)にある遺跡です。
1929年に最初に玉石器が出土、1986年には多くの青銅器が出土し、約3300年前と推定されて黄河文明と異なる文明があったことで注目されました。
博物館には、目の飛び出た特異な青銅の面や、金器、玉石器などの出土品が展示されています。
都江堰(トゥジアンヤン)【世界遺産】
成都の北西60km、都江堰市を流れる岷江(ミンジアン)にある堰です。
紀元前3世紀に氾濫を繰り返す川に造ったもので、流れを分ける「魚嘴」、水量調節と土砂流入防止の「飛沙堰」、取水口の「宝瓶口」から成ります。
洪水防止と、盆地全体の灌漑ができ、「天府の国」の礎になったといわれています。
二王廟(アルワンミャオ)
都江堰の近くにある、都江堰の生みの親である蜀の郡守・李氷と息子の二朗の2人を祀る廟です。
5世紀頃に建てられ、清代に修復されたもので、楼閣から都江堰が眺められます。
城山(チンチェンシャン)【世界遺産】
都江堰の南西15kmにある標高1600mの道教の名山です。
樹木が四季青々と繁り、「青城山」と呼ばれるようになりました。
周囲120kmという広大な範囲に、後漢時代からの道教寺院や古跡が多く残っています。
「建福宮」、「天師洞」、「上清宮」などが主な寺院です。
臥龍大熊猫繁育研究基地 【世界遺産】
成都の西120kmの自然保護区内にあるパンダの保護、繁殖施設です。この周辺の保護区に世界のジャイアントパンダの3割が生息していて世界遺産に登録されています。
2008年の四川大地震で研究施設も大きな被害を受けて現在再建中です。
黄龍(フアンロン)【世界遺産】
四川省北部、成都の北230kmの岷山山脈山麓にある渓谷です。
渓谷の底の岩石が白や黄の石灰岩で、曲がりくねった川筋が黄色い龍を思わせるところから名づけられました。
水の色はエメラルドグリーンで、3000以上の池が約4kmにわたって棚田状に連なっています。
標高3000m以上にあるため、観光では高山病に注意する必要があります。
九寨溝(ジウツァイコウ)【世界遺産】
黄龍の北60kmにある渓谷です。
標高2000〜3000mのの間に100を越える美しい湖、渓流、滝、カルスト地形が続きます。
入り口からひとつの奥の湖「長海」まで32km、もうひとつの奥の「原始森林」まで31kmあり、観光には最低1〜2日はかかります。
楽山大仏(レーシャン・ターフォー)【世界遺産】
成都の南120km、楽山市の南郊にある世界最大の石刻大仏です。
凌雲山の西の断崖に彫られ、岷江を見下ろすように座っており、高さ71m、頭だけで15m、肩幅24mあります。
治水と航行の安全を祈願して唐代の713年から803年の90年間かかって造られました。
足の甲には100人が乗れるといわれています。
峨眉山(エーメイシャン)【世界遺産】
楽山の西40kmにある仏教の名山です。
最高峰は標高3099mの「万仏峰」で、頂上近くの「金頂」まではロープウェーが出ています。
古来より多くの仏教寺院が点在し、「報国寺」、「万年寺」、「白龍洞」、「金頂寺」などが主な寺院です。
霧に覆われることが多く、神秘的な雰囲気を持つ山です。


中国の観光地

重慶と四川省の地図

長江三峡の地図


重慶中心部の地図


大きな地図で見る

霧の重慶・朝天門と長江クルーズ船霧の重慶・朝天門と長江クルーズ船
(Photo 重慶 200712 by Dayou_X)

大足石刻大足石刻
(Photo 中国大足 by Prince Roy)

瞿塘峡瞿塘峡
(Photo Three Gorges Sunrise- Qutang Gorge on the Yangzi by Ray Devlin)

神農渓・ボートクルーズ神農渓・ボートクルーズ
(Photo Yangtze shennong stream tour089 by Britrob)

三峡ダムとクルーズ船三峡ダムとクルーズ船
(Photo 3 Gorge dam018 by Britrob)

成都大熊猫繁育研究基地成都大熊猫繁育研究基地
(Photo kicking back by clurr)

成都・杜甫草堂成都・杜甫草堂
(Photo Du Fu's(杜甫) Estate by cookieevans5)

都江堰都江堰
(Photo Chengdu Day 5 by Prince Roy)

黄龍黄龍

九寨溝九寨溝
(Photo 九寨溝-五花海 by culantor)

楽山大仏楽山大仏
(Photo Leshan Giant Buddha by Bernt Rostad)

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