シドニーとキャンベラ(オーストラリアの観光地 1)
ニュー・サウス・ウェールズ州 (New South Wales) は、オーストラリア東南部の州で、東はタスマン海に面します。
シドニー (Sydney) はその東部に位置する州都で、タスマン海から西に長く切れ込む湾に臨む、世界三大美港に数えられる美しい町です。
人口460万人の国内最大の都市で、広大なオーストラリアの人口の2割以上が集中しています。
1770年にイギリスの探検家ジェームズ・クックが上陸した地で、1788年にイギリス人が入植したのが市の始まりで、あわせてオーストラリア発祥の地でもあります。
19世紀の中頃からはゴールドラッシュで急速に発展しました。
オーストラリアの経済、文化の中心地で、2000年にはオリンピックが開かれました。
キャンベラ (Canberra) は、シドニーの南西270kmにあるオーストラリアの首都です。
1901年のイギリスからの独立の際に、首都をシドニー、メルボルンのいずれにするかで議論が分かれ、1908年に双方の中間点のこの地に新たに建設することに決定しました。
1913年からアメリカの建築家グリフィンの設計で建設が開始され、1927年に臨時首都のメルボルンから議会が移転されたのをはじめに、各省庁の移転は1960年代までかかりました。
町は人口37万人ほどで、人工湖のバーリー・グリフィン湖 (Lake Burley Griffin) を中心に同心円状の街路を基本に設計されています。
観光地ではないため、首都機能を果たす建造物の見学が主になります。シドニーから日帰りツアーもあります。
シドニー
- オペラ・ハウス (Opera House)【世界遺産】
- シドニー中心部の北、湾のそばに建つ白い貝殻を重ねるように立てた美しい建物で、シドニーのランドマークとして非常に有名です。
デザイン・コンテストで選ばれたデンマークの建築家ヨルン・ウッツォンの設計で、1973年に完成しました。
内部にはコンサート・ホール、オペラ劇場、演劇用の劇場やスタジオなどがあります。
2007年に世界遺産に登録されました。
- ハーバー・ブリッジ (Harbour Bridge)
- オペラ・ハウスの西、シドニー湾にかかる橋です。
1932年の完成で全長503mあり、その形から「コートハンガー」とも呼ばれます。
アーチの両端にある橋塔(パイロン)のうち、南東側のものは博物館と展望台になっています。
歩いて渡ることもでき、アーチを登るツアーもあります。
- サーキュラー・キー (Circular Quay)
- オペラ・ハウスとハーバー・ブリッジにはさまれた港で、1788年にフィリップ総督が率いる囚人を乗せた移民船が上陸した場所です。
シドニー湾の観光船や通勤通学用のフェリーが発着します。
付近はシドニーの観光地区で、ホテルやレストランも多くあります。
- ロックス (The Rocks)
- サーキュラー・キーの西側の地域で、当時は岩だらけだったためこの名がついたといわれます。
1970年代に古い建物を中心に当時の街並みを復元し、美術館や工芸品の店などが並んでいます。
- 王立植物園 (Royal Botanic Gardens)
- サーキュラー・キーの東側にある1816年設立の広大な植物園です。
入植者の野菜農場として作られたのが最初で現在は4千種の植物が栽培されています。
北東端の岬、「ミセス・マコーリーズ・ポイント (Mrs.McQuarie's Point)」はかつて総督の妻が故郷イギリスを偲んで船を眺めていたという場所で、ハーバー・ブリッジやオペラ・ハウスが眺められる絶好のポイントです。
- ハイド・パーク(Hyde Park)
- 王立植物園の南、市の中心部近くにある公園です。
東西300m、南北1kmほどある緑豊かな公園で、ロンドンのハイド・パークの名を取って名づけています。
- 聖メアリー大聖堂 (St. Mary's Cathedral)
- ハイド・パークの北東隣にある国内最大で最古のカトリック教会です。
19世紀初め頃の創建ですが、焼失して再建されたものです。
高さ75mあり、美しいステンドグラスやモザイク模様の大理石の床などが見事です。
- オーストラリア博物館 (Australian Museum)
- ハイド・パークの東隣にある国内最大の博物館です。
1827年創設で、オーストラリアの動植物や、先住民アボリジニに関する資料や標本を展示しています。
- シドニー・タワー (Sydney Tower)
- ハイド・パークの西、市街の中心部にある高さ305mの展望塔です。
頂上近くに展望台があり、シドニーの全景を眺めることができます。景色を眺めながらの回転レストランもあります。
- ダーリング・ハーバー (Darling Harbour)
- 市街中心部の西側にある入り江周辺の地区で、羊毛の輸出港が衰退して廃墟となっていた場所を再開発したものです。
ウォーターフロントに、「シドニー水族館 (Sydney Aqualium)」、「国立海洋博物館(National Maritime Museum)」などのスポットがあり、レストランも多くあります。
カジノやナイトクラブなどの集まる「スター・シティ (Star City)」や、南半球最大の魚市場「シドニー・フィッシュ・マーケット (Sydney Fish Market)」も近くにあります。夜景もきれいな地区です。
