スリランカ各地
コロンボ (Colombo) は、スリランカ西海岸南部にある人口75万人の中心都市で、1985年までは首都でした。
古代から海外との交易拠点として栄え、植民地時代に建てられた建造物もあちこちに残っています。
国際空港があり、スリランカ各地の観光拠点となります。
スリランカの北部から中部の内陸部の高原地帯は、かつていくつもの王国が勃興した地で、シギリヤ、ポロンナルワ、アヌラダプーラ、ダンブラなどの遺跡が点在します。
また南部には、キャンディなどの古都の他、黄金海岸とよばれる南西部の海岸沿いに、いくつものビーチリゾートがあります。
コロンボ
- ペター地区 (Pettah)
- コロンボの中心部、中央駅のコロンボ・フォート駅の北側の一帯です。
庶民の町で、市場や雑貨店などが軒を連ね、スリランカの人々の生活を伺うことができます。
コロンボ最古のモスク「ジャミ・ウル・アルファー・モスク (Jami-ul-Alfar Mosque)」や、20世紀初頭に建てられた「カーン時計台 (Khan Clock Tower)」が主なスポットです。
- フォート地区 (Fort)
- ペター地区から運河をはさんですぐ西側の地区で、北はコロンボ港、西はインド洋に面しています。
ランドマークとしてワールド・トレード・センターの高層ビルが建ち、銀行や証券取引所などが集まるコロンボの商業・金融の中心地です。
「フォート」は "砦" という意味で、16世紀にポルトガルがこの地に砦を造ったことから来ています。
1815年にイギリス統治になり、多くの建物が造られましたが、その途上で役割を終えた砦は1870年に取り壊されました。
地区にはその当時に建造された建物が多く残っていて、現在も使われています。
- ゴール・フェイス・グリーン (Galle Face Green)
- フォート地区の南、インド洋に面する海岸沿いに広がる、海岸と道路に挟まれた芝生の公園です。
幅100m、長さ500mほどのエリアですが、散策や日没を眺めるスペースとして市民には人気の場所です。
スリランカ北部の遺跡群
- シギリヤ (Sigiriya)【世界遺産】
- コロンボの北東150km、5世紀後半にシンハラ王朝のカッサバ1世が建設した岩山の上の宮殿跡とその周辺の都市遺跡です。
岩山の高さは195mで、火山のマグマ道が固まってできたため、ぼぼ垂直に屹立していて「シギリヤ・ロック」と呼ばれています。周囲はジャングルに覆われています。
477年に父を殺して王位を奪取し、弟の復讐を恐れたカッサバ1世が、この地にアヌラーダプラから遷都して建設した要塞都市でしたが、495年に弟の軍の攻撃で陥落、カッサバ1世は自害して、都は再びアヌラーダプラに戻されました。
シギリヤはその後修道院として存続しましたが、中世には放棄されたということです。
イギリス統治時代の1875年に、岩山の中腹に描かれた多数の女性のフレスコ画が発見され、「シギリヤ・レディ」と呼ばれて一躍有名になりました。
発見当時は500人ほどが描かれていましたが、現在は18人が残るのみです。
麓からは階段で登れ、途中で「シギリヤ・レディ」を見学し、頂上ではかつての宮殿の遺構を見ることができます。
- ダンブッラの黄金寺院 (Golden Temple of Dambulla)【世界遺産】
- シギリヤの南西20km、ダンブッラの町にあるスリランカ最大の石窟寺院です。
紀元前1世紀ごろに造られ始めたといわれ、岩山の中腹に5つの石窟があります。内部は13世紀ごろまでの長期にわたって造られた多くの仏像や壁画があります。
- ポロンナルワ (Polonnaruwa)【世界遺産】
- シギリヤの東30kmにある、1017年から1255年までシンハラ王朝の首都がおかれた町で、町全体が世界遺産に登録されていて、広い地域に数多くの遺跡が残っています。
町の中心に「宮殿跡 (Vejayanta Pasada)」や「閣議場 (The Council Chamber)」の遺跡があり、そのそばに「クワドラングル (Quadrangle)」(四辺形の意)と呼ばれる当時の重要な建物が集まっているエリアがあります。
さらには高さ十数メートル石壁にはさまれた巨大な石造寺院「ランカティラカ (Lankathilake)」や、巨大な一枚岩に刻まれた4体の仏像群「ガル・ヴィハーラ (Gal Viharaya)」などが見どころとなっています。
- アヌラーダプラ (Anuradhapura)【世界遺産】
- シギリヤの北西60kmにある、紀元前5世紀から1017年にタミル人に滅ぼされるまで、長きにわたってシンハラ王朝の都だった町です。
紀元前3世紀にインドから仏教が伝わり、その当時の仏教遺跡があちこちに残っています。
「スリー・マハー菩提樹 (Sri Maha Bodhi Tree)」は、ブッダがブッダガヤで悟りを開いたとされる場所の菩提樹の分け木とされ、仏教徒の崇拝対象となっています。
また市内にはいくつか巨大仏塔があり、中でも「ルワンウェリ・サーヤ大塔 (Ruwanweli Seya Dagoba)」は歴史地区のランドマークになっている大塔で、創建は紀元前2世紀、高さは100mあります。
