ゲントとブルージュ(ベルギーの観光地 2)
ゲント (Gent) は、ブリュッセルの北西50kmにある人口22万人ほどのブリュッセル、アントワープに次ぐ第3の都市です。
中世には織物業で栄えましたが、現在は花の栽培が盛んな町となっています。
なお「ゲント」は英語読みで "Ghent" とつづりますが、現地のオランダ語は "Gent" で「ヘント」と読みます。
ブルージュ (Brugge) は、ブリュッセルの北西100kmにある人口12万人ほどの町です。
9世紀頃に建設され、13世紀にはハンザ同盟の町となり、15km北の北海に通じる運河の港町として貿易で栄えました。
15世紀以後は運河に土砂が堆積して港の役割がなくなり衰退しましたが、街並みはその当時のまま時間が止まったように今に伝わっています。
多くの歴史的建造物が残る旧市街は「天井のない美術館」と称され全体が世界遺産となっています。
その旧市街には運河が通じていて美しい橋が50以上もあり、「ブルージュ」自体「橋」の意です。
「ブルージュ」は英語読みでつづりは "Bruges" ですが、現地のオランダ語では「ブルッヘ」という読みになります。
(なおフランスには「ブールジュ (Bourges)」という町があります。混同しないようにしましょう。)
ゲント
- 聖バーフ大聖堂 (Sint Baafskathedraal)
- 市の中心部にある大聖堂です。12世紀に着工し、16世紀に完成したロマネスクとゴシック様式を併せ持った堂々たる建物です。
高さ88mの塔がそびえ、内部は豪華な装飾になっています。
フランドル絵画の最高傑作といわれるファン・アイク兄弟作の祭壇画「神秘の子羊」は必見です。
- 鐘楼 (Belfort)【世界遺産】
- 聖バーフ大聖堂の北西にある高さ91mの建物で、世界遺産となっているフランドル地方の鐘楼の一つです。
13〜14世紀にギルドによって建てられたもので、エレベーターで登ることができます。
東隣には15世紀に建てられラシャの取引が行われた「繊維ホール (Lakenhalle)」があります。
- フランドル伯の居城 (Gravensteen)
- 聖バーフ大聖堂の北西0.7km、川の合流する地点に建てられた要塞です。
1180年にフランドル伯フィリップ・ダルザスが建造したもので、14世紀以後は造幣局や裁判所、牢獄、製糸工場とさまざまに使われました。
- グラスレイ (Graslei) / コレンレイ (Korenlei)
- フランドル伯の居城の南0.3km、市内を流れるレイエ川 (Leie) 両岸に中世のギルドハウスをはじめとする落ち着いた古い街並みが並んでいます。
川の東岸がグラスレイ、西岸がコレンレイです。鐘楼や大聖堂も望め、ゲントの代表的な景観となっています。
川のクルーズ船も出ています。
- オーイドンク城 (Kasteel Ooidonk)
- ゲントの南西15kmにある16世紀創建のルネサンス様式の城です。
フランダース地方で最も美しい城の一つとされ、城内には家具や絵画などが飾られています。
結婚式場や宴会場としても利用できるため、ここでの結婚式ツアーもいくつか出ています。
ブルージュ
- マルクト (Markt)【世界遺産】
- 旧市街の中心にある広場です。南側に「鐘楼」がそびえ、東側には州庁舎があります。
広場の中央には、1302年にフランス軍と戦った市民の英雄ヤン・ブレイデルとピーター・ド・コーニンクの銅像が立っています。
- 鐘楼 (Belfort)【世界遺産】
- マルクトの南側に建つ塔で、13世紀に建てられた毛織物業者の「ギルドハウス (Halle)」の上に建っています。
高さ83mで、366段の階段で登ることができます。途中部分に47個の鐘がついた重さ27tのカリヨン(組鐘)があります。
フランドル地方の鐘楼としての世界遺産にもなっています。
- ブルグ広場 (Burg)【世界遺産】
- マルクト広場のすぐ東にある広場です。フランドル伯の城の跡地で、かつての行政の中心地だった地です。
周りを「市庁舎」、「古文書館」、「裁判所」、「聖血礼拝堂」というゴシック様式の建物に囲まれています。
- 市庁舎 (Stadhuis)【世界遺産】
- ブルク広場の南側に建つ1420年に完成したゴシック様式の建物で、フランドル地方の市庁舎としては最古です。
正面には歴史上の人物のレリーフが飾られ、2階の「ゴシックの間」は美しいアーチ天井や壁画が見所です。
- 聖血礼拝堂 (Heilig-Bloedbasiliek)【世界遺産】
- ブルク広場の西側で、市庁舎の隣に建つ礼拝堂です。
12世紀の創建で、下部は当初のロマネスク様式の納骨堂、上部は15世紀に改修されたゴシック様式の礼拝堂になっています。
12世紀に十字軍に参加したフランドル伯が持ち帰ったキリストの血とされる聖遺物を納めています。
これにちなむ5月のキリスト昇天祭に行われる「聖血の行列」はブルージュ最大のイベントです。
- 古文書館 (Oude Griffie)【世界遺産】
- 市庁舎の東隣にある1537年完成のルネサンス様式の建物です。
