ロンドン(イギリスの観光地 1)
ロンドン (London) は、イギリス南東部にある人口800万を越える大都市で、イギリス及びイングランドの首都です。
市内の西から東に蛇行しながらテムズ川 (River Thames) が流れています。
1世紀にローマ人が町を創設したのがテムズ川北の現シティ地区 (City) で、中世以降は南西2kmのウェストミンスター宮殿のある地区を中心に発展しました。
ヨーロッパにおける政治や金融の中心地であり、大学も多く、またさまざまな文化の発信地でもあります。
2012年には夏季オリンピック開催が行われました。
ロンドン中心部
ウェストミンスター地区周辺
- 国会議事堂 (Houses of Parliament)【世界遺産】
- テムズ川西岸に建つゴシック建築の議事堂で、議会制度発祥の地イギリスの象徴です。
11世紀に「ウェストミンスター宮殿」として建てられ、1834年に焼失、1870年に再建されたものです。
南に上院、北に下院があり、南北の長さは265mあります。
北側にはこれまで「ビッグ・ベン (Big Ben)」の愛称で親しまれた、高さ98mの時計塔「エリザベス・タワー (Elizabeth Tower)」があり、13.5tの巨大な鐘は1859年以来時を告げ続けています。
(「ビッグベン」の名称は、2012年にエリザベス2世の在位60周年を記念して正式に変更されました。)
週に数日ガイドツアーがあります。
- ウェストミンスター寺院 (Westminster Abbey)【世界遺産】
- 国会議事堂の西にあるゴシック様式の教会です。1065年にサクソンのエドワード王の寄進を受けた後、現在の建物が1245年に完成したものです。
内部には歴代王の墓や、文化人、政治家などの墓名碑があります。
歴代王や女王の戴冠式はここで行われ、1997年には不慮の事故で他界したダイアナ元皇太子妃の国民葬が行われました。
- ロンドン水族館 (London Aquarium)
- 国会議事堂の東、テムズ川の対岸にある水族館です。旧ロンドン市議会の建物を改装したもので、ヨーロッパ最大の規模を誇ります。
1階から地下2階にまで達する巨大水槽が見所です。
- ロンドン・アイ (London Eye)
- ロンドン水族館の北、テムズ河畔にある1999年大晦日に開業した世界最大級の観覧車です。
高さは135mあり、1つのカプセルに25人乗れるのも世界一で、1周約30分です。ロンドンでも人気の高いスポットです。
- テート・ブリテン (Tate Britain)
- 国会議事堂の南1kmにある、ヨーロッパの近代、現代の絵画を収集した美術館です。
1897年にヘンリー・テート卿の寄付金で、ナショナル・ギャラリーの別館として開館、1955年に独立したものです。7千点以上を収蔵しています。
- バッキンガム宮殿 (Buckingham Palace)
- 国会議事堂の西1.5kmにある、エリザベス女王が住む宮殿です。
18世紀初めに建てられたバッキンガム公爵の私邸を改築して、1837年からイギリス王室の宮殿となっています。
夏の間だけ一部が一般公開されます。
宮殿前広場には高さ25mの「ビクトリア記念塔 (Queen Victoria Memorial)」が立ち、午前11時30分頃に衛兵交代式が行われます。(4〜7月頃は毎日、それ以外は隔日)
- セント・ジェームズ公園 (St.James Palace)
- バッキンガム宮殿の東に広がる公園です。
16世紀に沼地を干拓して造成された公園で、ロンドン最古の公園です。
公園の北西側をバッキンガム宮殿の衛兵の行進が通り、またロンドン・マラソンのゴールにもなる通り「ザ・モール (The Mall)」が走っています。
- セント・ジェームズ宮殿 (St.James Palace)
- バッキンガム宮殿の北東にある、重厚なレンガ造りの宮殿です。
1532年にヘンリー8世が建造したもので、1837年にエリザベス女王がバッキンガム宮殿に居を移すまでの宮殿でした。
現在も王室の住居となっています。
- アドミラルティ・アーチ (Admiralty Arch)
- バッキンガム宮殿前から北東に延びる「ザ・モール」の1km先にある門で、1911年にビクトリア女王を記念して造られたものです。
「ザ・モール」をふさぐように建物が建ち、中央に女王専用の門、その両側に一般用の門が開いています。
- トラファルガー広場 (Trafalgar Square)
- アドミラルティ・アーチの北にある広場です。