紀元前1世紀創建の「アバヤギリ大塔 (Abhayagiri Dagoba)」は高さ74mあるものですが、創建当時は高さ110mあったとされ、市内最大のものでした。
「イスルムニヤ精舎 (Isurumuniya Vihara)」は、紀元前3世紀に岩をくりぬいて造られた寺院で、現在も参拝ができるようになっています。
- ミヒンタレー (Mihintale)
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アヌラーダプラの東15kmにある、スリランカに仏教が伝わったとされる地です。
紀元前247年に、ジャングルに囲まれたミヒンタレー山の上の岩の上で瞑想していたインドのアショカ王の王子が、鹿に導かれてやってきたアヌラーダプラの王に仏教を伝えたといわれています。
山頂の岩は「インビテーション・ロック (Invitation Rock)」とよばれ、登ることができます。
周辺には寺院や遺跡が点在します。
キャンディ
キャンディ (Kandy) は、コロンボの東北東100kmにある人口12万人ほどの町です。標高500mほどの高原地帯にあって、年間を通して比較的涼しい気候です。
1469年から1815年まで、シンハラ人最後のキャンディ王国の都だった町で、仏教の聖地でもあり、その重要性から町全体が世界遺産に登録されています。
- キャンディ湖 (Kandy Lake)【世界遺産】
- キャンディの町の中にある、長さ約1km、幅100〜300mの小さな湖で、19世紀初めにキャンディ王国最後の王が12年かけて建設したものです。
湖の中に小さな島があり、王宮から地下通路がつながり、王のハーレムになっていたということです。
- 仏歯寺(ダラダー・マリガワ) (Dalada Maligawa)【世界遺産】
- キャンディ湖の北西岸、町の中心部にある仏教寺院です。
4世紀にインドからブッダの犬歯がスリランカに持ち込まれ、最初はアヌラーダプラに奉納されましたが、シンハラ王国の正当な後継者がこの仏歯を持つ伝統ができ、最後の王国としてここに奉納されたとされています。
寺は夜明けから日没まで一般公開されていますが、夜明け、日中、夕方の一日3回行われる礼拝時に、仏歯の部屋が開扉されます。
- ペラデニヤ熱帯植物園 (Peradeniya Botanical Garden)【世界遺産】
- 市内の西南西6kmにある植物園です。
14世紀にパラークラマ・バーフ1世王が王妃のために造った宮殿の庭園で、イギリス統治時代の1821年に植物園として開園しました。
59ヘクタールの広大な敷地に4千種の植物があります。
- 象の孤児院 (Pinnawala Elephant Orphanage)
- キャンディの西30km、ピンナワラの村にある孤児象の育成施設です。
1975年に政府の野生生物保護局によって開設され、親を亡くしたり、はぐれてしまった子ゾウを保護し、生育したゾウはその後寺院やゾウ使いの元へと引き取られていくようになっています。
見学が可能です。
スリランカ南部各地
- ヌワラエリヤ (Nuwara Eliya)
- コロンボの東100km、キャンディの南南東40kmで、標高1800mの高原地帯にある涼しく美しい避暑地です。町からは、スリランカ最高峰のピドゥルタラーガラ山 (2,524m) を望むことができます。
イギリス植民地時代の1846年にイギリス人入植者の避暑地として開発され「リトル・イングランド」と呼ばれました。
その名残で、広い芝生の庭をもつ建物が点在し、ゴルフ場や競馬場なども造られています。
周辺は「セイロンティー」で知られる紅茶の産地で、製茶工場は見学が可能です。
- ニゴンボ (Negombo)
- コロンボの北30km、インド洋に面する人口12万人ほどの都市です。
漁港を持ち、またビーチ・リゾートとしても人気、また国際空港にも非常に近く、国内各地へ行くバスターミナルもあって、観光拠点としても便利です。
ポルトガル支配時代に多くのカトリック教会が建てられていて、スリランカの中でもカトリック信者の比率が多く、ヨーロッパ色の強い町です。
- ベントータ (Bentota)
- コロンボの南60km、インド洋に面するビーチ・リゾートで、ベントータ川の作る長い砂州に沿ってリゾートホテッルが点在します。
政府主導で造られたスリランカ屈指のリゾートです。
- ヒッカドゥワ (Hikkaduwa)
- コロンボの南90km、インド洋に面するビーチ・リゾートです。
西海岸では最も珊瑚礁が発達したエリアで、ホテルも海岸沿いにたくさんあります。
- ゴール (Galle)【世界遺産】
- コロンボの南南東110kmにある人口10万人弱の町です。「ガル」とも読みます。
古代からの港町で、1411年には明(中国)の船も来ています。
1505年にポルトガル船が入港して町を武力で支配し、1640年にはオランダの東インド会社が奪取して1663年に要塞が造られました。
1796年にはイギリス支配に変わりましたが要塞は使い続け、その当時の建造物が今も残っています。
要塞を中心とした旧市街が、世界遺産に登録されています。
2004年のスマトラ沖地震の際は、大津波の直撃を受け、市内で数千人の死者を出しています。
スリランカの観光地