アイルランド各地(アイルランドの観光地 2)
アイルランドの南西部は マンスター地方 (Munster)、西部は コノハト(コノート)地方 (Connacht)、北部は アルスター地方 (Ulster) と呼ばれます。
アルスター地方の大半はイギリス領で、その北西部と内陸の一部がアイルランド領になっています。
全体になだらかな地形ですが、西部や南西部の海岸沿いには標高1000m程度の山岳地帯があります。
大きな町もあまりなく、美しい景観に古代の遺跡が点在しています。
マンスター地方
- コーク (Cork)
- キルケニーの南西130km、アイルランド島南岸近くにある人口12万人ほどの国内第2の都市です。マンスター地方観光の拠点になります。
12世紀にイングランド王によって建設された古い町で、市内には19世紀に創建された「聖フィンバー大聖堂」(St.
Fin Barre's Cathedral) や、北部のシャンドン地区 (Shandon) にある「聖アン教会」(Church
of St Anne) といった教会がいくつもあります。
また当地はかつて世界のバター取引の中心地だった所で、1770年から1924年まで開設された「バター取引所跡」(The Butter Exchange) といったスポットもあります。
- ブラーニー城 (Blarney Castle)
- コーク中心部から西北西に7kmの郊外にある城です。
1210年に木造で建造され、現在のものは1446年に石で造られたものです。
城の頂上にある「ブラーニー・ストーン」と呼ばれる石にキスをすると雄弁になれるとの言い伝えがあります。
周辺は美しい庭園になっています。
- ミドルトン蒸留所 (Old Midlton Distillery)
- コークの東25km、ミドルトンの町にある古いアイリッシュ・ウィスキーの蒸留所です。
ダブリンの蒸留会社に対抗するため、1825年に設立され、1975年まで生産が行われました。
現在は新蒸留所のほうに生産は移されて、この旧蒸留所は貴重な産業遺産としてほぼ完全な形で保存されています。
- コーブ (Cobh)
- コークの南東10kmにある港町です。コーク湾内の狭い水路で囲まれた島の南岸にあります。
19世紀後半から20世紀前半にかけて、250万人のアイルランド人がアメリカへの移民としてここから出発していきました。
また客船タイタニック号の最後の寄港地として知られ、1912年4月11日に出港して、3日後に北大西洋で沈没しました。
港には最初の移民のアニー・ムーアと兄弟の像があり、港に面する丘の上には国内最大のカリヨン(鐘楼)のある「聖コルマン大聖堂」(St. Colman Cathedral) があります。
- ロック・オブ・キャシェル (Rock of Cashel)
- コークの北北東100kmにある小さな町、キャシェルの北はずれの岩山の上にある城塞跡です。
5世紀にマンスター王国の王が城を建て、12〜13世紀にはキリスト教の中心地として教会や修道院、墓地なども建てられ、それらの遺構が残っています。
- キラーニー (Killarney)
- コークの西80kmにある小さな町です。
レイン湖 (Loch Leane) の北に位置し、この町を含む南方の一帯がキラーニー国立公園になっています。
町はカラフルな建物が並び、ホテルやレストラン、パブなどが集まるヨーロッパでも人気のスポットで、西部地方の観光拠点ともなっています。
観光馬車で、のんびりと街の見物をすることもできます。
キラーニー国立公園は、3つの氷河湖や峡谷、滝などがある自然豊かな景勝地で、絶滅に瀕しているアカジカが生息します。
町の南西2kmのレイン湖畔には14世紀建造の「ロス城」(Ross Castle) 、また南4kmの湖畔には、19世紀の大邸宅で民族博物館となっている「マックロス・ハウス」(Muckross House) などのスポットがあります。
- ケリー周遊路 (Ring of Kerry)
- キラーニーを基点に、西に延びるイベリー半島を1周する全長179kmの観光ルートです。
なだらかな丘陵地に草原や森、海岸線や湖の景観が連続して大自然が満喫でき、アイルランドでも屈指の人気観光ルートとなっています。
最も有名なポイントは、キラーニーの南15km、キラーニー国立公園の南端で山並みと湖沼群が展望できる「貴婦人の眺め」(Ladies
View) です。
バスツアーかレンタカーでの周遊になります。
- スケリッグ・マイケル (Skellig Michael)【世界遺産】
- イベリー半島の西の沖合12kmの小島にある、6世紀末に造られたとされる修道院遺跡です。
東西南北が500mもない島ながら、標高218mもある非常に急峻な岩でできた島で、頂上付近には修道院の遺構や、修道士が住んだとされる石積みの小屋などが残っています。
島へは、ケリー周遊路の西端からさらに西方、半島の先近くにあるポートマギー (Portmagee) の港から小さなボートで渡ります。島に上陸後は、1000年以上前に作られた石段で登ります。
- ディングル半島 (Dingle Peninsula)
- イベリー半島から湾をはさんだ北方にあるなだらかな起伏の多い半島です。
西端部はヨーロッパの最西端(大陸に近接するという条件で)となっていて、「アメリカの隣の地区」という言われ方もされ、古いゲール語を使っている地域の一つでもあります。
この半島には、ビーハイブ・ハット (Beehive hut) と呼ばれる、石を積み上げて造った古代の小屋の遺跡が点在します。
中心地は西部南岸の小さな町ディングル (Dingle) で、その北西5kmにある、6〜9世紀に造られた石積み造りの「ガララス礼拝堂」(Gallarus Oratory) も観光スポットの一つです。