ナポレオン率いるフランス・スペイン艦隊を相手にトラファルガー沖海戦で勝利した記念に造られ、そのときの総督ネルソンの像が立っています。
- ナショナル・ギャラリー (National Gallery)
- トラファルガー広場の北側に建つロンドンを代表する美術館です。1824年の創設で、建物は1838年に完成しました。
13〜20世紀のヨーロッパ絵画のみを2千点ほど収蔵しています。
ゴッホの「ひまわり」やモネの「睡蓮」をはじめ、ダ・ビンチ、セザンヌなど巨匠の大作が多く見られます。
- ナショナル・ポートレート・ギャラリー (National Portrait Gallery)
- ナショナル・ギャラリーの北隣にある、肖像画だけを収集した美術館です。
1856年の開館で、イギリスの歴史に名を残した人物の肖像画や自筆の文書、彫刻など1万点を収蔵しています。
- ピカデリー・サーカス (Piccadilly Circus)
- トラファルガー広場北西にある広場で、ロンドンの繁華街の中心地となっています。
中心に通称「エロスの像 (Eros)」が立っており、主要な通りがここから放射状に延びています。
西へは優雅に道路がカーブを描いて老舗の名店街が並ぶ「リージェント・ストリート (Regent St.)」が出ています。
ここから東は映画館や劇場の集まる「ウェスト・エンド (West End) 地区」、北は酒場や世界各国のレストランが集まる歓楽街「ソーホー (Soho) 地区」となっています。
ウェストミンスター地区から西のスポット
- ハイド・パーク (Hyde Park)
- バッキンガム宮殿の西1kmから西へ広がる1.5kuの広大な公園です。
かつては王室の狩猟場だったところで、17世紀に市民に開放されています。
北のはずれにある大理石の門「マーブル・アーチ」の近くに「スピーカーズ・コーナー」があり、1872年以来毎週日曜日の朝に開かれる弁論大会が名物です。
- ケンジントン庭園 (Kensington Gardens)
- ハイド・パークの西に隣接する1.1kuの広大な庭園です。1689年にケンジントン宮殿の建設の際に造営されました。
「ケンジントン宮殿 (Kensington Palace)」は敷地の西端にあり、チャールズ皇太子とダイアナ妃が住んでいたことで有名です。
敷地の中心に人造池「ラウンド・ポンド (Round Pond)」、北東に「ピーターパンの像 (Peter Pan Statue)」、南端には「アルバート記念碑 (Albert Memorial)」などがあります。
- ロイヤル・アルバート・ホール (Royal Albert Hall)
- ケンジントン庭園の南、「アルバート記念碑」の向かいにあるレンガ造りの円形の建物で、ホールの天井は鉄骨にガラス張りのドームになっています。
1871年にビクトリア女王の夫君のアルバート公の追悼記念として造られたもので、外周は400mあり、8千人が収容できます。
現在はコンサート・ホールとして使われています。
- ビクトリア&アルバート博物館 (Victoria & Albert Museum)
- ロイヤル・アルバート・ホールの南東にある工芸や装飾美術に関する世界最大の博物館です。
1852年に産業博物館として発足し、1899年にビクトリア女王が亡夫のアルバート公を記念して名前を変えたものです。
146の展示室に、あらゆる時代の世界の彫刻、陶磁器、織物、家具、室内装飾などを展示しています。
- 自然史博物館 (Natural History Museum)
- ビクトリア&アルバート博物館の東向かいにある博物館で、1880年に大英博物館の自然史部門を移転したものです。
恐竜をはじめ動植物や化石などを展示する「生命のギャラリー」と、地質や火山、地震などに関する「地球のギャラリー」で構成されます。
収蔵する資料は4億点といわれ、毎年30万点づつ標本が増えているといわれています。
- ハロッズ (Harrods)
- ビクトリア&アルバート博物館の東1km、繁華街のナイツブリッジ (Knightsbridge) 地区の中心にある、世界的に有名な高級百貨店です。
いつも多くの人で賑わっており、観光スポットにもなっています。
ウェストミンスター地区から北のスポット
- 大英博物館 (British Museum)
- ピカデリー・サーカスの北東1.5kmにある世界最大の博物館の一つです。
1753年の設立、1759年に世界最初の博物館として開館し、現在の建物は1848年に完成したものです。
エジプト美術、ギリシャ・ローマ美術、古代の中近東美術、東洋美術、中世ルネサンスなどの部門に分かれて700万点もの収蔵品があります。
