メルボルンとタスマニア(オーストラリアの観光地 2)
ビクトリア州 (Victoria) は、オーストラリア東南部、位置的にはオーストラリアの中でも最も南に位置する地域で、観光スポットも多くあります。
穏やかな気候で、全域でブドウ栽培が行われてワイン製造が盛んです。
メルボルン (Melbourne) は、ビクトリア州の中南部、シドニーに次ぐ人口400万人のオーストラリア第2の都市です。
オーストラリアの中で最もイギリス色の濃い美しい街並みで、庭園や公園が450以上あり「ガーデン・シティ」と呼ばれます。
一方で、人口の4分の1は世界の多数の国からの移民で、多様な国際色も出しています。
市街の中心部「シティ」は約2km四方に碁盤の目のように街路が走り、その周辺にいくつもの公園があります。「シティ」の南をヤラ川 (Yarra River) が流れています。
市内を縦横に走る路面電車「トラム」は観光には便利です。
タスマニア (Tasmania) は、オーストラリア本土の南約250kmにある、北海道の8割ほどの広さを持つ島で、全体がタスマニア州となっています。
多くの地域が国立公園に指定されて自然が多く、人が住む土地では世界一空気がきれいだと言われています。
島の形がリンゴに似ており「アップル・アイランド」とも言います。
ホバート (Hobart) が、タスマニア島南部にある人口20万人弱の州都です。
1804年に開かれた歴史の古い港町で、港のあるサリバンズ入江 (Sullivans Cove) を中心に開拓時代の建物が残る町が広がっています。
タスマニア観光の拠点でもあります。
メルボルン
- メルボルン展望台 (Melbourne Observation Deck)
- シティの中心部、繁華街で金融街のコリンズ通り (Collins St.) の西端近くにある高層オフィスビル「リアルト・タワー (Rialto Tower)」55階にある展望台です。
360度市街を眺めることができます。
ビルは66階建ての高さ253mで、南半球では最も高いビルです。
- メルボルン水族館 (Melbourne Aqualium)
- リアルト・タワーの南、ヤラ川河畔にある観光アトラクションとしての水族館です。
1999年開館で金魚からサメ、エイまで300種類の魚が泳いでいます。
カフェやレストランの他に、ダイビング・スクールなども施設もあります。
- フィッツロイ庭園 (Fitzroy Gardens)
- シティの東にあるユーカリの森が広がる美しい公園です。
1857年に完成し、東西500m、南北700mの長方形の敷地に、英国の旗「ユニオンジャック」を模した「米」字型をベースに遊歩道が造られています。
- キャプテン・クックの小屋 (Captain Cook's Cottage)
- フィッツロイ庭園内にある、イギリスの探検家ジェームズ・クックの少年時代に過ごしたレンガ造りの小さな家です。
実際の故郷はイギリス中部のヨークシャー地方で、最初に建てられたのは1755年です。1934年のメルボルン100年祭にここに移築されたものです。
内部にはクックに関する資料が展示されています。
- 州議事堂 (Parliament House)
- フィッツロイ庭園の西にあるビクトリア州の議事堂です。
1856年に建てられたギリシャ神殿のようなコリント様式の建物で、1927年に首都がキャンベラに移るまでは臨時連邦議事堂として使われました。
議会の会期外の平日には無料のガイドツアーがあります。
また近くには同時期に建てられたネオ・クラシック様式の「旧大蔵省」の建物もあります。
- 聖パトリック大聖堂 (St. Patrick's Cathedral)
- フィッツロイ庭園の北西にある国内最大のゴシック様式の大聖堂です。
着工が1858年で、80年の歳月をかけて1939年に完成しました。
尖塔は約110mの高さがあり、2千人以上が収容できます。
美しいステンドグラスやモザイクがあります。
- ロイヤル・エキシビション・ビル (Royal Exhibition Building)【世界遺産】
- シティの北東、フィッツロイ庭園の北西1km、カールトン庭園(Carlton Gardens)内にある白亜の建物です。
1880年の万国博覧会のために建てられ、ビザンチン、ロマネスク、ルネサンスなどの様式を取り入れ、中央に聖堂のようなドームを配しています。
1888年にも万国博を開催し、1891年に最初の国会も開かれた歴史ある建物です。
まわりのカールトン庭園も万国博のために造られたものです。
- 旧メルボルン監獄 (Old Melbourne Gaol)
- カールトン庭園の南西にあるネオ・クラシック様式の建物です。
1845年から1929年まで監獄として使われ、現在は博物館となっています。
独房や絞首台、拷問の道具などが見学できます。
期間中に100人以上が処刑され、権力に対抗して民衆に愛されたオーストラリア版ねずみ小僧・ネッド・ケリーの遺品やデスマスクも展示されています。
- クイーン・ビクトリア・マーケット (Queen Victoria Market)
- シティの北、カールトン庭園の西1kmにあるメルボルン最大の市場です。
1859年創業の歴史ある市場で、広いスペースに野菜、肉、魚などの生鮮食料品や衣料品、日用品の店が出ています。
- ビクトリアン・アーツ・センター (Victorian Arts Centre)
