マルタ各地

バレッタ

バレッタ (Valletta) は、北西から南東に30km、幅15kmほどのマルタ島北東岸にある首都で、人口は6千人余です。
地中海に面する湾内に北東に伸びる半島があり、その先端部（長さ1.2km、幅0.8kmほど）がバレッタの旧市街で、周囲に城壁が築かれていて要塞都市の風情を残しています。
半島の南東側は「グランド・ハーバー」(Grand Harbour)、北西側は「マルサイムシェット・ハーバー」(Marsamxett Harbour) という入り江の天然の良港となっています。
1566年に聖ヨハネ騎士団総長ジャン・ド・バレットによって要塞都市の建設が始まったのが最初で、市名は彼の名から採られています。
イギリス支配時代に町は発展しましたが、第二次大戦時にはドイツやイタリアによる空襲を受けてかなり損傷を受けました。
しかし石造りの建物や石畳など、中世の風情が残る市街は、世界遺産に登録されています。
なお、旧市街の内部は自動車の通行が禁止のため、徒歩か自転車、あるいは観光馬車での散策となります。
半島の上に町があるため、道路は坂が多いです。

バレッタのホテル検索

リパブリック通り (Republic Street)【世界遺産】: 旧市街の入り口にあたる「市門」(City Gate) から北東に旧市街の中心をを貫く目抜き通りです。
土産物屋やファストフードの店が立ち並んでいます。
ロイヤル・オペラ・ハウス (Royal Opera House)【世界遺産】: 市門のすぐ近くにあるオペラ劇場跡です。
1866年に建てられたものですが、1942年にドイツ軍の空爆で破壊され、現在も廃墟のままになっています。
今後再建される計画があるようです。
勝利の聖母教会 (Our Lady of Victories Church)【世界遺産】: ロイヤル・オペラ・ハウスのすぐ南にある教会です。
1565年にオスマン軍によるマルタ侵攻を撃破した後に建てられたバレッタで最古の建物です。
現在も教会として市民に使われています。
国立考古学博物館 (National Museum of Archaeology)【世界遺産】: ロイヤル・オペラ・ハウスの北東150m、リパブリック通り沿いにある博物館で、建物はかつてヨハネ騎士団の宿舎「オーベルジュ・ド・プロヴァンス」(Auberge de Provence) だったものです。
マルタの先史時代からの遺物が展示されており、紀元前4500年前ごろの巨石文明発祥の証である石も展示されています。
聖ヨハネ大聖堂 (St.John's Co-Cathedral)【世界遺産】: 国立考古学博物館のすぐ東にある大聖堂で、正式には「聖ヨハネ准司教座聖堂」です。
聖ヨハネに捧げられた騎士団の修道院で、騎士団の建築技師長のマルタ人ジェロラモ・カサールの設計で1577年に完成しました。
礼拝堂にはイタリア・バロックの画家ガラパッジョの傑作「聖ヨハネの断首」があります。
マルタ騎士団総長の館 (Grandmaster's Palace)【世界遺産】: 聖ヨハネ大聖堂の北東、旧市街のほぼ中央にある、1571年創建のマルタ騎士団総長の宮殿だった建物です。現在はマルタ共和国の大統領府兼国会議事堂として使われています。
一部が公開されており、騎士団長やヨーロッパの君主のポートレートやコブラン織のコレクションなどがあります。
また大ホールには「騎士団の兵器庫」があり、各時代の武器や甲冑を展示しています。
マノエル劇場 (Manoel Theatre)【世界遺産】: マルタ騎士団総長の館の北西150mにある豪華な劇場です。
1731年に騎士団長マノエル・ド・ヴィルヘナが建造したもので、ヨーロッパでも最古の劇場の一つです。
冬季だけ劇場として使われ、その他の季節はガイドツアーで見学ができます。
カーマライト教会 (Carmelite Church)【世界遺産】: マノエル劇場のすぐ北西にあるカルメル修道会の教会で、大きなドームが旧市街の中で存在感を出しています。
1570年の創建ですが、第ニ次世界大戦で破壊され、1970年ごろに再建されて比較的新しく見えます。
カーサ・ロッカ・ピッコロ (Casa Rocca Piccola)【世界遺産】: 16世紀に建てられた貴族の館です。
現在もその子孫が住んでいて、ガイドツアーで邸内を見学ができます。
聖エルモ砦 (Fort St. Elmo)【世界遺産】: 旧市街の北東、半島の先端にある要塞跡です。
1552年にオスマン軍侵攻の防衛のために築かれ、1565年にはここを中心にオスマン軍との壮絶な戦いを繰り広げて一時は陥落しましたが、オスマン側は相当数の戦死者を出して撤退、マルタは守られました。
星形をした砦はその後修復されましたが、第二次大戦の爆撃で破壊され、その状態で残っています。
敷地内には「国立戦争博物館」が併設され、シーズン中は当時の衣装によるマルタ騎士団のパフォーマンスがあります。
マルタ・エクスペリエンス (The Malta Experience): 聖エルモ砦の南、海岸近くにあるミニシアターです。
マルタの歴史を45分の映画で見ることができます。日本語対応もあるようです。
アッパー・バラッカ・ガーデン (Upper Barracca Garden)【世界遺産】: 市門の南東0.2km、グランド・ハーバーに面する公園です。
19世紀まではイタリア人騎士の憩いの場であったところで、グランド・ハーバー全体と対岸がよく見える眺望のよいところです。
北東の聖エルモ砦の近くには、「ロウアー・バラッカ・ガーデン」(Lower Barracca Garden) もあります。
礼砲台 (Saluting Battery)【世界遺産】: アッパー・バラッカ・ガーデンの直下にある、大砲がグランド・ハーバーに向かって並べられた所です。
もともとは16世紀に造られたの砲台で、現在は毎日昼の12時にイベントとして空砲が打たれます。