内部は州立博物館となっており、カール5世を称えて造られたマントルピースや肖像画などの展示があります。
- 裁判所 (Palais van Het Brugse Vrije)【世界遺産】
- ブルク広場の東側に建つ建物です。
1727年の建造で、現在は市の観光局が使っています。
- チョコレート博物館 (Choco-Story, The Chocolate Museum)【世界遺産】
- マルクトの北東0.3kmにある2004年にオープンしたチョコレートに関する博物館です。
15世紀の建物の中にあり、マヤ、アステカの時代から現代に至るチョコレートの歴史に関する資料を千点以上も展示しています。
チョコレート職人による、ベルギー名物の詰め物チョコレート「プラリネ」の製造デモンストレーションもあり、もちろん試食もできます。
- 救世主大聖堂 (St-Salvatorkathedraal)【世界遺産】
- マルクトの南西0.5kmにあるゴシック様式の大聖堂です。
12〜15世紀に造られた市内最古の聖堂で、コブラン織のタペストリーや17世紀の市内最古のオルガン、数多くの絵画など見所が多くあります。
- ノートルダム教会 (Onze-Lieve-Vrouwekerk)【世界遺産】
- 救世主大聖堂の南東にある教会で、日本語では「聖母教会」ともいいます。
13〜15世紀に造られ、高さ122mのレンガ造りの塔があります。
内部には、ブルゴーニュ公国のマリー王女とその父のシャルル勇胆王の墓があり、ミケランジェロ作の大理石の「聖母子像」、ファン・アイクの「十字架上のキリスト」といった傑作の芸術作品もあります。
- グルートフーズ博物館 (Gruuthusemuseum)【世界遺産】
- ノートルダム教会の東にある博物館です。
15世紀にビール醸造権を持っていた貴族・グルートフーズ家の屋敷で、1955年から博物館として公開されています。
当時の家具や生活道具、武器、楽器など、往時の貴族の生活を偲ぶことができます。
- グルーニング美術館 (Groeningemuseum)【世界遺産】
- グルートフーズ博物館の東にある美術館です。
1716年に開館した美術館で、1755年には火災、フランス占領時代は重要作品がルーブル美術館に移されたりと波乱の歴史を持ちます。
15世紀以後のバン・アイク、メムリンクなど、ベルギー、オランダ絵画の傑作が収集されています。
- メムリンク美術館 (Memlingmuseum)【世界遺産】
- ノートルダム教会の南にある美術館です。12世紀に建てられた「聖ヨハネ病院 (St-Janshospitaal)」の一部を巨匠メムリンクの美術館として1839年に公開したものです。
本人の作品はわずか6点ですが、ベルギーの秘宝とされる聖遺物箱に描いた「ウルスラの殉教」や「聖カテリーナの神秘の結婚」などの傑作があります。
なお病院建物は、現在聖ヨハネ財団が展示会などで使用し、旧病室には病院の歴史を物語る品々が展示され、17世紀の薬局も再現されています。
- ストラッフ・ヘンドリック醸造所 (Brouwerij Straffe Hendrik)【世界遺産】
- メムリンク美術館の南にあるビールの醸造所です。
1546年の創業で、かつて市内に30以上あった醸造所は減ってしまい、3軒しか残っていないうちの1軒です。醸造工程の見学や試飲ができます。
- ダイヤモンド博物館 (Diamantmuseum)【世界遺産】
- メムリンク美術館の南東にあるダイヤモンドに関する博物館です。
15世紀以降のダイヤモンド研磨の歴史や方法を展示しています。ダイヤモンド研磨のデモンストレーションも見学できます。
- ベギン会修道院 (Begijnhof)【世界遺産】
- メムリンク美術館の南0.3kmにある修道院で、世界遺産となっているフランドル地方のベギン会修道院の一つです。
フランドル伯夫人のマルグリットが、十字軍遠征で夫を亡くした妻のために1245年に建てたもので、現在の建物は17世紀以降のものです。
現在はベネディクト派女子修道院として使われ、博物館として開放されている一角では、修道女の日常生活を再現しています。
- 愛の湖 (Minnewater)【世界遺産】
- ベギン会修道院の南にある湖です。
かつてゲントとを結ぶ水上輸送の港だったところで、南北200m、東西30mほどの大きさで現在は水門でせき止められています。
恋人たちが憩う場として名付けられ、白鳥が浮かぶ景色が絵になります。
- レースセンター (Kantcenrum)【世界遺産】
- マルクトの北東0.8kmにある、ブルージュの特産品の手編みのボビン・レースを展示する施設です。
レース編みの実演も見ることができます。
- 聖ヤンスハイス風車 (Sint-Janshuismolen)【世界遺産】
- マルクトの東北東1.2km、旧市街の東の城壁に残る「十字門 (Kruispoort)」の近くにある風車です。
1770年に建てられたもので、1914年で稼動は終了しましたが、1964年から再び動かされています。
この風車は昔から建っているものですが、周辺に3基保存されている風車もあります。
ベルギーの観光地