メープル街道(カナダの観光地 2)
メープル街道 (Maple Route) は、ナイアガラの滝から、トロント、オンタリオ湖北岸を通り、セントローレンス川 (St.Lawrence Seaway) 沿いにオタワ、モントリオールを通ってケベック・シティに至る約800kmのルートです。
秋にはカエデの紅葉が美しく、フランスとイギリスによる開拓時代の足跡を訪ねることができる歴史街道でもあります。
なおカエデはカナダの自然のシンボルで、国旗にも描かれています。
オタワ
オタワ (Ottawa) は、トロントの北東380kmにある人口80万人ほどのカナダの首都です。
セントローレンス川支流のオタワ川 (Ottawa River) が町の北側を流れ、北岸はケベック州でフランス語圏となりますが、市の対岸の町ガティノー (Gatineau)(以前はハル (Hull) といいました)も首都圏に含まれています。
1857年に、英領だったトロントと仏領だったモントリオールを結ぶ架け橋として、エリザベス女王によって首都と定められました。
カナダの政治の中心地として都市計画に基づいた整然とした町で、春にはチューリップが町中を彩ります。
- リドー運河 (Rideau Canal)
- オタワ川からオンタリオ湖まで約200kmをつなぐ運河で、市街の中心を横切っています。
運河に沿って散策路やサイクリング・ロードがあり、郊外へ行くと自然の川のような景観です。
冬には凍結して世界最長の天然のスケートリンクになることで有名です。
- 国会議事堂 (Parliament Buildings)
- 市街中心部の北、オタワ川河畔の丘「パーラメント・ヒル (Parliament Hill)」にあるネオ・ゴシック様式の石造りの議事堂です。
1866年の創建ですが、1916年に焼失して1922年に再建したものです。
中央にそびえる高さ92mの塔は第一次大戦で戦死したカナダ兵を慰霊するもので、上部の53個の鐘が毎日午後1時に鳴らされます。
ガイドツアーで見学ができます。
- カナダ国立美術館 (National Gallery of Canada)
- 国会議事堂の北0.7km、オタワ川に架かるアレクサンドラ橋 (Alexandra Bridge) のそばにある美術館です。1988年の開館で、全体がガラス張りの現代的な建物です。
カナダ作家やイヌイットなどのカナディアン・アートのコレクションでは世界最大です。また、ヨーロッパの巨匠の作品も幅広く収蔵しています。
近くに、カナダの記念コインを展示、製造している博物館「ロイヤル・カナディアン・ミント (Royal Canadian Mint)」があります。
- バイワード・マーケット (ByWard Market)
- 国会議事堂の北東0.7kmにある、19世紀中頃から続く市場です。
オタワ周辺の新鮮な生鮮品を扱う市民の台所となっています。
古い建物ですが周辺には多くの露店も店を出し、活気のあるスポットです。
- リドー・ホール (Rideau Hall)
- 国会議事堂の北2.5km、オタワ川河畔にあるカナダ総督の公邸です。
政治における首長は選挙で国民が選出した首相ですが、国の象徴としての国家元首はイギリスのエリザベス女王で、カナダ総督はその代行を務めます。
門は衛兵が守り、衛兵の交代式も見られます。
- カナダ文明博物館 (Canadian Museum of Civilizetion)
- アレキサンドラ橋でオタワ川を渡ったガティノー側にある博物館です。
1989年の開館で、カナダの歴史や生活関する資料を展示しており、特に先住民族の資料や展示物は充実しています。
建物の裏からはオタワ川の対岸に国会議事堂を望みます。
- ガティノー公園 (Parc de la Gatineau)
- 市街から北西のガティノー市に広がる広大な公園で、自然が多く残されています。
園内はメープルの森が多く、秋には紅葉の名所になります。
- アッパー・カナダ・ビレッジ (Upper Canada Village)
- オタワの南東80km、セントローレンス川沿いにある19世紀の開拓村を再現した歴史村です。