- リムリック (Limerick)
- キラーニーの北東100kmにある町で、人口9万人ほどのアイルランド第3の都市です。
シャノン川の河口に位置し、西郊にはヨーロッパ各地やアメリカからの便が入る国際空港もあります。
9世紀にバイキングが建設し、17世紀にはカトリックとプロテスタントの宗教戦争があった地でもあり、市内には歴史的な建造物が点在しています。
シャノン河畔にある13世紀に創建の「ジョン王の城」(King John's Castle) や、12世紀に創建の「聖メアリー大聖堂」(St Mary's Cathedral) などが主なスポットです。
- アデア (Adare)
- リムリックの南西15kmにある小さな村です。
1976年に「かわいい村コンテスト」で優勝し、茅葺屋根の小さな建物やコテージが並び、お伽話の世界を思わせる景観は旅行者に人気です。
ただ建物の多くは土産物屋やレストランが入り、観光バスや車が大挙して押し寄せてくるので、素朴なたたずまいではなくなっているようです。
- バンラッティ城 (Bunratty Castle)
- リムリックの西7km、シャノン空港の東にある15世紀に建造された古城です。
13世紀の創建ですが、現在は15世紀の姿に復元されていて、内部の見学ができます。
また周辺は、17世紀ごろからの古い家屋を再現した民芸村となっています。
なお城では夜に、中世のスタイルを復元しての晩餐会が開かれ、参加することができます。
- エニス (Ennis)
- リムリックの北西30kmにある人口2万人ほどの町です。
アイルランドの伝統音楽を聞かせるパブが多いのが特徴で、伝統楽器の店「カスティーズ」(Custy's Music Shop) もこの町の名物となっています。
- モハーの断崖 (Cliffs of Moher)
- エニスの西北西35km、大西洋に面する海岸の断崖で、アイルランド随一の名所です。
高さ200m以上のほぼ垂直にまっすぐ切り立った断崖が、8kmにわたって続きます。
最も崖の高さが高い付近の近くにビジターセンターがあり、1835年に見物客用に造られた石造りの「オブライエン塔」(O'Brien's Tower) もその近くにあります。
- バレン高原 (The Burren)
- モハーの断崖から北東方、ヨーロッパでは最大の250平方キロにわたる広大なカルスト地形の高原です。
ケルトの遺跡が点在し、特に数千年前に建てられた古代人の墓(ドルメン)といわれるテーブル状の石積みは「巨人のテーブル」と呼ばれています。
コナハト地方
- アラン諸島 (Aran Islands)
- コノハト地方南部の主要都市ゴールウェイ (Galway) の西南西50kmの大西洋に浮かぶイニシュモア (Inishmore)、イニシュマン (Inishmaan)、イニシア (Inisheer) の3島から成る諸島です。
4千年前から人間が住んでいた記録があり、現在もゲール語を話す古代アイルランドの文化が残る地域です。
岩の多い島々で、農業もしづらい荒涼とした風土の中で人々が暮らし、荒涼とした中に古代の遺跡が点在します。
最大のイニシュモア島には、100mの絶壁の上に石積みの防壁が残る古代遺跡「ドゥーン・エンガス」(Dun
Aengus) や、12世紀創建の「聖キーラン修道院」(Teampall Chiaráin)
などの見所があります。
手編みの「アラン・セーター」も有名です。
ゴールウェイからこの島々へのフェリーが出ています。
- アッシュフォード城 (Ashford Castle)
- ゴールウェイの北北西40km、コリブ湖畔のコング村に残る古城です。
1228年の創建はアイルランド最古で、現在は著名人も訪れる豪華古城ホテルとなっています。敷地内では、狩猟、乗馬、ゴルフなどが楽しめます。
1952年公開の映画「静かなる男」が撮影されたことでも知られています。
- コネマラ国立公園 (Connemara National Park)
- ゴールウェイの北西60〜70km、大西洋岸に近いコマネラ地方にある国立公園です。
なだらかな山々に曲がりくねった川、湖、海岸線など美しい自然が残っています。
中心地は南西部にある町のクリフデン (Clifden) です。
- カイルモア修道院 (Kylemore Abbey)
- コネマラ国立公園の北、クリフデンの北東15kmの湖畔に建つ美しい修道院です。
1868年にイギリスの貴族が自分たち夫婦のために建てた邸宅ですが、妻に先立たれた後、1920年に修道院となっています。
夫婦が暮らしていた部屋を見学でき、その当時の暮らしぶりを見ることができます。
- スライゴー (Sligo)
- ゴールウェイの北北東130km、コノハト地方北部の人口2万人弱の町です。
ノーベル賞詩人イェーツがたびたび訪れた街で、市内には「イェーツ記念館」、「スライゴー修道院」、「スライゴー博物館」の他、郊外には5000年前の祭礼用石積みといわれる「キャロウモア古代遺跡」があります。
アルスター地方
- ドネゴール (Donegal)
- スラーゴーの北西50km、深い湾の奥にある小さな町です。この周辺はアイルランド語を話す地域でも独特の方言を使う地域です。
町の中心には15世紀に造られた「ドネゴール城」(Donegal Castle) があり、かつてイギリス軍に破壊されたままの「ドネゴール修道院」(Donegal Abbey) のような遺跡もあります。
- グレンヴェー城 (Glenveagh Castle)
- ドネゴールの北50km、山間の湖畔にある城です。
1870〜1873年に建造され、最近まで個人の所有でした。現在はガイドツアーでのみ見学が可能です。
周辺は、自然豊かなグレンヴェー国立公園に指定されています。
アイルランドの観光地