プラハ(チェコの観光地 1)
プラハ (Praha) は、チェコ中西部、ボヘミア盆地の中央部にある人口120万人の首都です。
市内をブルタバ川 (Vltava) が流れています。
ブルタバ川はドイツ語ではモルダウ川 (Moldau) と呼び、日本ではこちらの呼び方ほうが著名です。
14世紀の神聖ローマ帝国の頃に最も栄え、当時からの古い建造物が残る中心部は世界遺産に指定され、尖塔が多く立つ市街は「百塔の町」といわれます。
なお英語では、綴りは "Prague" で、発音も「プラーグ」になります。
ブルタバ川東岸
- 旧市街広場 (Staromestske Namesti)【世界遺産】
- 旧市街の中心にある広場です。
11世紀頃から次第に広場が形成され、14世紀ごろまでに広場をとりまくさまざまな様式の建造物ができあがりました。
広場の北寄りに、14〜15世紀のボヘミアの宗教改革者「ヤン・フスの像」が立っています。
- 旧市庁舎 (Staromestska Radnice)【世界遺産】
- 旧市街広場の西側に建つ建物です。1338年建造のバロック様式で、高さ70mの尖塔には展望台があります。
南側にある大きな「天文時計 (Orloj)」が名物で、毎正時にキリスト12使徒の人形が現れる仕掛けが観光客に人気です。
- 聖ミクラーシュ教会 (Kostel sv. Mikulase)【世界遺産】
- 旧市街広場の北西に建つ、18世紀に造られた美しいバロック様式の教会です。
1500uに及ぶフレスコ画が描かれた丸天井があります。音響効果が良く、コンサートがよく開かれています。
なお、「ミクラーシュ」は「聖ニコラス」の意です。
- ティーン教会 (Chram Matki Bozi Pred Tynem)【世界遺産】
- 旧市街広場の東側にあるゴシック様式の教会です。1365年に創建されて聖母マリアを祀り、16世紀頃まで改築が重ねられました。
アダムとイブを表すという、2本の高さ80mの尖塔が特徴です。
内部には15世紀のキリストや聖母マリアの像の他、17世紀頃のフレスコ画もあります。
- カレル橋 (Karluv Most)【世界遺産】
- 旧市街広場の西0.5kmにあるブルタバ川に架かる橋で、プラハのシンボルです。
カレル4世(ドイツ語名:カール)の命で約60年の歳月をかけて1402年に完成した古い石橋で、長さ515m、幅10m、16本の橋脚、橋の両端にゴシック様式の橋塔があります。
左右の欄干には各15体、計30体の聖人やチェコの英雄の見事な彫像が並んでいます。
特に旧市街から向かって右側の8番目「ヤン・ネポムツキー像」の台座のレリーフに触ると幸福が訪れるといわれます。
堂々たる橋ですが歩行者専用になっています。
- スメタナ博物館 (Smetanovo Muzeum)【世界遺産】
- カレル橋の南、ブラタバ川沿いにある博物館です。
交響詩「モルダウ」で有名な作曲家スメタナが、1863年から7年ほど住んでいた家を博物館にしたものです。
彼の生涯や作品に関する展示があり、広場には記念像があります。
- ユダヤ人街 (Josefov)【世界遺産】
- 旧市街広場の北の地域です。古くからユダヤ人が住み着いていた地区で、19世紀には町の人口の3分の1を占めていました。
現在もあちこちにユダヤ教会(シナゴーグ, Synagoga)があり、地区の西には15〜18世紀に埋葬された1万2千基の墓がある「旧ユダヤ人墓地
(Stary Zidovsky Hrbitov)」もあります。
- 市民会館 (Obecni Dum)【世界遺産】
- 旧市街広場の東0.4kmにある、1911年完成の華麗なアールヌーボー様式のホールです。
一般的な催し物に使われる他、毎年5月に開かれるヨーロッパ屈指の音楽祭「プラハの春」のオープニング会場となる「スメタナ・ホール (Smetanova Sin)」があります。
- 火薬塔 (Prasna Brana)【世界遺産】
- 市民会館の南にある高さ65mの塔で、下部は門になっています。
11世紀に町の門として造られ、17世紀にロシア軍侵攻の際に火薬庫として使われたためにこう呼ばれます。
- バーツラフ広場 (Vaclavske Namesti)【世界遺産】
