オーストラリア西部(オーストラリアの観光地 6)
オーストラリアの西部、全土の3分の1を占める広大な地域が、西オーストラリア州 (Western Australia) です。
この地域のほとんどが砂漠で、北部のキンバリー地域が熱帯のサバンナ、南西部のパース周辺が温帯の地中海性気候です。
これだけの地域に、わずか200万人の人口しかありません。
パース
パース (Perth) は、西オーストラリア州南西部にある人口170万人ほどの州都で、日本の7倍近くある広大な州の8割の人口がここに集中しています。
市内を、湖のように川幅を広げるスワン川 (Swan River) が流れ、北側に近代的なビジネス街、南に住宅街が広がっています。
1829年から開拓が始まった古い歴史を持ち、当時の建物も残っています。温暖な気候と豊かな自然があり、「世界一清潔な町」といわれています。
- ロンドン・コート (London Court)
- パースの中心部にあるショッピング・アーケードです。
1937年にチューダー様式で建てられ、ヨーロッパ風の街並みにアンティークや工芸品の店が並びます。
入り口にはロンドンのビッグ・ベン風のからくり時計があります。
- スワン・ベル (Swan Bells)
- ロンドン・コートの南、スワン川に面するバラック広場 (Barrack Square) に立つ高さ82mの塔です。
1998年の建国200年に、ロンドンの教会「セント・マーチン・イン・ザ・フィールズ」からオクターブの半音も含めた音階の12個の鐘が寄贈され、さらに6個を追加して18個の鐘をを納める塔として2000年に完成したものです。
鐘は毎日定時に人手でメロディが鳴らされます。
なおバラック広場はフェリーの発着場になっています。
- パース造幣局 (Perth Mint)
- ロンドン・コートの東1kmにあるオーストラリア最古の造幣局です。
1899年に設立されたもので、現在も稼動しています。
コインや金に関する展示や、金の延べ棒製作の実演などを見ることができます。
- 西オーストラリア美術館 (Art Gallery of Western Australia)
- ロンドン・コートの北にある1979年開館の美術館です。
近代のオーストラリア画家の作品の他、アボリジニ・アートも常設展示しています。
- 西オーストラリア博物館 (Western Australian Museum)
- 西オーストラリア美術館の北隣にある博物館です。
西オーストラリアの中心的な博物館で、自然保護やアボリジニの文化財保護研究の中心になっています。
野生の動植物標本、鉱物のほか、アボリジニの文物、難破船などの海洋考古学資料など、幅広い展示があります。
- キングス・パーク (Kings Park)
- 市街中心部の西にある広さ400haの広大な自然公園です。
森が広がる中に、動物園、植物園、戦争記念館、グラウンド、テニスコートなどがあります。
東部には展望台があり、市街やスワン川が一望できます。
- モンガー湖 (Lake Monger)
- 市街中心部の北西5kmにある湖です。
野鳥が多く集まる湖として知られ、特に州の鳥「黒鳥(Black Swan)」が生息していることで知られています。
野生ですが人に慣れており、観光客の手から餌を与えることができます。
パース周辺
- フリーマントル (Fremantle)
- パース市街の南西20km、スワン川の河口にあるインド洋に臨む港町です。
1829年にイギリスのキャプテン・フリーマントルが植民地宣言をして開拓が始まり、1887年建造の「タウン・ホール (Town Hall)」、1831年建造の植民地時代の囚人刑務所「ラウンドハウス (Round House)」、1991年まで使われた「フリーマントル刑務所跡」などの古い建物が残っています。
週末に開かれる「フリーマントル・マーケット」は多くの露店が並び賑わいます。
世界最大のヨットレース「アメリカズ・カップ」の優勝チームの本拠地だったことでも知られています。
- ロットネスト島 (Rottnest Island)
- フリーマントルの西20kmのインド洋に浮かぶ東西11km、南北5kmほどのリゾート・アイランドです。
夏季はマリン・スポーツが楽しめ、それ以外の季節はこの地方原産のワイルド・フラワーが咲き乱れます。
ネズミに似たクオッカという動物が多く、他にも多くの野生動物が生息するため、島の自動車台数が制限されています。
パース市内からフェリーで1時間30分です。日帰りツアーもあります。
- サンセット・コースト (Sunset Coast)
- パース市街の西15km、インド洋に臨む海岸で、数十kmにわたって白砂のビーチがいくつも続いています。
西に沈む夕陽が美しいビーチです。
海岸沿いにリゾート・ホテルやカフェ、ショッピング・モールなどがありますが、沿線には自然が多く残されています。
- ロッキンハム (Rockingham)
- パースの南40kmにある美しいビーチです。
周辺に生息する野生のイルカと一緒に泳げるツアーが人気のスポットです。
