ドイツ旅行のいろいろ情報
ドイツの料理
特徴
ドイツ人は伝統的に「食」に対して執着がなく、全般的に質素な家庭料理的なものが料理の特徴といえます。
寒い地域が多く、味付けは塩味が強い傾向にあります。
食品としては地方色豊かなパン、ソーセージ、ジャガイモ、白ワイン、ビールといったものが中心になります。
伝統的な食事のパターンとしては、朝がバターやジャム付きのパン、昼が1日のメインでボリュームのある暖かい食事とデザート、4時ごろにお茶の時間を経て、夕食は比較的軽めのパンにハムやソーセージという「冷たい食事 (Kaltes Essen)」です。
ドイツの名物料理
- アイスバイン (Eisbein) = 豚のスネ肉を皮や骨の付いたまま数日間塩漬けにし、それを2〜3時間煮込んだもので、ドイツの代表料理です。ザウアークラウトやマッシュポテトを付け合せに食べます。
「氷のスネ」の意ですが温かい料理で、かつての肉の保存法からの命名のようです。
- シュニッツェル (Schnitzel) = 仔牛などの肉を叩いてのばし、パン粉をつけてフライパンで揚げたカツレツです。
- シュバイネブラーテン (Schweinebraten) = 豚肉のソテーです。南ドイツで食べられます。
- ザウアーブラーテン (Sauerbraten) = 酢と赤ワインに漬けた牛肉のソテーです。
- ルーラーデ (Roulade) = 薄切り肉でベーコンやタマネギなどを巻いて炒め、赤ワインソースで煮込んだものです。
- グーラッシュ (Gulasch) = ハンガリー風にパプリカが入った肉入りシチューです。
- フリカデレ (Frikadelle) = ハンバーグのことです。「ハンバーグ」といっても「ハンブルク」の名物ではなく、ハンブルクでも「フリカデレ」といいます。
「ハンバーグ」は、アメリカ人がハンブルクで初めてこのフリカデレを目撃し、「ハンブルク風ステーキ」と呼んだのがルーツのようで、アメリカの国民食「ハンバーガー」につながったようです。
- レーバーケーゼ (Leberkäse) = 豚肉やベーコンを使った一種のミートローフです。
バイエルン地方でよく食べられ、オードブルやスナック的な食べ物です。
「レバーのチーズ」の意で、チーズとは関係ない食品ですが、バイエルン地方ではレバーも入りません。
- シュパーゲル (Spargel) = 白アスパラガスの皮をむいて茹で、ソースをかけただけのものです。ドイツに春の訪れを告げる料理です。
- フォレレ・ブラウ (Forelle Blau) = マスに酢をかけて茹でたものです。
- フォレレ・ミュレリン (Forelle Müllerin) = マスのムニエルです。
- アール・ズッペ (Aal Suppe) = ウナギのスープで、ドライフルーツが入って甘酸っぱい味がします。ハンブルク名物です。
- ポンフリ (Pommes Frites) = フライドポテトで、スナックの代表格です。
- ザウアークラウト (Sauerkraut) = キャベツの千切りに塩や香辛料を入れて2週間ほど熟成させたものです。
自然発酵で酸っぱい味がします。一般に酢は使わずに作ります。
ドイツのソーセージ
ドイツはソーセージ大国で、全国で1500種類以上あるといわれています。
主に夕食の「冷たい食事」に登場しますが、町でもスナックとして食べることができます。
豚の部位を残さず活用することが特徴で、作り方もさまざまです。
ドイツ語でソーセージは「ヴルスト(Wurst)」、ハムは「シンケン(Schinken)」といいます。
ドイツ国民は一人年間に30kg(全国民が毎日82gづつ!)のソーセージを食べ、ハムは4kg弱食べるそうで、いかにソーセージ食いの国かがよくわかります。
茹でて食べるソーセージ
- フランクフルター・ヴルスト (Frankfurter Wurst) = 豚肉を細かく挽いて豚の小腸に詰め、燻製して茹でたものです。
いわゆる「フランクフルト・ソーセージ」で、日本では太目のソーセージの呼称ですが、ドイツではフランクフルト地方で産するものをいいます。
- ヴィーナー (Wiener) = 細かく挽いた豚赤身肉を羊の小腸に詰めて、燻製して茹でたものです。
工程はフランクフルターとほぼ同じで、日本でも「ウィンナー」と呼ぶ細いものです。