マルタ島各地

スリーマのホテル検索

スリーマ (Sliema): バレッタの北西1.5km、マルサイムシェット・ハーバーをはさんだ対岸にある町です。
20世紀以降急速に発展した町で、ホテル、カフェ、レストラン、カジノ、ショッピングセンターなどが集まる近代的な町となっています。
マルサイムシェット・ハーバーと地中海にはさまれた半島のような地形で、海水浴場もあり、リゾート地のような風情があります。
バレッタの旧市街から30分おきにフェリーが出ていて、わずか10分程度で行くことができます。
サン・ジュリアン (St.Julian's): スリーマの北西に隣接する町で、スリーマの半島の西側の湾に臨みます。
レストランやカフェなどが集まりますが、スリーマに比べて閑静なたたずまいです。
スリー・シティズ (The Three Cities): バレッタ旧市街のアッパー・バラッカ・ガーデンからグランド・ハーバーをはさんだ対岸、2つの突き出た半島とその間の入り江奥にある3つの町の総称です。
北東側の半島にヴィットリオーザ (Vittoriosa)、南西側の半島にセングレア (Senglea)、入り江の奥にコスピクア (Cospicua) があります。全体でも1km程度の範囲です。
聖ヨハネ騎士団が最初に拠点とした地で、オスマン軍との戦いの際の砦跡や中世の教会が点在し、海岸からはヴァレッタ市街が眺められます。
ハイポジューム (Hal Saflieni Hypogeum)【世界遺産】: バレッタ旧市街の南3km、住宅街の中にある紀元前2500年ごろの地下神殿遺跡で、「ハル・サフリエニの地下墳墓」という呼ばれ方もします。
1902年に住宅建設の際に偶然発見されました。
地下12mにあり、巨石遺跡をまねて岩をくりぬいて造られていて、三層構造になっています。
1回10人づつ、1日6回のガイドツアーでのみ見学でき、予約が必要です。
モスタ (Mosta): バレッタの西8km、マルタ島のほぼ中央部にある町です。
町の中心にある「聖マリア教会」(Rotunda of St Marija Assunta) は大きなドームが特徴で「モスタ・ドーム」と呼ばれている観光名所です。
1942年のドイツ軍の空襲で、投下された爆弾がこのドームを突き破って中に飛び込みましたが、爆発はせずに中にいた信者250人は助かったという「モスタの奇跡」が知られています。
イムディーナ (Mdina): モスタの南西4kmにある小さな町です。
紀元前700年ごろにフェニキア人が要塞を築いたのが最初とされ、海が見渡せる立地として16世紀の聖ヨハネ騎士団の時代までマルタの首都でした。
バレッタに首都が移ってから賑わいがなくなり、「静寂の町」と呼ばれています。
1693年に大地震で壊滅しましたが復興し、現在も中世の様々な様式の建物が残る要塞の町として残っています。
ラバト (Rabat): イムディーナのすぐ南に隣接する町です。
紀元前60年に聖パウロがマルタ島に漂着してここに住んだと言われ、ローマ時代はイムディーナ要塞の外側の一つの街区であったとされています。
「聖パウロ教会」やその地下に「聖パウロの地下墓地」といったゆかりのスポットがあります。
ハジャール・イム神殿 (Hagar Qim Temple)【世界遺産】: バレッタの南西12km、マルタ島南岸近くの高台にある神殿遺跡です。
紀元前3000年ごろに造られたとされ、巨大な岩が並べたり積み上げられたりしています。「マルタの巨石神殿群」の一つとして世界遺産に登録されています。現在は保護のため、上を大きなテントで覆っています。
青の洞門 (Blue Grotto): ハジャール・イム神殿の東1km、島の南岸にある海食洞です。
有名なイタリア、カプリ島の「青の洞窟」ほど奥深さはありませんが、晴天の日には透明な水に海底で光を反射し、明るい青い色を海が発します。
洞の近くからツアー・ボートが出ています。
マルサシロク (Marsaxlokk): バレッタの南東8km、マルタ島南東岸の湾奥にある人口3200人程度の漁港の町です。
カラフルな漁船「ルツ」(Luzzu) が港に浮かび、町は石造りの白っぽい民家が並びます。
毎日、市が立ちますが、観光客向けの露店も並ぶ日曜市は特ににぎわいます。