- シティの南、ヤラ川にかかるプリンセス橋を越えた南にある芸術エリアです。
大中小の劇場で構成する「ザ・シアター (The Theatres)」、アボリジニの作品を多く展示する「ビクトリア国立美術館 (National Gallery of Victoria)」と「メルボルン・コンサート・ホール (Melbourne Concert Hall)」があります。
- キングス・ドメイン (Kings Domain)
- シティの南東、ヤラ川の南に広がる南北2km、東西1kmほどの広大な公園です。
40haの広さを持ち1万2千種以上の植物を集めた「王立植物園 (Royal Botanic Gardens)」を中心に、いくつもの庭園があります。
また園内には野外音楽堂や記念碑、戦没者慰霊堂などもあります。
- コモ・ハウス (Como House)
- シティの南東5km、ヤラ川を見下ろす丘にある2階建ての白亜の邸宅です。
1847年に建てられ、上流階級の人々が代わる代わる所有してきました。
各部屋に高価な調度品や骨董品が飾られ、当時の豪勢な生活の様子がうかがえます。
- セント・キルダ (St. Kilda)
- シティの南5km、ポート・フィリップ湾 (Port Phillip Bay)に臨むビーチ・エリアです。
お洒落なレストランやカフェが並び、日曜日にはフリーマーケットが開かれます。
近くには1912年開園の遊園地「ルナ・パーク (Luna Park)」があります。
ビクトリア州各地
- ヤラ・バレー (Yarra Valley)
- メルボルン北東50kmの丘陵地にあるオーストラリア屈指のワイン産地です。
40余りのワイナリーがあり、試飲しながらワイナリー巡りもできます。
試飲は有料のところが多いですが、付属するレストランなどに入ると無料になるところもあります。
- フィリップ島 (Phillip Island)
- メルボルンの南80km、ウェスタン・ポート湾 (Western Port Bay) の南入り口に浮かぶイルカのような形の島です。
東西20km、南北10kmほどの島で、バス海峡に臨む南岸は野生動物の宝庫です。
日没後に世界最小で体長30cmほどのフェアリー・ペンギンが浜辺の巣に群れになって帰る「ペンギン・パレード」が有名(撮影は禁止)で、野生のコアラやオットセイの観察もできます。
ホテルやレストランなどの施設は島北部の町・カウズ (Cows) に集まっています。
- グレート・オーシャン・ロード (Great Ocean Road)
- メルボルンの南西70kmの町ジーロング (Geelong) から西へ海岸沿いに走る道路です。
西端のポートランド (Portland) まで約300kmあり、沿線は絶壁の海岸や森まどの景勝地が続きます。
ほぼ中間地点にあたるポートキャンベル (Port Campbell) 近くには、絶壁の前に12の塔状の巨岩が点々と建ち並ぶ「十二人の使徒 (The Twelve Apostles)」があり、このコースのハイライトとなっています。
またここから西60kmにあるウォーナンブール (Warrnambool) では、5〜9月に鯨が子育てに集まりホエール・ウォッチングができます。
- ゴールド・フィールド (Gold Field)
- メルボルンの北西部にある1850年代にゴールド・ラッシュに沸いた地域で、点在する町には当時の面影を残す建物や資料館があります。
メルボルン西北西110kmのバララット (Ballarat) は当時の街並みが残り、かつての金鉱跡に造られ当時の生活を再現したテーマパーク「ソブリン・ヒル (Sovereign Hill)があります。
メルボルン北北西140kmのベンディゴ (Bendigo) にはかつての鉱山がそのまま博物館となっており、地下の採掘現場の見学ができます。
- グランピアンズ国立公園 (Grampians National Park)
- メルボルンの西北西300km、砂岩の岩山が連なる山岳地帯で渓谷や湖、太古からのユーカリの森などが広がっています。
3万年前からアボリジニの聖地で、彼らの壁画なども残されています。
拠点の町はホールズ・ギャップ (Halls Gap) で、ひさしのように突き出した崖「バルコニーズ (Balconies)」や「マッケンジー滝 (McKenzie Falls)」などのスポットがあります。
トレッキングやロック・クライミングなどができます
ホバート
- サラマンカ・プレイス (Salamanca Place)
- 港の南側、1830年代に建てられた400mにわたって倉庫群が建ち並ぶ場所で、かつては捕鯨船が出入りして賑わいました。
現在はレストランやカフェ、アート・ショップが入ったお洒落な町になっています。
毎週土曜日のフリー・マーケットが有名です。
- 南極アドベンチャー (Antarctica Adventure)
- サラマンカ・プレイス近くにある南極に関する展示や体験ができる施設です。
低温体験や雪上車にも乗ることができます。
当日のホバートの星空をガイドするプラネタリウムもあります。
- バテリー・ポイント (Battery Point)
- サラマンカ・プレイスの南の丘にある、19世紀初頭の市建設当時のジョージア様式の建物が残る住宅地です。
1818年に北東の海岸に砲台 (Battery of Gun) が設置されたためにこの名前がついています。
古い街並みに、レストランやアンティークショップが並びます。