- チャイナ・タウン (China Town)
- ダーリング・ハーバーの南、ディクソン通り (Dixon St.) を中心とした中華街です。
アジア各都市の中華街の規模には及びませんが、数百mの範囲に中華料理や日用、雑貨の店が並びます。
- タロンガ動物園 (Taronga Zoo)
- 市街の北東4km、湾の北岸にある動物園です。コアラやカンガルー、カモノハシなどオーストラリアを代表する動物がいます。
周辺は国立公園に指定されており、周囲の環境や景観が素晴しく、世界一の動物園という評価もあります。
サーキュラー・キーから船で10分ほどで行けます。
- ボンダイ・ビーチ (Bondi Beach)
- 市街の東南東7km、タスマン海に臨むビーチです。
大都市の市街から近いですが水はきれいで海水浴が楽しめ、サーフィンも盛んです。レストランやカフェなどもあります。
- マンリー・ビーチ (Manly Beach)
- 市街の北東10km、シドニー湾口の北でタスマン海に臨む高級ビーチ・リゾートです。
シドニーの通勤圏でもあり、ビジネスマンの住むマンションも点在します。
サーキュラー・キーから高速船で15分、フェリーで30分ほどで行けます。水の非常にきれいなビーチです。
キャンベラ
- 国会議事堂 (Parliament House)
- バーリー・グリフィン湖の南1.5km、南側の環状道路の中心にある議事堂で、7年をかけて建設され、1988年に完成しました。
大理石をふんだんに使い、内部も豪華に仕上がっています。無料のガイドツアーがあります。
なお1927年から使われていた旧議事堂は北1kmにあり、現在はオーストラリアの歴史上の人物の肖像画を展示する「国立ポートレート・ギャラリー (National Portrait Gallery)」になっています。
- 戦争記念館 (War Memorial)
- 湖の北、国会議事堂の北東4kmにある、オーストラリアの関わった戦争の資料を数多く展示する博物館です。
第二次大戦の日本軍の資料もあります。戦死者を追悼するホールや記念碑などもあります。
- テルストラ・タワー (Telstra Tower)
- 湖の北西の丘のブラック・マウンテン (Black Mountain)」の頂上に建つ、高さ195mの展望タワーです。
展望台から市街が一望でき、回転レストランやカフェなどもあります。
シドニー周辺各地
- ブルー・マウンテンズ国立公園 (Blue Mountains National Park)【世界遺産】
- シドニーの西100kmにある山岳公園です。
標高1000m程度の丘陵が連なり、森や峡谷、滝などの自然が広がっています。
基点の町はカトゥーンバ (Katoomba) で、宿泊所や土産物店などが集まっています。
近くのエコー・ポイント (Echo Point) 展望台からは、アボリジニ伝説で美しい3姉妹が岩に変えられたという奇岩「スリー・シスターズ (The Three Sisters)」を見ることができます。
トロッコ列車や原生林の上を進むロープウェイなどのアトラクションがある「シーニック・ワールド (Scenic World)」も近くにあります。
- ハンター・バレー (Hunter Valley)
- シドニーの北150km、セスノック (Cessnock) の町を中心に広がるオーストラリア随一のワイン産地で、70以上のワイナリーが集まっています。
セスノックから南側をロウワー・ハンター・バレー (Lower Hunter Valley)、北側をアッパー・ハンター・バレー (Upper Hunter Valley) といいますが、ロウワーのほうにワイナリーが集中しています。
気軽にテイスティング(味見)をしながらワイナリーめぐりを楽しむことができます。
- ノース・コースト (North Coast)
- シドニーの北北東150kmの町ニューキャッスル (Newcastle) から北へクイーンズランド州境付近まで、約500kmにわたる海岸の総称です。
一年中温暖な気候で、開放的でのんびりとしたビーチリゾートが点在します。
ポート・スチーブンス (Port Stephens) は、ニューキャッスルの北東30kmの港町で、野生のイルカや鯨のウォッチング・クルーズが人気です。
ポート・マクォーリー (Port Macquarie) は、ニューキャッスルの北北東180kmの港町で、ダイビングやフィッシング、サーフィンなどさまざまなマリン・スポーツが可能です。国内有数のコアラの生息地でもあり、国内で唯一のコアラ専門病院があることでも知られています。
コフス・ハーバー (Coffs Harbour) は、ニューキャッスルの北北東300kmの港町で、寒流と暖流がぶつかる海域でさまざまな魚が見られる魅力的なダイビング・ポイントです。ジャングルを流れる「ニンボイダ川 (Nymboida River)」探検や、熱帯植物園「ビッグ・バナナ (Big Banana)」見学などもできます。
バイロン・ベイ (Bylon Bay) は、ニューキャッスルの北北東470kmの町で、北60kmには「ゴールドコースト」があります。オーストラリアの最東端の岬があり、サーフィンのメッカとして人気があります。
オーストラリアの観光地