ゴゾ島とコミノ島

ゴゾ島 (Valletta) は、マルタ島の北西約6kmに浮かぶ島で、東西15km、南北7kmほどです。
島の中ほどに中心の町、ビクトリアがあります。
紀元前から人が住んでおり、巨石の遺跡が点在します。
マルタ島の北西端のチルケッワ港 (Cirkewwa) から、ゴゾ島南東部のムガール（イムジャ）港 (Mgarr) のフェリーが1時間に1本程度出ていて、30分ほどで渡れます。

ビクトリアのホテル検索

ビクトリア (Victoria): ゴゾ島の中心地で人口6400人ほど、ムガール港から5kmほどです。ここも「ラバト」(Rabat)という呼ばれかたもします。
町の北の丘には、16世紀に聖ヨハネ騎士団が築いた「大城塞」(The Citadel) があり、その敷地内には大聖堂などの遺跡が残っています。
ジュガンティヤ遺跡 (Ggantija)【世界遺産】: ビクトリアの東3kmにある、ハジャール・イム遺跡同様な巨石の神殿遺跡です。
マルタの中でも最古の遺跡で、紀元前3600年から2500年ごろに建設されたものと推定されています。
巨石による2つの神殿跡が隣接して残っています。
カリプソの洞窟 (Calypso's Cave): ビクトリアの北東4km、ゴゾ島北東部の海岸近くにある洞窟です。
ホメロスの抒情詩「オデュッセイア」の中で、妖精カリプソとオデュッセウスが7年を過ごしたという洞窟です。
奥行きはなく、むしろ周りにある展望台から広々とした地中海が眺められるスポットです。
タピヌのバシリカ (Ta'Pinu Basilica): ビクトリアの北西4km、畑の中にある聖堂です。
この地の農夫が1883年に天使の声を聞き、その後にいくつか奇跡が起こったために建てられたという聖堂です。
アズール・ウィンドウ (Azure Window): ビクトリアの西5km、島の西岸にある波の浸食でトンネル状に穴があいた岩のある海岸です。
「アズール」が意味する紺碧の水の色と、荒々しい岩の対比が美しいスポットです。
【2017年3月に、嵐によって完全崩壊、姿を消したようです】
コミノ島 (Comino Island): マルタ島とゴゾ島の間にある東西1.5km、南北1kmの小島です。
養豚を営む数人しか定住していない島で、周囲は険しい断崖で囲まれています。
中世に建てられた建造物がいくつかあり、16～17世紀には粒径地となった島ですが、観光地としては島の周囲の海岸部がメインのスポットとなります。
南西部の小さな島との間に「ブルーラグーン」と呼ばれる美しいエメラルド色をした浅瀬があって、随一のスポットとなっています。
北岸の入り江にはホテルもあります。
ゴゾ島のムガール港や、マルタ島のスリーマなどからクルーズ船やヨットなどで訪れることができます。