広大な敷地に教会、学校、雑貨屋、パン屋などの商店からチーズ工場などの生産施設まで当時の村を再現し、働く人や行きかう人々も当時の衣装をまとっています。
農業の様子の実際や、生産の実演などを見ることができます。
モントリオール
モントリオール (Montréal) は、オタワの東180km、オタワ川が合流するセントローレンス川中流の広大な中州にある人口160万人のトロントに次ぐカナダ第2の都市です。
周辺人口を合わせると、350万人の都市圏を形成しています。
ケベック州の中心都市で、住民の大半がフランス語を話しますが、英語もよく通じるそうです。フランス語では「モンレアル」と読みます。
17世紀にフランス人の入植が始まり、1760年にイギリス軍に占領されるまでフランス領でした。
イギリス領になってから19世紀中頃に一時首都となり、20世紀前半の世界恐慌までに大きく発展しました。
1976年にオリンピックを開催しています。
- 旧市街 (Vieux-Montréal)
- ダウンタウンの東端、セントローレンス川沿いの地区です。
1642年にフランス人メゾヌーブが初めて上陸し、フランスの植民地ができた市の発祥地です。
18世紀の町並みが残り、多くの史跡や旧跡も復元されています。
1878年建造の「市庁舎 (City Hall)」や、市内最古で1685年建造の「サン・シュルピス修道院 (Old Saint-Sulpice Seminary)」、「ノートルダム教会 (Notre-Dame Basilica)」など多くのスポットがあります。
- ノートルダム教会 (Notre-Dame Basilica)
- 旧市街の中心にあるネオ・ゴシック様式の教会です。
1829年創建で、北米最大の規模を誇ります。高さ69mの2本の尖塔があり、美しい青色の天井や、旧市街の風景を描いたステンドグラス、北米最大のパイプオルガンなど内装も壮麗です。
裏手には教会に関する博物館もあります。
- ノートルダム・ド・ボンスクール教会 (Notre-Dame de Bon-Secours Chapel)
- 旧市街の東端、港近くにある教会です。
1771年建造で「船乗りの教会」と呼ばれ、航海の安全を祈願して船の模型が奉納されています。
- ジャック・カルティエ広場 (Place Jacques Cartier)
- ノートルダム教会の北、市庁舎のそばにある広場です。
花壇があり、周辺にカフェやレストランが並んで、パリの雰囲気を醸し出しています。
- マリア大聖堂 (Cathédrale Marie-Reine-du-Monde)
- ダウンタウン中心部、中央駅近くにあるカトリック教会です。正式な訳は「世界の女王マリア大聖堂」です。
1886年の建造で、バチカンのサン・ピエトロ寺院を4分の1のスケールで模して造られています。
- モン・ロワイヤル公園 (Parc du Mont-Royal)
- ダウンタウンの西、ロワイヤル山の山頂を中心とする公園です。
3つの丘から成り、最高部は標高233mです。山頂の展望台からは市街が一望できます。
山の上の1924年に建てられた高さ30mの鉄製の大きな十字架が有名で、モントリオール建設の父メゾヌーブが、洪水からの加護を祈って建立を約束したという故事から建てられたものです。
夜はライトアップされ、100km先からも見えることがあるといいます。
西側の湖から観光用の馬車でも頂上に登れます。
- モントリオール美術館 (Musée des Beaux-Arts de Montréal)
- ロワイヤル山の東にある、1860年開館のカナダ最古の美術館です。
ケベックの美術を中心に、写真や装飾など幅広い美術品を2万5千点以上収蔵しています。
1976年に、江戸時代の日本の香料を入れる器”香合”が3千点も収蔵庫から発見されたことでも知られています。
- 聖ジョセフ礼拝堂 (Oratoire Saint-Joseph)
- ロワイヤル山の南麓にあるルネサンス様式のカトリック礼拝堂です。
信仰の力で不治の病を治したといわれるアンドレ修道士が祀られており、奇跡で歩けるようになった人たちの松葉杖が奉納されています。