- 旧市街広場の南0.4kmから南東に700mほど続く、両側を道路に挟まれた幅50mの長い広場で、沿線は繁華街になっています。
1969年の「プラハの春」の際に広場の「聖バーツラフ騎馬像」前で、ソ連の介入に学生が焼身自殺を図って抗議した事件や、1989年の「ビロード革命」では市民100万人がここに集まったという、独立の歴史において重要な場所です。
- 国立博物館 (Narodni Muzeum)【世界遺産】
- バーツラフ広場の南東端の先にある博物館です。
1890年創設の国内最大の博物館で、自然科学や考古学、地質などの展示があります。鉱物標本は世界有数の展示規模を誇ります。
- ドボルザーク博物館 (Muzeum a Dvoraka)【世界遺産】
- 国立博物館の南南西0.7kmにある、チェコの作曲家ドボルザークに関する博物館です。
1961年に生誕120周年記念として建てられたもので、作曲に使ったピアノや自筆の楽譜などが展示されています。
- 国民劇場 (Narodni Divadlo)【世界遺産】
- 旧市街広場の南西1km、ブルタバ川河畔に建つネオ・ルネサンス様式の劇場です。
ハプスブルク家支配の時代に、ドイツ語を強制されていた市民がチェコ語による舞台を目指して国民の寄付で建造し、落成直前の火災で焼失にもかかわらず再度集まった寄付金でわずか2年後の1883年に完成したものです。
設計、内装もチェコの芸術家が行い、こけら落としも作曲家スメタナのチェコ語の歌劇でした。現在も歌劇やバレエが上演されています。
ブルタバ川西岸
- 小地区 (Mala Strana)【世界遺産】
- ブルタバ川の西岸、カレル橋を渡った先の一帯の地区です。石畳や坂が多く、教会や修道院が点在する落ち着いた地域です。
地区の南には市街が一望できる「ペトジーン公園 (Petrinske Sady)」があります。
- プラハ城 (Prazsky Hrad)【世界遺産】
- 小地区の北の丘に建つ王宮で、国内最大の規模を持つ城です。
9世紀半ばに建造され、以後支配者の居城となり、現在は一部が大統領官邸になっています。
14世紀のカレル4世時代の旧王宮や宮殿、教会、修道院などが建ち並び、3つの中庭があります。
10世紀が創建で、14世紀に壮麗なゴシック様式に建て替えられた「聖ヴィート教会 (Katedrala sv. Vita)」、プラハ最古の920年創建でロマネスク様式の「聖イジー教会 (Klaster sv. Jiri)」などの見所があります。
- 黄金の小道 (Zlata Ulicka)【世界遺産】
- プラハ城の北、城の裏手にある路地です。
16世紀頃に城に仕える召使いが住んでいたところで、後に錬金術師が住むようになったためこの名が付いたといわれています。
色とりどりの小さな家が建ち並び、現在は土産物屋が入っています。
通りの中ほどに、作家カフカが1916〜17年に住んだ家もあります。
プラハ近郊
- ビシェフラード城 (Vysehrad)
- 旧市街広場の南3km、ブルタバ川東岸の丘にある城跡です。
11世紀に起源を持つ城で、現在は17世紀の建物が残り、周辺は公園になっています。
教会の他に、作曲家のスメタナやドボルザークが眠る墓地もあります。
丘の上からはプラハ中心部へ流れていくブルタバ川が眺められます。
- カレルシュテイン城 (Karlstejn)
- プラハの南西25km、渓谷の丘の上に建つ城です。
14世紀の中頃に神聖ローマ帝国皇帝のカール4世が建造したゴシック様式の城で、歴代王の夏の別荘として使われました。
内部見学ができますが、駐車場から丘の上の城までかなり登ることになります。
- コノピシュチェ城 (Konopiste)
- プラハの南南東40kmの町ベネショフ (Benesov) の西郊にあるバロック様式の城で、小高い丘の森に囲まれて建っています。
13世紀の創建で、以後改修を繰り返し、最後の城主は1914年にサラエボで暗殺されて第一次大戦の発端となったオーストリアのフェルディナント皇太子でした。
狩を好んだ皇太子だったため、城内には多くの鹿の角や動物のはく製が飾られ、武器や甲冑などのコレクションも見所です。
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