ソウル(韓国の観光地 1)
ソウルは、韓国北西部にある韓国の首都です。
人口約1千万人、周辺の首都圏を含めると韓国の約半分の人口が集中する大都会で、政治・経済・文化の中心地です。日本の各地から国際便が飛ぶ、もっとも身近な海外です。
市内を東西に漢江(ハンガン)が流れ、李朝時代の歴史的建物と近代的な街並みが融合しています。1988年にオリンピックが開催されました。
14世紀末に成立した李氏朝鮮の都となってから中心都市となり続けています。
当時の歴史的建造物は、16世紀末の豊臣秀吉による朝鮮出兵の際の戦闘で被害を受けて再建したものが多いです。
(1592年の戦闘は日本で「文禄の役」、韓国で「壬辰の乱」、また、1597年の戦闘は日本で「慶長の役」、韓国で「丁酉の乱」と呼びます。)
なお「ソウル」は古くから朝鮮民族がこの地を呼んだ名称で、正式な漢字はなく、当て字としては「漢城」が一般的に使われ、日本統治時代は「京城」が使われました。
ソウル市は2005年に、中国など漢字使用国向けに「首爾」という字を制定しています。
江北(漢江の北の地区)
- 景福宮(キョンボックン)
- 市の中心部の北にある、李朝太祖が1394年に建てた王宮です。
当時は広大な敷地に200を越える壮麗な建物がありましたが、1592年の壬辰の乱で大半が焼失しました。
19世紀半ばに一部が復元されました。
王の正殿の「勤政殿(クンジョンジョン)」、王の執政所の「思政殿(サジョンジョン)」、宴会場の「慶会楼(キョンヘル)」など10棟ほどが残ります。
南に正門の「光化門(クァンファムン)」があります。
- 国立民族博物館(クンニッミンソクパンムルグアン)
- 景福宮内にある博物館で、王朝時代以後の韓国民族の生活史や伝統家屋、芸能などを再現、展示しています。
1972年の開館ですが、韓国各地の著名な建造物の要素を採りいれた建物は、景福宮の雰囲気に合わないとして酷評する人もいます。
- 昌徳宮(チャンドックン)【世界遺産】
- 景福宮の東1kmにある王家の離宮です。
1405年建立で、壬辰の乱で焼失しましたが1611年に再建され、以後李朝が滅ぶまで約270年間正宮として使われました。
国内で原形を最もよくとどめた宮殿で、正門にあたる「敦化門(トンファムン)」、正殿の「仁政殿(インジョンジョン)」、国政を行った「宣政殿(ソンジョンジョン)」、王と王妃の寝殿「大造殿(デジョンジョン)」など13の建物が残っています。
- 秘苑(ビウォン)
- 昌徳宮の北に広がる李朝時代の王朝庭園で、昌徳宮とともに建設されました。
壬辰の乱で焼失した後、1623年に再建されて現在まで美しい景観を保っています。
園内には多くのあずまやや人工池などがあり、韓国造園技術の極致といわれています。
- 昌慶宮(チャンギョンクン)
- 昌徳宮の東隣にある宮殿です。
1428年に第4代世宗大王が父の離宮として建立しましたが、父の死後荒れた建物を1483年に第9代成宗が母や祖母を住まわせるために再建したものです。
壬辰の乱で大半が焼失し、1616年に再建されましたが、20世紀前半の日本の植民地時代に破壊、ようやく1986年に再建しました。
「弘化門(ホンファムン)」、「明政殿(ミュンジョンジョン)」をはじめいくつもの建物が残っています。
- 宗廟(チョンミョ)【世界遺産】
- 昌徳宮の南向かいにある、歴代李氏王朝の王や王妃を祀る儒教の霊廟です。
1395年に造営され、壬辰の乱で焼失しましたが1608年に再建されました。
歴代49人の王、王妃の位牌がある「正殿(チョンジョン)」や正殿に祀られなかった位牌を納める「永寧殿(ヨンニョンジョン)」を中心にいくつもの建物があります。
- 北村韓屋村(ブッチョンハノクマウル)
- 景福宮と昌徳宮の間にある、韓国の伝統的家屋「韓屋(ハノク)」の密集する地区です。
特に南北に走る通りの嘉会(カフェ)路周辺に集中しており、文化財に指定された家屋も多くあります。
ソウル随一の歴史的なエリアのため、韓国の伝統工芸などを扱った工房や、博物館・展示館なども点在します。
- 徳寿宮(トクスクン)
- 景福宮の南1kmにある宮殿です。
第9代成宗が1470年に私邸として建立し、その後王宮となりました。