- タスマニア博物館・美術館 (Tasmanian Museum & Art Gallary)
- 港の西にある博物館と美術館を併設したスポットです。
アボリジニの生活や文化に関する展示を中心に行っています。
タスマニア固有の動物や鳥類の展示もあり、1936年に絶滅したとされるタスマニアン・タイガーの剥製が見ものです。
- ネルソン山 (Mt.Nelson)
- ホバートの南5kmにある標高340mの山で、ホバートの町を見下ろす展望スポットの一つです。
開拓時代に電信がなかった頃、この頂上から人力で遠方に合図を送っていた施設が残っています。
- ウェリントン山 (Mt.Wellington)
- ホバートの西8kmにある標高1270mの山です。
山頂に展望台があり、湾をバックにした市街が展望できます。
タスマニア各地
- リッチモンド (Richmond)
- ホバートの北北東25kmにある町です。
1820年代に入植が始まり、今も当時の建物が多く残っています。
1823年に流刑囚によって造られたオーストラリア最古の石橋「リッチモンド橋 (Richmond Bridge)」や、1837年創建で国内最古のカトリック教会「聖ジョン・カトリック教会 (St.John Catholic Church)」などがスポットです。
なお、リッチモンド橋は、囚人に嫌われて川に突き落とされて死んだ建設監督の幽霊が出るという噂があります。
- ポート・アーサー (Port Arthur)【世界遺産】
- ホバートの南東70km、タスマン半島の南端にある町です。
1830年から1877年まで流刑地だったところで、この期間に1万2千人の囚人が送られました。
囚人を収容する刑務所のほかに病院や教会などの施設跡があり、半島の沖合いには囚人の墓の島があります。
場内は非常に広いので半日ほどは見学時間が必要です。
2010年に「オーストラリアの囚人遺跡群」の一つとして、世界遺産に登録されています。
なお1996年に、精神障害者の銃乱射で観光客など35人が殺害された凶悪事件がここで起こっています。
- マウント・フィールド国立公園 (Mount Field National Park)
- ホバートの北西70kmにあるタスマニアで最初に指定された国立公園です。
ユーカリの原生林や氷河によって造られた湖、渓谷などが広がっています。
美しい水の流れの「ラッセル滝 (Russel Falls)」や、カモノハシの生息する湖「ドブソン湖 (Lake Dobson)」などのスポットが人気です。
公園内は車の移動も可能で、トレッキング・コースもいくつもあります。
- フレシネ国立公園 (Freycinet National Park)
- ホバートの北東150km、タスマニア東海岸の中央部にある半島の国立公園です。
細長い半島は森で覆われ、東側には深く円形に食い込み美しい水の色を見せる湾「ワイングラス・ベイ (Wineglass Bay)」があります。
駐車場から2kmほどの展望台から見る湾の絶景は有名です。
- ビシェノ (Bicheno)
- フレシネ国立公園の北30kmにある海岸沿いの小さな町です。
海岸の景色が美しいリゾート地で、岩穴から打ち寄せる波によって潮を噴き上げる「ブロウホール (Blowhole)」などのスポットがあります。
夜にはフェアリーペンギンが巣に戻るのを観察するツアーもあります。
- ロス (Ross)
- ホバートの北120kmの内陸にある小さな町です。
19世紀初頭から開かれた町で、メインストリートにはアンティークショップが並びます。
1836年に囚人たちが建造し、その中彫刻家が美しい彫刻を施した「ロス・ブリッジ (Ross Bridge)」や、アニメ「魔女の宅急便」のモデルになったパン屋兼宿屋の「ロス・ベーカリー・イン (Ross Bakery Inn)」などが見所です。
- ローンセストン (Launceston)
- ホバートの北200km、タスマニア北部の町です。1805年から入植の始まった古い町で、昔ながらの建物がそのまま残っています。
また市内にはタマー川 (Tamar River) が流れ、北東部にある「シティ・パーク (City Park)」をはじめ、多くの公園や庭園があり、「ガーデン・シティ」とも呼ばれます。
また市の北西部のタマー川下流部はワイナリーが点在する「タマー・バレー (Tamar Valley)」として知られています。
- カタラクト渓谷 (Cataract Gorge)
- ローンセストンのすぐ西にあるタマー川の作る渓谷です。
市街のすぐ近くながら切り立った崖や岩があり、美しく雄大な景観を形作っています。
両岸に遊歩道があり、リフトや吊橋もあります。
- クレイドル山・セントクレア湖国立公園 (Cradle Mountain / Lake St.Clair National Park)
【世界遺産】
- タスマニア中西部の広大な山岳国立公園です。
ローンセストンの西120kmに標高標高1545mのクレイドル山、その南50kmにセントクレア湖があり、これらを取り巻いて森や湿原、多くの湖、渓流などが広がっています。
トレッキング、カヌー、キャンプなどアウトドア・スポーツが楽しめます。
なおクレイドル山近くにある宿泊施設「クレイドル・マウンテン・ロッジ」は、野生動物のワラビーやポッサムが餌を求めて部屋まで入ってくることで人気があります。
オーストラリアの観光地