シュノーケルをつけてのツアーになりますが、初心者でもレクチャーを受けて参加することができます。
近くにはペンギンやアシカが生息する「ペンギン・アイランド (Penguin Island)」もあります。
- バッセルトン (Busselton)
- パースの南180kmにある港町です。
青く透き通った海に向かって2kmにも及ぶ木製の桟橋が沖まで伸びているのが有名です。
1830年代に造られたもので、桟橋の上を先端まで観光列車も走ります。
桟橋からフィッシングができ、飛び込んでダイビングもできます。
- マーガレット・リバー (Margeret River)
- バッセルトンの南西40km、やや内陸に入ったマーガレット川沿いの町です。
一帯は石灰岩質の台地で、「レイク・ケーブ (Lake Cave)」をはじめ鍾乳洞がいくつもあります。
また良質のブドウの栽培地でワイナリーも点在します。
- ペンバートン (Pemberton)
- マーガレット・リバーの南東90kmにある町です。
世界でも珍しい巨木「カリー」の森があり、町から観光鉄道が出て森林浴ができます。
高さ60mほどの木の頂上にかつて山火事発見用の火の見櫓として使われた展望台があり、登ることができますが、木に打ち込まれた鉄杭を伝って登るので自信のない人はやめたほうがいいでしょう。
- アルバニー (Albany)
- ペンバートンの東南東150kmにある町です。
西オーストラリアで最初となる1826年に入植を開始した町で、その後捕鯨の基地として発展し、現在はホエール・ウォッチングの拠点となっています。
町には古い建造物が残って落ち着いた街並みを見せています。
町の南にある半島は「トーンディラップ国立公園 (Torndirrup National Park)」となっていて、断崖の岩が荒波で削られてできた造形の「ナチュラル・ブリッジ (Natural Bridge)」や「ザ・ギャップ (The Gap)」などが見所です。
- ウェーブ・ロック (Wave Rock)
- パースの東350km、ハイデン (Hyden) の町の近くにある、高さ15m、幅100mの大波が押し寄せるように丸く湾曲した巨大な一枚岩の岩壁です。
鉄分を含んだ岩が風雨にさらされてできたものといわれています。
パースからのツアーがあります。
西オーストラリア州中部
- ピナクルズ (Pinnacles)
- パースの北250km、ナンバング国立公園 (Nanbung National Park) にある奇岩群です。
インド洋近くの砂漠の中に、大きいもので高さ4mの尖塔のような岩が無数に立ち並んでいます。
太古の原生林が化石化して風化したものといわれています。
観光は砂漠の中を走るため4WDで行います。
シャーク・ベイ (Shark Bay) は、パースの北北西800km、オーストラリア最西端にある湾です。
2つの半島と細長い島々で囲まれた湾で、野生生物が豊富で、珍しい生物形態も見られます。
世界遺産に登録されています。
- ハメリン・プール (Hamelin Pool)【世界遺産】
- シャーク・ベイの南東奥にある、地球最古の生物ストロマライトが生息する海岸です。
ストロマライトは35億年前からのラン藻類で、光合成しながら砂や泥を粘液で固定して黒い岩のように成長したもので、太古の昔から地球の酸素はこれが作り出してきたといわれています。
シャーク・ベイのこの付近は塩分濃度が濃いために天敵が生息できないため、ここに生き残ったものと考えられています。
遊歩道から見学ができます。
- モンキー・マイア (Monkey Mia)【世界遺産】
- ハメリン・プールの北西70km、北西に伸びるペロン半島の東岸にあるビーチ・リゾートです。
ビーチで野生のイルカが餌付けされて多く集まってくることで有名です。
またペリカンも人を恐れずに集まりますし、世界の8分の1といわれる数のジュゴンが生息していることでも知られます。
リゾート・ホテルやレストランなどがあります。
- シェル・ビーチ (Shell Beach)【世界遺産】
- ハメリン・プールからペロン半島の東岸にあるデナム (Denham) まで約100kmのビーチです。
白い二枚貝の貝殻が堆積してできており、深いところでは10mにも及ぶといわれています。
約4千年前からできはじめたといわれています。
エクスマウス (Exmouth) は、シャーク・ベイの北450km、インド洋に突き出たノースウェスト岬の北端にある人口3千人の小さな町です。
冷戦時代にアメリカ海軍の無線基地として建設されましたが、現在は閉鎖され、代わってニンガルー・リーフ観光の玄関口として観光客が集まっています。
リゾート・ホテルをはじめさまざまなタイプの宿泊施設があります。
- ニンガルー・リーフ (Ningaloo Reef)【世界遺産】
- ノースウェスト岬西岸沖合いのインド洋に広がる珊瑚礁です。
全長250kmで、規模ではグレート・バリア・リーフに及びませんが、連続性では凌いでおり、ビーチから2km以内程度にあるのも特徴です。
マンタやジンベイザメ、ジュゴンなどの出会える確率も高いといわれ、ダイバー憧れのスポットになっています。