1615年から昌徳宮に宮殿が移されたため主人不在になりましたが、1897年の第26代高宗が再び王宮としました。
正殿の「中和殿(チュンファジョン)」、接見室の「徳弘殿(トクホンジョン)」などの他、1910年に作られたヨーロッパ建築の「石造殿(ソクチョジョン)」などがあります。
「遺物展示館」や「徳寿宮美術館」も併設しています。
- 南大門(ナムデムン)
- 徳寿宮の南0.7km、ソウルの中心に建つ1398年に建造の城門で、正式には「崇礼門(スンレムン)」といいます。
韓国の国宝第1号で、高さ7mの石塁の上に木造二階建ての楼閣が建っていましたが、2008年に放火で全焼してしまいました。
2013年に復元が完成しましたが、オリジナルには及ばないという批判も出ていて、稚拙な復元技術のために半年もたたないうちに、ひび割れが出始めたということです。
この東側には「南大門市場(ナムデムンシジャン)」というソウル随一のショッピングエリアがあります。
- 明洞(ミョンドン)
- 徳寿宮や南大門の東にあたるソウル最大の繁華街で、「ソウルの銀座」といわれます。
百貨店やブランド品店、ホテル、飲食店などが集まっています。
- 仁寺洞(インサドン)
- 明洞の北0.7kmにある、骨董品店、画廊、書道や陶磁器の店が並ぶ街です。
王朝時代には仕官が住んでいた地区で、当時の名残が残っています。
伝統茶を飲ませる店もあります。
- 東大門(トムデムン)
- 徳寿宮の東3kmにある1397年に建てられた城郭の東を守っていた城門で、1869年に再建されています。
正式には「興仁之門(フンインジムン)」と呼び、規模は「南大門」とほぼ同じです。
近くにある「東大門市場(トンデムンシジャン)」は、ファッション関連のビルが立ち並び、飲食店も多く集まるスポットで、「24時間眠らない町」といわれます。
- 南山公園(ナムサンコンウォン)
- 市の中心街の南にある標高265mの小高い山「南山」を中心とした公園です。
頂上には高さ236mの電波塔「Nソウル・タワー」があります。
2005年に改修工事が行われ、リニューアル・オープンしました。
展望台から市内が一望できる人気のスポットです。
- 戦争記念館(チョンジェンキニョングアン)
- 南山の南西麓にある1994年に開館した韓国の戦争の歴史を紹介する博物館です。
過去の日本侵略の抗戦や朝鮮戦争など、多くの資料展示を行っています。
- 梨泰院(イテウォン)
- 南山の南麓にある商店街で、もともとアメリカ軍相手だったのが海外の観光客に人気の街になりました。
靴をはじめとする革製品や衣類などが豊富にそろっており、免税品店も多くあります。
- 国立中央博物館(クンニッチュアンパンムルグアン)
- 梨泰院の南、国鉄の二村(イチョン)駅の北側にある博物館で、2005年に景福宮の敷地内から移転して新規オープンしました。
韓国の先史時代の遺物から王朝時代の美術品まで国宝級の文物を集めています。
韓国最大の博物館で、世界でも屈指の規模です。
仏教美術や、白磁、青磁などの陶磁器など多くの見所があります。
江南(漢江の南の地区)
- キムチ博物館(キムチパンムルグアン)
- 漢江の南、三成洞(サムソンドン)地区に2000年にオープンした巨大ショッピング・モール「COEX」の地下2階にある博物館です。
伝統食キムチの歴史や種類などが学べます。もちろん試食もできます。
- ロッテワールド
- 三成洞の東4km、蚕室(チャムシル)地区にある世界最大級の総合レジャーランドです。
屋内テーマパークの「アドベンチャー」と、湖に浮かぶ「マジック・アイランド」があり、ホテル、デパート、スポーツ施設など多くの施設が併設されています。
- オリンピック公園(オリンピックコンウォン)
- 蚕室地区にある、1988年のオリンピックで使われた6つの競技場がある公園です。
競技場は現在も使われています。
園内には世界の彫刻も展示しています。
- 汝矣島(ヨイド)
- 南山の南西、漢江南岸の中の島にある地区で、「ソウルのマンハッタン」といわれます。
国会議事堂をはじめ、証券取引所、放送局が集まる政治・金融の中心地です。
東端の「63ビル」は60階の展望台から市内が一望できます。
韓国の観光地