フランクフルトの職人がウィーンで紹介したもので、ドイツでは「ヴィーナー」といいますが、ウィーンでは「フランクフルター」と呼ぶというややこしいことになっています。
- ボックヴルスト (Bockwurst) = フランクフルター・ヴルストよりも粗挽きの豚肉を使ったもので、ゆでソーセージとして全国で食べられます。
- ヴァイスヴルスト (Weißwurst) = 仔牛の肉を使い、香草を混ぜた白いソーセージです。
時間が経つと味が落ちるため、作りたてを直前に茹でて食べるのが習慣です。肉屋でも午前中しか売らないことが多いようです。
- ビーアヴルスト (Bierwurst) = 細かく切った牛肉を使い、粒マスタードやニンニクを加えた加えたサラミに似たものです。
形状がビア樽に似ているからか、あるいはビールに合うからなのか、命名は定かではありません。
焼いて食べるソーセージ
- ブラートヴルスト (Bratwurst) = 豚肉を細かく挽いてさまざまに味付けをし、焼いて食べるもので、全国の街角で屋台で食べることができます。ケチャップやカラシを付け、小さなパン (ブレートヒェン / Brötchen) にはさんで食べたりします。
「焼きソーセージ」の意ですが、一般に細くて長いものは旧東ドイツのチューリンゲン地方(州都はエアフルト)発祥の「チューリンガー・ヴルスト (Thüringer Wurst)」のタイプです。
- ニュルンベルガー・ヴルスト (Nürnberger Wurst) = ドイツの中でも細く短いソーセージで、ニュルンベルクの名物です。
町で炭火で焼いて売っています。
- カレーヴルスト (Currywurst) = 焼いたソーセージを輪切りにして、上からケチャップとカレー粉をかけたものです。
ドイツにはカレーヴルストはあっても、カレーライスはありません。
その他のソーセージ
- レーバーヴルスト (Leberwurst) = 豚や牛のレバーを肉と混ぜてペースト状にすりつぶし、豚の腸に詰めて少し茹でたものです。
- ブルートヴルスト (Blutwurst) = 豚の血と脂肪を腸詰めにしたものです。
ギリシャ時代から食べられていたという歴史のあるものですが、日本人にはなじみがなく、旅行記などでは「旨い」という人と、「ダメ」という人に分かれます。
ドイツのビール
ドイツは一人当たりの消費量が日本の2.3倍というビール大国で、酒というよりは食品の感覚で生活に密着しています。
全国銘柄もありますが、全国で千を超える醸造所があり、5千を越える銘柄があるという、地域に根ざした飲み物になっています。
ただ、1516年にウィルヘルム4世が交付した法律「大麦、ホップ、酵母、水だけで作るべし」だけは遵守されています。
- ピルスナー (Pilsner) = 下面発酵ビールの代表格で、ドイツの消費量の7割を占めるタイプです。黄金色に澄んでドライな味です。
本家はチェコのピルゼン地方です。
- ミュンヘナー (Münchener) = ミュンヘンで作られる下面発酵ビールです。濃色麦芽を使った黒ビールで、アルコール度はやや高めです。口当たりもやや甘めです。
- ドルトムンダー (Dortmunder) = ドルトムント生まれの下面発酵ビールで、発酵度合いを高めた辛口です。
日持ちがよく、輸出用で活躍します。
- ボック (Bockbier) = バイエルン地方で作られる下面発酵ビールです。
アルコール度やや高めで、濃色で芳醇、コクのあるビールです。
- ラオホ (Rauchbier) = バンベルク名産の下面発酵ビールです。生のブナの木を燃やして乾燥させた麦芽を使い、独特の煙臭い香りが特徴です。
- ケルシュ (Kölsch) = ケルン名産の上面発酵ビールです。
淡い黄金色で、苦味が少ないさわやかなビールです。
- アルト (Alt) = デュッセルドルフの旧市街で飲まれている上面発酵ビールです。
大麦麦芽だけで作り、銅色ですっきり味です。
- ヴァイツェン (Weizenbier) = ミュンヘンなど南ドイツで産する上面発酵ビールです。
小麦麦芽を多く使い色が濃く、アルコール度も高めです。酵母を使ったものは白濁しているため「白ビール (Weißbier)」と呼びます。
- ベルリーナー・ヴァイセ (Berliner Weiße) = ベルリン産の上面発酵の白ビールです。