ケベックの3大巡礼地の一つで、多くの人が訪れています。
- オリンピック・スタジアム (Olympic Stadium)
- ダウンタウンの北5kmにある1976年のオリンピックのために造られたスタジアムです。
翌年に野球の大リーグ・エキスポスの本拠地としてドーム球場に改修しましたが、老朽化とチームの撤退で今後の利用法は決まっていないということです。
スタジアムにかぶさるように建てられた高さ190mの斜塔「モントリオール・タワー」が観光スポットで、斜面をはうように登るケーブルカーで頂上の展望台に行けます。
- ロレンシャン高原 (Laurentides / Laurentian Mountains)
- モントリオール北部に広がる標高1000m前後の丘陵が連なる広大な高原地帯です。
多くの氷河湖が点在し、一帯がメープル街道随一の紅葉の名所です。夏や冬のアウトドアレジャーが楽しめる地域です。
モントリオールの北西70kmのサン・ソベール・デ・モン (St-Sauveur-des-Monts)、北西90kmのサンタガッテ・デ・モン (Sainte-Agathe-des-Monts)、北西120kmのモン・トランブラン (Mont-Tremblant) などのリゾート地が有名です。
ケベック・シティ
ケベック・シティ (Québec City) は、モントリオールの北東250km、セントローレンス川が川幅を大きく広げていく地点の東岸にある人口50万人ほどの町です。
1608年にフランスが毛皮の交易拠点として最初に造った植民地で、北米唯一の城塞都市です。
町は、川沿いの崖上に城壁に囲まれた「アッパー・タウン (Upper Town)」と、その周りの崖下で庶民が住んだ「ロウアー・タウン (Lower Town)」が旧市街となっており、世界遺産に登録されています。
- ケベック要塞(シタデル) (La Citadelle)【世界遺産】
- 城壁に囲まれたアッパー・タウンの南側の高台にある星型の濠を持つ城塞です。
1820年から30年余りかけてイギリス軍がアメリカ防衛のために建設したものです。
内部には25の建物があり、現在も軍が駐屯しています。そのため見学はガイドツアーのみです。
- プラス・ダルム (Place d'Armes)【世界遺産】
- アッパー・タウンの中央東寄りにある広場です。
旧市街の中心にあたり、ゴシック様式の噴水や当地の創始者サミュエル・ド・シャンプランの像があります。
市内観光の起点でもあり、観光案内所や観光バスのターミナルがあり、観光客が多く集まるところです。
- シャトー・フロントナック (Le Chateau Frontenac)【世界遺産】
- プラス・ダルムの南にある、1892年開業の由緒あるホテルで、各国要人も宿泊します。
レンガ造りの古城のような重厚な建物はケベック・シティのランドマークにもなっています。
- テラス・デュフラン (Terrase Dufferin)【世界遺産】
- シャトー・フロントナックの横を通る約400mの板張りの散歩道です。セントローレンス川や遠くオルレアン島が見渡せます。
沿道にはかつて町を守っていた大砲が並んでいます。
- トレゾール通り (Rue du Tresor)【世界遺産】
- プラス・ダルム近くにある小さな通りです。
長さ100mほどの狭い通りの両側に多くの若手画家が自作の絵や版画を並べて売ってり、「画家の小路」とも呼ばれています。
- ノートルダム大聖堂 (Basilique Notre-Dame-de-Québec)【世界遺産】
- アッパー・タウンの北東寄りにあるバロック様式の大聖堂です。
17世紀の創建ですが、度重なる焼失や改修で現在の建物は1925年建造のものです。
ケベックのカトリック信仰の中心となっています。
ガイドツアーがあり、夏には音とライトによるショーがあります。
- プチ・シャンプラン通り (Quartier du Petit-Champlain)【世界遺産】
- プラス・ダルムの東、アッパー・タウンから崖を下りたところにあるロウアー・タウンのメインストリートです。