5千年前の世界最古のミイラ、楔形文字解読の手がかりとなった「ロゼッタ・ストーン」、アテネのパルテノン神殿の彫刻など、見逃せない展示品が多く、ゆっくり見るには数日かかるほどの規模です。
- リージェンツ・パーク (Regents Park)
- 大英博物館の北西2kmにある、面積1.9kuのロンドン最大の公園です。かつてはヘンリー8世の狩猟場で、1835年に庭園に改造されました。
国内最大のバラ園「クイーン・メアリーズ・ローズ・ガーデン (Queen Mary's Rose Garden)」が有名です。
- マダム・タッソー館 (Madame Tussaud's)
- リージェンツ・パークの南にある人気のロウ人形館です。
1835年にパリでロウ人形製作を学んだタッソー夫人が開いたもので、精巧なロウ人形が多数展示され、英国の歴代王の他、世界の政治家、文化人、スポーツ選手、映画俳優などの人形があります。日本人では、吉田茂首相や横綱千代の富士が有名です。
地下には残酷な処刑場面や犯罪場面を再現した「恐怖の部屋」があります。
- シャーロック・ホームズ博物館 (Sherlock Holmes Museum)
- マダム・タッソー館の北西、コナン・ドイルの小説に登場する名探偵シャーロック・ホームズに関する博物館です。
所在地も小説でホームズが住んでいたという番地にあります。ホームズやワトソン博士の書斎や寝室などが再現されています。
シティ地区
- セント・ポール大聖堂 (St.Paul's Cathedral)
- 国会議事堂の北東2.5km、テムズ川北のシティ地区の西部にある教会です。
35年の歳月をかけて1710年に完成したゴシック様式とルネサンス様式が融合した建物です。幅74m、奥行き158m、ドームの高さ111mという世界最大級の規模で、ドームの頂上に螺旋階段で登ることができます。
チャールズ皇太子とダイアナ元皇太子妃が結婚式を挙げたことで有名です。
- イングランド銀行 (Bank of England)
- セント・ポール大聖堂の東0.7kmにあるイギリスの中央銀行です。1694年に世界最初の銀行として開業しています。
博物館が併設されており見学ができます。
- ロンドン塔 (Tower of London)【世界遺産】
- イングランド銀行の南東1km、テムズ川北岸にある建物です。
1078年に征服王ウィリアム1世が城塞として建造したもので、500年にわたって歴代王の居城でしたが、中世以後は国事犯の牢獄、処刑場として使われました。
中心の「ホワイト・タワー」は武器や処刑道具などを展示する博物館となっており、王族が処刑された「ブラディ・タワー」や、王室伝承の王冠をはじめ宝物を展示する「ジュエル・ハウス」などがあります。
- タワー・ブリッジ (Tower Bridge)
- ロンドン塔のそばのテムズ川に架かる全長270mの橋です。
1894年の建造で、ゴシック様式の2つの塔の間を跳ね橋とその上方の高さ43mの位置をガラス張りの歩道橋がつないでいます。
歩道橋にはエレベーターで登れます。
- 軍艦ベルファスト号 (H.M.S Belfast)
- タワー・ブリッジの西のテムズ川に係留、展示されているイギリス軍艦です。
1938年に就航し、第二次世界大戦でノルマンジー作戦に参加、朝鮮戦争でも活躍し、1965年に退役しました。内部の見学ができます。
- ミレニアム・ブリッジ (Millennium Bridge)
- セント・ポール大聖堂の南、2000年に開通したテムズ川にかかる橋です。
歩行者、自転車専用の320mの吊橋で、南岸に開館した「テート・モダン」などの再開発地区へのアクセスとして2000年のミレニアム事業の一環で造られました。
開通直後に横揺れ問題が発生し、2002年に再開通しました。
- テート・モダン (Tate Modern)
- ミレニアム・ブリッジの南にある、旧火力発電所の建物を利用して2000年に開館した美術館です。
ピカソ、マチス、ダリをはじめアンディ・ウォーホルなど20世紀以後のアートを展示しており、近代、現代の美術館としては世界最大級です。
- シェイクスピア・グローブ座 (Shakespeare Globe Theatre)
- テート・モダンの東にある、400年前のシェイクスピアの芝居小屋を再現して造られた劇場です。
木造で円形をしており、半円の舞台や屋根のない観客席などが特徴です。
夏の間はシェイクスピア劇が上演されます。資料の展示館も併設しています。
イギリスの観光地