パリ近郊とフランス北部(フランスの観光地 2)
パリから北の地域は、シャンパーニュ (Champagne) 地方とピカルディ (Picardie) 地方が占めています。
シャンパーニュ地方はフランスの中でも冷涼な地域ですが、その地方名が冠された「シャンパン」が有名なワインの一大産地になっています。
中心地はランスです。
ピカルディ地方はフランスで最も北にあたります。ベルギーと国境を接し、ドーバー海峡をはさんでイギリスとも向かい合っています。
中心地はアミアンで、全体に酪農や農業が盛んな地域です。
第一次、第二次大戦ともに主戦場となって大きな被害を受けたところです。
パリ近郊
- ベルサイユ宮殿 (Château de Versailles)【世界遺産】
- パリ中心部の西20kmにある壮麗な宮殿です。
1626年にルイ13世の離宮として建てられ、ルイ14世の時代に当時の最高の技術で大宮殿に増築しました。
宮殿は全長は550mに及び、578面の鏡で飾られた「鏡の間」のほか、「王妃の間」や「王室礼拝堂」など多くの華麗な部屋があります。
また庭園は100haに及び、宮殿内の離宮として「グラン・トリアノン (Grand Trianon)」、「プチ・トリアノン (Petit Trianon)」があります。
広大な敷地のため、見学は最低半日かかります。
- サン・ジェルマン・アン・レイ城 (Saint-Germain-en-laye)
- パリ中心部の西北西20kmにある町サン・ジェルマン・アン・レイにある城です。
16世紀にフランソワ1世が創建し、歴代国王の居城でしたが、1862年にナポレオン3世が先史時代から中世までの考古学発掘品を展示する「国立考古学博物館 (Musée des Antiquités Nationales)」として使っています。
イギリス式庭園が隣接します。
- オーベール・シュル・オワーズ (Auvers-sur-Oise)
- パリ北西30kmにある町です。画家ゴッホが自殺前の2ヶ月を過ごした町として知られ、晩年の作品に当地の風景が見られます。
「ラブー亭 (Auberge Ravoux)」はゴッホをはじめとする画家が集まったカフェで、冬季以外は営業をしています。
- シャンティイ城 (Château de Chantilly)
- パリの北北東40kmの町シャンティイにある城です。
16世紀に建てられ、フランス革命で破壊された後、1840年に再建されたものです。
大小2つの城から成り、最後の城主オマール公爵が収集した「小ルーブル」と呼ばれるほどの充実した美術品が展示されています。
- ディズニーランド・リゾート・パリ (Disneyland Resort Paris)
- パリの東30kmにある、ヨーロッパ唯一のディズニーランドです。
1992年にオープンし、アトラクションは日本とほぼ同じです。
一帯は遊園地の他に、7つのホテルとゴルフコースなどがあり、敷地面積では日本の23倍あります。
- バルビゾン (Barbizon)
- パリ南東50kmにある村です。19世紀半ばに田園風景に魅せられたミレーやルソーなど「バルビゾン派」と呼ばれる画家が過ごした地です。
ミレー、ルソーの住居兼アトリエや、かつての芸術家のたまり場でバルビゾン派の美術館となっている「ガンヌの宿 (Auberge Ganne)」などがあります。
- フォンテーヌブロー城 (Château de Fontainebleau)【世界遺産】
- バルビゾンの南東10km、広大なフォンテーヌブローの森の中にある宮殿です。
12世紀に国王の狩猟小屋として建てられ、16世紀にフランソワ1世が宮殿につくりかえ、以後歴代王が増築していったものです。
フランス革命後はナポレオンが管理しましたが、1814年にエルバ島へ流刑の前に中庭で別れの儀式を行っています。
豪華な「フランソワ1世の回廊」、「舞踏の間」の他ナポレオンの遺品を展示する「ナポレオン博物館」があります。
- モネの家 (La Maison de Monet)
- パリの西北西70km、セーヌ川の北岸の村ジベルニー (Giverny) にある、画家モネが1883年から亡くなる1926年まで暮らした家です。
内部には収集した日本の浮世絵が展示され、アトリエも修復されています。
また庭園は色とりどりの花が咲き、代表作「睡蓮」のモデルとなった池のある日本式庭園もあります。
シャルトル
シャルトル (Chartres) は、パリの南西80km、田園地帯の中にある古くから司教座が置かれた古都です。
ノートルダム大聖堂が町のシンボルになっており、周辺は古い街並みが広がっています。
- ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame de Chartres)【世界遺産】
- 町の中心にある大聖堂で、町の名を冠して「シャルトル大聖堂」とも呼びます。
11世紀に創建され、1146年の火災の後、1260年に現在の形になりました。
正面にある2本の尖塔は建設時期が異なるため、右側が古いロマネスク様式、左が新しいゴシック様式になっています。
門の美しさや、「シャルトルの青」といわれる青いステンドグラスなど見所が多くあります。
聖母マリアがキリスト出産の際に着ていた聖衣が納められているといわれています。
- ピカシェットの家 (Maison Picassiette)
- 町の南東郊にある建物です。
墓守人のレイモン・イジドール氏が1930年に建てた家で、身近にある皿やビンの破片を30年かけて家の壁全体に貼りつけてオブジェにしたものです。
使った破片は400万個にのぼるといわれています。
ランス
ランス (Reims) は、パリの東北東130kmにある町で、シャンパーニュ地方の中心地です。
5世紀にフランク王国を築いたクロヴィスから、1825年のシャルル10世まで歴代王の戴冠式が行われた地です。