発酵に乳酸菌を使うため酸味が強く、甘い果実のシロップを混ぜてカクテル風に飲みます。
ドイツのその他の酒
- ワイン (Wein) = 生産地は、ボン以南のライン川と支流のモーゼル川、マイン川の流域と、ドレスデン周辺に限られています。
8割が白ワインで、甘口から辛口まで産地によってバラエティがあります。
- シュナップス (Schnaps) = アルコール度の強いブランデーやウィスキーを一般に呼び、「火酒」の訳語がついています。
穀類から作った蒸留酒「コルン (Korn)」や、サクランボの蒸留酒「キルシュバッサー (Kirschwasser)」なども含みます。
ドイツ・旅の雑学
- ベルリンの壁
- 第二次大戦後にベルリンは東西に分断されましたが、東ドイツが西側への亡命を阻止する目的で1961年に西ベルリンを囲む形で建設したのがベルリンの壁です。
構築後も壁を越える人は後を絶たず、逮捕や投獄、警備兵の襲撃を受けた人の数は数百人にのぼるといわれます。
ソ連の崩壊に始まった民主化の波で、1989年11月9日に東ドイツ政府が西ドイツへの往来開放の声明を出し、1990年10月3日に東西ドイツの統一が成りました。
壁は大半が崩され、市内にはわずかに残る程度になっています。
- ICE
- ドイツの高速列車"InterCity Express"の略で、ドイツ語では「イーツェーエー」と発音します。
1991年にハノーバー−フランクフルト−ミュンヘン間で営業を開始しました。
ドイツでは1968年に200km/hの高速運転を行っており、ICEによって最高速度が250km/hの営業運転にスピードアップされました。
2002年にはケルン-フランクフルト間で300km/h運転まで引き上げられています。
日本の新幹線が在来線とは完全別線を建設する方式に対し、ICEは高速用の別線と、在来線で高速走行可能な路線に改造したものを組合わせ、在来線の延長として運行する方式になっています。
車両も中間の客車を両端の機関車がひっぱる方式からスタートして、さまざまな形態を作っています。
新幹線やフランスのTGVに比べ、座席の間隔が広く、オーディオ設備を備え、軽食堂車も付いて居住性のレベルを高くしています。
1998年に、車輪構造の問題から、ハンブルク近郊で200km/h走行中に脱線、道路橋を壊して崩落した橋が客車に落下し、101人が死亡する大惨事を引き起こしています。
- アウトバーン (Autobahn)
- 直訳は「自動車道」を意味するドイツの高速道路です。
全国をカバーする高速道路で、日本と異なり大型トラックを除いて全線無料、しかも乗用車については全路線の半分近くが速度無制限になっています。
推奨速度は130km/hということですが、200km/h以上で走行していてもパッシングしてくる車がざらにあるようです。
最近、二酸化炭素の排出削減のために、「速度無制限」の看板を下ろし、最高速度を120km/hに規制しようという動きが出ています。
- ケルンのオーデコロン
- 1792年に、ケルンのビルヘルム・ミューレンスが修道士から授かった製法で作ったのが世界最初のオーデコロンといわれ、当時ケルンに駐留していたフランス軍兵士に絶賛されて、「ケルンの水 (Eau de Cologne)」としてフランスからヨーロッパ全土に広まったとされています。
ミューレンスの仕事場の住所番号はフランス軍によって「4711」と定められ、この数字がブランド名として今も使われています。
- オクトバーフェスト
- ミュンヘンで毎年9月後半から10月第1日曜日まで16日間開かれる世界最大のビール祭りです。
1810年にルートビッヒ1世と王女テレーゼの祝宴が起源で、パレードや民族音楽の演奏などが催され、毎回600万人もの人々が世界から訪れます。
もちろんビールも飲むことができ、この期間で大ジョッキ500万杯のビールが消費されるといわれます。
- マイセンの陶磁器
- 18世紀までヨーロッパには白い陶磁器はなく、中国や日本など東洋からしか入手できませんでした。
当時のアウグスト帝が錬金術師に命じて開発したのが現在のマイセンの陶磁器です。
完成後はその秘密を守るため、職人をマイセンのアルプレヒツブルク城の工房に閉じ込めて作らせたといわれています。
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