土産物屋やブティックの入った開拓時代の小さな建物が建ち並び、観光客で賑わっています。
アッパー・タウンからはケーブルカー「フニキュラー (Funiculaire)」で下りることができます。
- プラス・ロワイヤル (Place Royale)【世界遺産】
- ロウアー・タウンの中心にある広場です。1608年にシャンプランが初めて毛皮の交易基地を造った市の発祥地です。
周辺には当時の建物が多く残っています。
- ノートルダム・デ・ビクトワール教会 (Eglise Notre-Dame-des-Victoires)【世界遺産】
- プラス・ロワイヤルのそばに建つ教会です。
「勝利のノートルダム教会」の意で、1690年と1711年にフランス軍がイギリス軍に勝利した記念に造られたものです。
- 戦場公園 (Parc des Champs-de-Bataille)【世界遺産】
- 旧市街の南、セントローレンス川沿いの高台に広がる芝生の公園です。
「アブラハム平原 (Plaines D'Abraham)」と呼ばれた地で、1759年にイギリス軍とフランス軍が戦闘を繰り広げ、イギリスが勝利して植民地を獲得することになった場所です。
現在は公園として市民の憩いの場になっています。
- オルレアン島 (Île d'Orléans)
- 市街の北東、セントローレンス川に浮かぶ長さ35km、幅10kmに及ぶ大きな中州の島です。
フランスのノルマンジー地方を彷彿とさせる、畑や牧場といったのどかな田園風景が広がります。
秋の紅葉の時期は特に美しい景色に彩られ、メープルシロップの産地としても有名です。
島へは、島の西側にかかる唯一の橋から入ることができます。
- モンモランシーの滝 (Chute Montmorency)
- 市街の北東15km、モンモランシー川がセントローレンス川に注ぐ地点近くにある落差83mの滝です。
周辺は自然公園となっており、ロープウェーや吊橋などが整備されています。
冬は凍結し、アイスクライミングのメッカになります。
- サンタンヌ・ド・ボープレ大聖堂 (Basilique Ste-Anne-de-Beaupre)
- 市街の北東35km、セントローレンス川沿いにあるカナダ3大巡礼地一つとなっている大聖堂です。
1658年創建のネオ・ロマネスク様式の建物で、多くのステンドグラスや天井のモザイク画があります。
足の病を治す奇跡の教会として、北米各地から多くの参拝者が集まります。
プリンス・エドワード島
プリンス・エドワード島 (Prince Edward Island) は、カナダ本土のすぐ東、セントローレンス湾に浮かぶ島で、略称は頭文字をとって "PEI" と呼ばれることが多いです。
日本の四国の3分の1弱の広さで、本土と橋でつながっています。
中心地はほぼ中央にあるシャーロットタウンです。
比較的温暖な気候のため農業が盛んで、カナダ有数のジャガイモの産地です。
作家ルーシー・M・モンゴメリが住み、代表作「赤毛のアン」の舞台の島として有名です。
リゾートの島として、夏に観光客が集中します。
- シャーロットタウン (Charlottetown)
- 島の南岸の中央部にあるプリンス・エドワード島の中心地で、1864年にカナダの建国会議が開かれた連邦発祥の地です。
観光拠点としてホテルが多く、港近くは再開発が行われてショップやレストランなども集まっています。
19世紀の古い町並みの残る地区もあります。
- キャベンディッシュ (Cavendish)
- シャーロットタウンの北西35km、島の北岸中央部にある村です。「赤毛のアン」にちなむスポットが点在します。
物語の舞台が再現され、モンゴメリの祖父母の家だった「グリーン・ゲイブルズ・ハウス (Green Gables House)」をはじめ、「モンゴメリの生家」、「モンゴメリの墓」の他、近くには「恋人の小径」、「お化けの森」などのスポットがあります。
またアンの時代の村を再現したテーマパーク「アボンリー・ビレッジ (Avonlea Village)」もあります。
カナダの観光地