第一次、第二次大戦で歴史的な街並みは壊滅的被害を受けましたが、戦後フランス全土から建築家が集まり、さまざまな建築様式で再建されています。
町の郊外はブドウ畑が広がり、シャンパーニュ特産の発泡ワイン「シャンパン」の産地として有名です。
- ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame)【世界遺産】
- 市街の中心にあるゴシック様式の大聖堂で、町の名から「ランス大聖堂」とも呼ばれます。
5世紀に造営され、火災で焼失後、1241年に再建されたものです。
内部の天井はフランス一の高さを誇り、西側の壁には2300体を越える人物彫像があります。中でも「微笑む天使」像が有名です。
シャンパンの製造工程をモチーフにした興味深いステンドグラスもあります。歴代王25人の戴冠式はここで行われています。
- トー宮殿 (Palais du Tau) 【世界遺産】
- ノートルダム大聖堂の隣にある、大司教の公邸だった建物です。
現在は宝物殿になっており、王の戴冠式で使われた備品や、ノートルダム大聖堂にあった彫刻などが保管されています。
- サン・レミ聖堂 (Basilique Saint-Remi)【世界遺産】
- 市街の東部にあるベネディクト派の教会です。
1007年の着工から何度も修復を繰り返し、最後の修復の完成は1919年で、12世紀のステンドグラスが残されています。
内部には司教サン・レミの墓があります。
- 藤田のチャペル (Chapelle Foujita)
- 市街の北部にある小さな礼拝堂です。
日本出身の画家・藤田嗣治がカトリック改宗の洗礼親で友人のルネ・ラルーのために80歳の時に製作したもので、壁一面に自身のフレスコ画が描かれています。
アミアン
アミアン (Amiens) は、パリの北120kmにある町です。
12世紀には自治権を獲得した自由の雰囲気があふれる町で、18〜19世紀には織物産業で栄えました。
第二次大戦では空襲で大きな被害を受けましたが、アミアン大聖堂だけは破壊を免れています。
- ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame)【世界遺産】
- 市街の中心にあるゴシック様式の大聖堂で、町の名前から「アミアン大聖堂」とも呼ばれます。
1220年の着工で、68年をかけて完成し、パリのノートルダム寺院の2倍というフランス最大の規模を誇ります。
歴代フランス王の像や東方風のキリストの彫刻などが見所です。
- サン・ルー地区 (Saint-Leu)
- ノートルダム大聖堂の北の運河周辺の地域です。
かつての織物業の中心地で、運河に沿って古い街並みが続き、カフェやレストラン、アンティーク・ショップなども並びます。
毎週土曜日には野菜や花の市も開かれます。
ルーアン
ルーアン (Rouen) は、パリの西北西120kmの町です。
ローマ時代からセーヌ川の水運で発展し、セーヌ右岸(北側)の旧市街に歴史的建造物のスポットが点在します。
1431年にジャンヌ・ダルクが処刑された地でもあります。
- ノートルダム大聖堂 (Cathédrale Notre-Dame)
- 旧市街の中心部にあるゴシック様式の大聖堂です。
12世紀に着工して16世紀に完成したフランス・ゴシック様式の建物で、火災や戦争で度重なる修復が行われています。
151mの尖塔は国内で一番高いものです。画家モネがこの大聖堂を30作以上描いています。
- サン・マクルー教会 (Eglise Saint-Maclou)
- ノートルダム大聖堂の東にあるゴシック様式の教会です。
ルネサンス様式の彫刻が施された塔やステンドグラスが見所です。
前庭のアトリウムはかつて納骨堂だったところで、ドクロの彫刻が彫られています。
- サン・トゥアン教会 (Eglise Saint-Ouen)
- ノートルダム大聖堂の北東にある教会です。
7世紀創建のベネディクト派修道院を、14世紀に教会に改修したものです。中央には「ノルマンディの王冠」と呼ばれる王冠状の尖塔があります。
100枚近い美しいステンドグラスも有名です。
- ビュ・マルシェ広場 (Place du Vieux-Marché)
- ノートルダム大聖堂の西0.5kmにある市が立つ広場です。
1431年にジャンヌ・ダルクが火刑に処せられた場所で、広場前にはロウ人形で当時を再現する「ジャンヌ・ダルク博物館」や美しいステンドグラスで飾られた「ジャンヌ・ダルク教会」があります。
オンフルール
オンフルール (Honfleur) は、セーヌ川の南岸、河口近にある港町です。
旧ドックの南に旧市街があり、古い木組みの家が建ち並んでいます。
- 旧港 (Vieux Bassin)
- 17世紀に船着場だったところを改良した場所で、船だまりの周辺は木造の家が建ち並び、レストランやカフェが軒を連ねています。
印象派の画家がよく題材にした風景の地です。
- サン・カトリーヌ教会 (Eglise Saint-Catherine)
- 旧ドックの北に建つ国内最大の木造教会です。
15世紀の百年戦争で壊された教会の跡地に建てられたもので、経済的問題から石造りでなく町の船大工の技術を使った木造となりました。
別棟にはやはり木造の鐘楼があります。
- ウジェーヌ・ブーダン博物館 (Musée Eugene Boudin)
- サン・カトリーヌ教会の北西にある現代的建物の博物館です。
印象派の画家ブーダンの作品を中心に、ノルマンジー地方に住んだモネやクルベなどの作品も展示しています。
ノルマンジー地方の民族衣装や家具などの展示もあります。
- ノルマンジー橋 (Pont de Normandie)
- オンフルールの西方、セーヌ川にかかる橋です。1995年完成の長さ2150mの斜張橋で、支柱間856mは世界最大です。
オンフルールの対岸の町ルアーブル (Le Havre) からの陸路が短縮されています。
フランスの観光地