エクスマウスやコーラル・ベイからのダイビング・ツアーがあります。
- コーラル・ベイ (Coral Bay)
- エクスマウスの南150km、南回帰線上にある静かなリゾート村です。
透明度の高い海と珊瑚礁が目の前に広がるビーチがあります。
宿泊施設は少ないですが、ニンガルー・リーフの南の玄関口となっています。
西オーストラリア州北部
キンバリー (Kimberley) は、西オーストラリア州北端部の地域です。
近年までほとんど知られていなかった未開の大自然が残る地域で、険しい山脈、台地、渓谷が広がっています。
太古にアフリカと陸続きだった証として「バオバブ」という熱帯樹がこの地域だけにあるのも特徴です。
地域内にはアボリジニの村が点在し、わずかな人間が住む町が周辺部にある程度です。
道路も東西を結ぶハイウェイ以外はほとんど無いに等しく、観光は遊覧飛行機や、4WDのツアーが主になります。
- カナナラ (Kununurra)
- ダーウィンの南西400km、キンバリーの東の入り口となる人口5千人ほどの町です。
キンバリー東部地域の観光ツアーの出発点になります。
- アーガイル湖 (Lake Argyle)
- カナナラの南40kmにある幅30km、奥行き60kmに及ぶ広大なダム湖で、1970年代にカナナラ下流の農業用水確保のために造られたものです。
雨季と乾期がある気候のために、乾期には面積が最大時の半分の大きさになるといいます。
- オード川 (Ord River)
- アーガイル湖から北へ流れカナナラを通る川で、アーガイル湖のダムからカナナラまで半日間かけてゆっくり進むクルーズ・ツアーがあります。
野鳥やワニ、大コウモリなどを間近で観察することができます。
- アーガイル・ダイヤモンド鉱山 (Argyle Diamond Mine)
- アーガイル湖の南西30kmにあるダイヤモンド鉱山です。
年間の産出カラット数が世界最大で、重さにして8tのダイヤモンドを産出しています。
特に稀少な「ピンク・ダイヤモンド」が採れることで有名で、カナナラから見学ツアーが出ています。
カナナラの町にはここで産出したダイヤモンドを販売する宝石店もあります
- バングル・バングル (Bungle Bungles)【世界遺産】
- カナナラの南150kmにある、秘境キンバリーを代表する奇岩群です。
広大な地域に広がる赤茶色の砂岩が堆積した地層の地肌を見せ、3億5千万年の歳月をかけて地殻変動や風雨の浸食でさまざまな奇岩を作リ出したものです。
観光は4〜10月の乾期のみで、4WDか空からの遊覧飛行になります。
なお、この地域は「パヌルル国立公園 (Parnululu National Park)」に指定されています。
- ホールズ・クリーク (Halls Creek)
- カナナラの南南西300km、キンバリーの南東部の町です。
1885年に金鉱が発見されてゴールドラッシュに沸きましたがその後ゴーストタウンとなりました。
現在はカナナラとブルームを結ぶハイウェー近くに町を移し、この地域のキンバリー観光の拠点になっています。
- ウォルフ・クリーク・クレーター (Wolfe Creek Crater)
- ホールズ・クリークの南100kmにある巨大なクレーターです。
30万年前の隕石の衝突でできたもので、幅800m、深さ50mはアメリカのバリンジャー・クレーターに次ぐ世界第2の規模です。
中心部はいまだに黒っぽいまま残っているということです。
ホールズ・クリークから乾期中の4WDツアー、通年の遊覧飛行ツアーがあります。
- ブルーム (Broome)
- カナナラの東南東700km、インド洋に臨む人口1万人弱の熱帯の町で、キンバリー観光の南西の入り口の一つで、リゾート地です。
19世紀末から真珠の世界的な生産地として発展し、当時は日本からも多くの真珠ダイバーが来ていました。
郊外には潜水病やサイクロンで亡くなった「日本人墓地」もあります。
22kmに及ぶ白砂のビーチ「ケーブル・ビーチ (Cable Beach)」は遠浅で透明度が高く、浜辺をラクダに乗って歩く「キャメル・ライド (Camel Ride)」が人気です。
また3〜10月の満月の夜に、月明かりが海に反射して光の階段のように見える現象「月への階段 (Staircase to the Moon)」が有名です。
- ダービー (Derby)
- ブルームの東北東150kmの小さな町で、キンバリー西部の観光拠点です。町の南にはアボリジニの村があります。
近郊にはかつて白人がアボリジニを奴隷として使うため、鎖でつなぎ留め、牢獄にも使用したバオバブの大木「囚人の木 (Boab Prison Tree)」があります。
内部が空洞になっており、アニメ「となりのトトロ」でのモデルになりました。
- ウィンジャナ峡谷 (Windjana Gorge)
- ダービーの東130kmにある長さ4kmの峡谷です。
3億5千万年前の珊瑚礁が隆起し、レナード川の浸食でできたものといわれています。
急峻な断崖に豊富な水量の川は迫力があり、ワニが川岸で日光浴している姿も見られます。
アボリジニの壁画が残る洞窟もいくつかあります。
オーストラリアの観光地