シチリアとサルデーニャ(イタリアの観光地 7)
シチリア島 (Sicilia) は、イタリア半島の南、長靴のつま先の先の位置に浮かぶ地中海最大の島で、面積は四国の1.3倍ほどあります。「シシリー」という読み方がされることもあります。
位置的には、地中海のほぼ中央に当たり、南西150kmにはアフリカ大陸のチュニジアがあります。
イタリア半島とは狭い海峡で隔てられているだけで、本土との間では鉄道連絡船が通じています。
中心都市は、北西部の港町、パレルモ (Palermo) です。
紀元前8世紀からギリシャの植民地で、紀元前3世紀にはローマとカルタゴによるポエニ戦争の舞台となり、ローマ、アラブ、ノルマン、スペインと支配が変わり、1861年にイタリアに統一されています。
北部イタリアに比べて近代化が遅れ、オリーブやワインなどの農業が主力産業です。
犯罪結社「マフィア」発祥の地でも知られています。
サルデーニャ島 (Isola di Sardegna) は、ローマの南西250kmの地中海に浮かぶ島です。
「サルジニア」と表記することもあります。
シチリア島に次ぐ四国程度の面積を持つ長方形に近い形の島で、狭い海峡を隔ててすぐ北にはフランス領のコルシカ島があります。
ラテン語を起源とするサルデーニャ語が主に話されるなど、イタリアの中でも独自の文化があります。
全般的に気候は温暖で自然も多く残っています。
中心地は南岸のカリアリ (Cagliari)です。
パレルモ
パレルモ (Palermo) は、シチリア島北岸の西部にある町で、人口70万人のシチリア島の中心都市です。
ギリシャ時代からの良港で、アラブ、ノルマンなど過去の歴史を物語るスポットがいくつも残っています。
東に港があり、港近くに旧市街、その周辺に新市街があります。
なお、この町も治安はあまりよくないので、スリやひったくりには注意が必要です。
- クアットロ・カンティ (Quattro Canti)
- 「四つ辻」の意で、東西に走るビットリア・エマヌエレ通り (Via Vittorio Emanuele) と、南北に走るマクエダ通り (Via Maqueda) の交差点で、旧市街の中心にあたります。
都市計画の一環として、この交差点の四つの角に1620年に造られたバロック様式の美しい装飾を施した建物が建っています。
- カテドラル (Cattedrale)
- クアットロ・カンティの西南西0.5kmにある大聖堂です。
1184年の創建で、アラブ支配時代はモスク、ノルマン人によって再びキリスト教会に改修されました。シチリア・ノルマン様式にイスラム色が混合した様式になっています。
入口近くの礼拝堂には、歴代統治者が眠る「皇帝と王の霊廟」があります。
- ノルマン宮殿 (Palazzo dei Normanni)
- クアットロ・カンティの西南西1kmにある宮殿です。
ローマ時代の城塞の跡地に、11世紀にアラブ人が城壁を造り、12世紀にノルマン人が拡張、増築して宮殿としたものです。
一時荒廃しましたが、16世紀にスペイン総督の邸宅として復活し、現在は州議会の議事堂として使われています。
宮殿の北側には、1535年に神聖ローマ帝国皇帝カール5世の入城を記念して建てられた「ヌオーバ門 (Porta Nuova)」があります。
- パラティーナ礼拝堂 (Cappella Palatina)
- ノルマン宮殿の2階に造られている礼拝堂です。
1140年に完成したもので、内部は床、壁、天井のすべてに黄金のモザイクが施された壮麗なもので、イスタンブール、ラベンナと並ぶキリスト教美術の三大傑作の一つに数えられています。
- サン・ジョバンニ・デリ・エレミティ教会 (San Giovanni degli Eremiti)
- ノルマン宮殿の南東にある教会です。
ノルマン王朝の1132年にアラブ人職人の手で造られたもので、キリスト教会でありながら、5つの赤いクーポラがあったり、ヤシやオレンジの繁るイスラム風の中庭があったりと、異国情緒の強い教会になっています。
- マルトラーナ教会 (Martorana)
- クアットロ・カンティの南東にある教会です。
1143年の創建で、小さいながら内部は美しいモザイクで埋め尽くされています。
ビザンチンの伝統的な様式を受け継ぐモザイクで、教会自体の構造も正方形のギリシャ十字で、由緒正しい格式の教会です。
- サン・カタルド教会 (San Cataldo)
- マルトラーナ教会の隣にある教会です。
1160年頃の創建で、3つの赤いクーポラが並ぶアラブ風の外観をしています。
内部は非常に質素で、モザイクなどはほとんどありません。
- マッシモ劇場 (Teatro Massimo)
- クアットロ・カンティの北西0.6kmにある劇場です。1897年の完成で、3200席はヨーロッパ最大級の規模を誇ります。
ギリシャ神殿風の正面に、アラブ風の丸天井などパレルモの歴史を表す特徴を持っています。
ガイドツアーで見学することができます。
- 州立考古学博物館 (Museo Regionale Archeoogico)
- マッシモ劇場の東にある博物館です。
17世紀の修道院の建物に、1866年にパレルモ大学の付属博物館が移転してきたものです。
先史時代からローマ時代を中心に、シチリアで出土した遺物を多く展示しています。
- モンレアーレ (Monreale)
- パレルモの南西8km、標高310mの山の上にある小さい町で、中心にある「ドゥオモ (Duomo)」が最大の見所です。
1174年にグリエルモ2世が建てたもので、内部は黄金のモザイク画で埋め尽くされています。
