地中海沿岸・シナイ半島(エジプトの観光地 2)
アレキサンドリア
アレキサンドリア (Alexandria) は、カイロの北西200km、地中海に臨む人口430万人を擁するエジプト第2の都市で、「地中海の真珠」と呼ばれています。
紀元前332年にアレキサンダー大王がマケドニアの都として築き、紀元前1世紀にはクレオパトラがこの地で暮らしました。
ギリシャ、ローマ時代には学術の中心地として発展しましたが、近代のナポレオンが進出する頃までには小さな漁村にまで衰退しました。
19世紀以降は商業と海運の中心地として再発展しています。
- ローマ円形劇場 (Roman Amphitheater)
- 市街中心部のマスル駅 (Masr Station) 近くにある古代ローマ様式の円形劇場遺跡です。
1964年に発見され、収容人員は7〜800人程度のこじんまりしたものです。
- グレコ・ローマン博物館 (Graeco-Roman Museum)
- マスル駅の北にある、紀元前3世紀から紀元後7世紀までの遺物を展示する博物館です。
1892年の創設で約4万点の考古品を収蔵します。彫像や土製人形、ミイラの他、パピルスやコインなども展示しています。
- カイト・ベイ要塞 (Qait Bay Fort)
- 市街中心部の北2km、地中海に突き出した半島の北東端にある要塞跡です。
15世紀のマムルーク朝時代ににスルタン・カイト・ベイが築いたものですが、それ以前には紀元前3世紀の建造で、古代の世界七不思議にも数えられる「ファロスの灯台 (Pharos Lighthouse)」があった場所として知られています。
ファロスの灯台は、頂上にポセイドン像がある高さ125mの塔で、50km先からも光が見えたといわれていますが、13世紀の大地震で倒壊してしまいました。
要塞の周辺は地中海の景色が広がり、地元のデートスポットとなっています。
- ポンペイの柱 (Pompey's Pillar)
- マスル駅の西2kmにある高さ25mの花崗岩の柱です。
297年にディオクレチヌス帝が建て、当時は400本の柱があったものが389年にテオドシウス帝が取り壊したもので、1本だけが残っています。
もともとの建物は「セラピス神殿」であったとも「図書館」であったともいわれています。周辺にはスフィンクス像などもあります。
- コム・エル・シュカファのカタコンベ (Kom El Shoqafa Catacombs)
- ポンペイの柱の西、住宅街のコム・エル・シュカファにある2世紀に造られたローマ市民の共同地下墓地です。
地下3階、深さ90mあり、エジプトとローマの様式を混合したレリーフや壁画が残されています。
シナイ半島
シナイ半島 (Sinai Peninsula) は、エジプト北東部の逆三角形の半島で、アフリカ大陸と中東地域をつなぐ接点となっています。
北は地中海、南西はスエズ湾 (Gulf of Suez)、南東はアカバ湾 (Gulf of Aqaba)、南は紅海 (Red Sea) に囲まれています。
南部に山岳地帯がありますが、それも含めて全体は砂漠地帯になっています。
紀元前13世紀に古代イスラエルの聖人モーゼが十戒を授かった地として知られています。
1967年から1979年まではイスラエルが侵攻して占領していた地域です。
- スエズ運河 (Suez Canal)
- カイロ北東200kmの地中海岸の町ポートサイド(Port Said)から、紅海の北奥の町スエズ (Suez) に至る全長163kmの運河です。
フランスの指導で多くの犠牲者を出しながら10年の歳月をかけて1869年に開通しました。
幅約200mで深さは20mほどあり、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な航路です。
軍事施設もあり、周辺は立入り禁止になっており、遊覧船などはありません。
カイロからシナイ半島に入る場合はスエズにある海底トンネルで横断しますが、その際に眺めることができます。
- モーゼの泉 (Ain Musa)
- スエズの南東郊、シナイ半島側の砂漠の小さなオアシスにある石組みの井戸です。
苦くて飲めない水を、モーゼが木の枝を投げ入れたら甘くなったという、旧約聖書に出てくる「メラの泉」といわれます。2つの井戸が残っています。
なお同様な泉はイスラエルからヨルダン方面まであちこちにあります。
- 聖カテリーナ修道院 (St.Catherina's Monastery)【世界遺産】
- シナイ半島南部の山岳地帯、シナイ山の麓にあるギリシャ正教の修道院です。
標高1570mの高地にあり、6世紀にローマのユスチニアヌス帝が建立したもので、要塞のような造りになっています。
礼拝堂、教会堂、聖壇の3つのホールがあり、さまざまな言語で書かれた聖書の写本などを収蔵する図書館、イコンや王冠など貴重な品々を収蔵する博物館を併設し、コレクションはバチカンに次ぐほどの規模といわれます。
庭にある「燃える柴の木」が有名です。なお現在も修行の場であり、見学は一部に限られます。
- シナイ山 (Mt.Sinai)
- セント・カテリーナ修道院のそばにそびえる標高2285mの岩山です。別名「モーゼ山 (Mt.Moses)」で、頂上でモーゼが十戒を授かったという山です。
登山ツアーがあり、聖カテリーナ修道院のある町を夜中の3時頃出発して、頂上でご来光を眺めます。途中までラクダに乗って登ることもできます。
- シャルム・エル・シェイク (Sharm El Sheikh)
- シナイ半島南端近くのアカバ湾に臨む国際的リゾート地です。
かつてイスラエルが占領時代に軍事拠点として造った町で、現在はヨーロッパ人やイスラエル人、ヨルダン人に人気のマリン・リゾートとなっています。
世界屈指の透明度を誇る海はダイビングスポットとなっています。
また、北北西90kmの聖カテリーナ修道院やシナイ山への観光拠点ともなっています。
2005年7月に自動車爆弾によるテロが発生し、欧米の観光客を中心に多数の死傷者が出ました。
エジプトの観光地
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