また付属の「ベネディクト会修道院」の中庭の回廊は、すべて異なるモザイクが施された228本の円柱で囲まれており、見所の一つとなっています。
シチリア島各地
- セジェスタ (Segesta)
- パレルモの南西50kmにある町で、近郊にある標高400mほどのバルバロ山 (Monte Barbaro) にギリシャ時代の遺跡があります。
なだらかな中腹には紀元前5世紀頃のドーリア式神殿、頂上には円形劇場や住居跡が残る古代都市の遺跡があります。
都市遺跡にはバスで登ることができます。
- エリ−チェ (Erice)
- パレルモの西70km、シチリア島北西端に近い標高751mの山の上にある小さな町です。
紀元前8世紀に造られたといわれる城壁に囲まれ、古い街並みがこじんまりと集まっています。目抜き通り沿いに教会や美術館があり、ホテルなどもあります。
山の上に隔離されたような町で、夏でも涼しく、町から見下ろす平地や海とは別世界にいるような感じになる地です。
- アグリジェント (Agrigento)【世界遺産】
- パレルモの南100km、シチリア島南岸の中央部にある町です。
海岸から5kmほど北にある市街地と海岸との間にある丘に、20以上のギリシャ神殿が残る「神殿の谷 (Valle dei Templi)」があります。
紀元前6世紀頃に入植したギリシャ人が構築したもので、保存状態のよい「コンコルディア神殿(Tempio della Concordia)」、その東方の「ジュノーネ(ヘラ)神殿 (Tempio di Giunone)」、西方の「エルコレ(ヘラクレス)神殿 (Tempio di Ercole)」などが主なものです。
神殿の谷の北側には周辺の遺跡からの出土品を展示する「国立考古学博物館 (Museo Archeologico Nazionale)」があります。
神殿間は結構離れており、観光は何kmも歩くことになります。
- ビラ・ロマーナ・デル・カサーレ (Villa Romana del Casale)【世界遺産】
- アグリジェント東80kmの町ピアッツァ・アルメリーナ (Piazza Armerina) の西5kmにあるローマ時代の遺跡です。
当時の貴族の別荘跡で、3500uの広さに40もの部屋がありました。保存状態の良い、見事な床モザイクが残されています。
狩の様子、ビキニ姿の娘が球技を行っている図など、当時の生活がうかがえるものが多く見られます。
- シラクーサ (Siracusa)【世界遺産】
- シチリア島東岸の南部、イオニア海に面する人口12万人ほどの町です。
紀元前8世紀からギリシャの植民都市で、市内に当時の遺跡が多く残っています。数学者アルキメデスが活躍した町でもあります。
市街の北部は「考古学地区 (Parco Archeologico)」と呼ばれ、紀元前3世紀頃の「ギリシャ劇場 (Teatro Greco)」、当時の石切り場で、捕虜を閉じこめた「ディオニソスの耳 (Orecchio di Dionisio)」と呼ばれる洞窟がある「天国の石切り場 (Latomia del Paradiso)」、3世紀頃のローマ時代の「ローマ円形競技場 (Anfiteatro Romano)」、地区の東にギリシャ時代の遺物を展示する「考古学博物館 (Museo Archeologico Regionale)などがあります。
町の東部、運河を隔てた島「オルティージャ地区 (Ortigia)」が旧市街で、中心にはアテネ神殿跡に建てられたバロック様式の「ドゥオモ (Duomo)」、その南に紙の原料パピルスが生えている「アレトゥーザの泉 (Fonte Aretusa)」などがあります。
- ノート (Noto)【世界遺産】
- シラクーサの南西30km、シチリア島の南東端に近い町です。
1693年にこの地域を襲った大地震で町が壊滅し、新たに10数km離れた当地に新市街を築いたものです。
整然と区画整理された市街は、バロック様式の建物でで統一し、非常に美しい街並みとなっています。
なお同様の町が周辺に点在し、あわせて8町が世界遺産に登録されています。
- エトナ山 (Monte Etna)【世界遺産】
- シチリア島東北部にある標高3323mのヨーロッパで最も高い活火山です。
古代から噴火を繰り返し、1669年の大噴火では南麓の町カターニア (Catania) が全滅しています。
ロープウェイと登山バスで頂上近くまで行くことができますが、2000年以降活動が活発化しているということです。
- タオルミーナ (Taormina)
- エトナ山の北東20kmにある町です。標高250mの高台にあり、眼下には紺碧のイオニア海、後方にはエトナ山を望みます。
市街には、シラクサに次ぐ規模で紀元前3世紀の「ギリシャ劇場 (Teatro Greco)」が残っています。
町全体は高級リゾート地となっています。
- メッシーナ (Messina)
- シチリア島北東端に近い町です。
イタリア本土と10kmほどの海峡で隔たり、陸路とフェリーでシチリアに入る際の玄関口になります。
サルデーニャ島
- エメラルド海岸 (Costa Smeralda)
- 島の北部にある高級リゾート地で、特に世界の富豪も集まってくるヨーロッパ屈指のビーチリゾートです。(現地語では「スメラルダ海岸」といいます。)
海岸線がエメラルド色に輝いて見えるために名付けられたといわれます。多くのホテルがあり、プライベート・ビーチを持つホテルもあります。
イギリスの故ダイアナ妃が、亡くなる前日までここに滞在していたとされます。
イタリアの観光地