ルアンパバーンなどラオス各地
ビエンチャン (Vientiane) は、ラオス北中部にある人口70万人の首都です。
大河メコン川に臨み、その対岸はタイ領です。
12世紀にはすでに町が形成されていて、ビルマの圧迫に対応するため、1560年にラーンサーン王国の首都がルアンパバーンからここに移されました。
以後、国の分裂や他国の支配の時代も、ここが首都とされて現在に至っています。
市内には16世紀から19世紀に造られた多くの仏教寺院が点在しています。
ルアンパバーン (Luang Phabang) は、ビエンチャンの北220kmにある古都です。タイ語による英語表記から「ルアンプラバン (Luang Prabang)」と読むこともあります。
主要都市の一つですが、人口は6万人程度です。
1353年にラーンサーン王国が最初に都を置いた地で、1560年にビエンチャンに遷都されるまでラオスの中心地でした。
メコン川に臨み、カーン川が流れ込む山間の地にあり、当時の建造物が多く残る静かな風情ある街並みは、1995年に町全体が世界遺産に登録されました。
その結果、外国人観光客も注目し始めて旅行客が増えつつあり、近年は欧米人が行きたい観光地のトップに挙がるほどです。
ビエンチャン
- タート・ルアン (That Luang)
- 市の中心部の東北東3kmにある仏塔で、ラオス仏教の最高の聖地で、ラオスのシンボルとなっています。
3世紀頃にインドの使者がブッダの胸骨を納めるため建立したのが最初といわれ、1566年にラーンサーン王国のセタティラート王が再建したとされています。
19世紀にタイの侵略時に破壊されましたが、現在のものはその後再建したものです。
一辺85mの台座の中心にメインの仏塔が建ち、その周囲を多くの小さな仏塔で囲んでいます。
毎年11月の満月の時期には、盛大な祭りが催されています。
- パトゥーサイ (Patuxay)
- タート・ルアンの西南西、市中心部を走る目抜き通り・ランサン通り (Lane Xang Ave) にある凱旋門です。
内戦の終結と勝利を記念して1962年から建設が開始されたもので、目抜き通りの中央にそびえるさまはパリの凱旋門を参考にしたといわれています。
上に登ることができ、市内を一望できます。
なお、建物自体は資金難のために未完成であるということです。
- タラート・サオ (Talat Sao)
- パトゥーサイの南西、ランサン通り沿いにある市内最大の総合マーケットです。
近年、国内で唯一といっていいほどの近代的なモールもできました。
生鮮食品や日常雑貨から宝石、電気製品まで揃い、旅行者に人気に伝統織物も手に入ります。
- ワット・シーサケット (Wat Si Saket)
- タラート・サオの南西、ランサン通り沿いにある仏教寺院です。
1818年の建立で、度重なる戦火を免れて当時のままの姿を残す市内で最古の寺院です。
現在は博物館となっていて、内部には6840の仏像が安置されています。
- ワット・ホー・パケオ (Wat Haw Phra Kaew)
- ワット・シーサケットの南にある寺院で、現在は国内各地から集めた仏像などの美術品の博物館となっています。
もともとは1565年の遷都の際に、ルアンパバーンから運ばれたエメラルド仏を安置するために建てられたものです。
1779年のタイとの戦争で焼失し、エメラルド仏は持ち去られました。建物は1936年にフランスによって再建されています。
なお略奪されたエメラルド仏は、バンコクのワット・プラケオのものがそれだといわれ、ラオス政府はタイに対してしばしば返還要求を出しています。
- ワット・シームアン (Wat Si Muang)
- ワット・シーサケットの南東0.8kmにある寺院です。建立は1563年です。
建立の際に穴の中の大きな石がどうしても動かせず困窮していたところ、シーという名の妊婦が生贄で穴に飛び込んだら石も同時に穴の中に落ちて行ったという伝説があります。
シーはこの寺の守り神となって寺の名前にもなりました。いつも女性の参拝者が多い寺です。
ルアンパバーン
- ワット・シェントーン (Wat Xieng Thong)【世界遺産】
- 市街の北東部、カーン川がメコン川に流れ込む地点にある寺院です。
1560年セタティラート王の建立した寺院で、屋根が大きく地面近くまで張り出すルアンパバーン様式を持っています。
ルアンパバーンでも最も格式が高く、黄金の装飾が施された本堂の裏には、「生命の木」のモザイクがあります。
- 王宮博物館 (Royal Palace Museum)【世界遺産】
- ワット・シェントーン南西1kmの市の中心部近くにある博物館です。
もともとはフランス植民地時代の1909年に建てられた王宮で、王政廃止から博物館となったもので、王とその家族の寝室が保存され、暮らしぶりが垣間見ることができます。
- ワット・マイ (Wat Mai)【世界遺産】
- 王宮博物館の南西にある大きな寺院です。
1796年の創建で、5層の屋根はルアンパバーン様式で造られています。
本堂の扉にはインドの叙事詩「ラーマーヤナ」の黄金のレリーフがあります。
- プーシー (Phou Si)【世界遺産】
- 王宮博物館のすぐ南に広がる高さ150mの丘で、頂上からは街の全景が眺められます。
また頂上には1804年に建てられた金色の仏塔「タート・チョムシー」があります。
- サッカリン通り、シーサワンウォン通り (Sakkaline Road, Sisavangvong Road)【世界遺産】
- ワット・シェントーンから王宮博物館周辺までまっすぐ伸びる1.5kmほどの目抜き通りです。
通り沿いにレストランやカフェ、土産物屋が軒を連ねています。
また周辺には小さな寺院が多く、日の出とともに数百人の托鉢僧が通りを歩く姿がよく知られています。
なお托鉢へのお供えは、もち米が基本で、おかずやお菓子、果物などで、宗教行事のために見物はマナーを守って静粛に行ってください。
- パクウー洞窟 (Pak Ou Caves)
- ルアンパバーンの街からメコン川上流35kmにある洞窟です。「バクウー」はメコン川に合流する「ウー川の河口」の意です。
2つある洞窟のうち「タム・ティン」は神聖な場所とされ、人々が奉納した4千体もの仏像があります。
洞窟へは、王宮博物館前の桟橋からボートで約2時間かかります。
- バーン・サンハイ (Ban Sang Hai)
- ルアンパバーンの街からメコン川上流20kmの河岸にある小さな村です。
ラオスの米焼酎「ラオラーオ」造りで有名で、河畔でドラム缶を利用した酒の蒸留を実演しているのを見ることができます。
ルアンパバーンからパクウー洞窟へ行くメコン川の途中にあり、特に言わなくてもボートはここに寄ってくれるそうです。
- クアンシーの滝 (Tat Kuangsi)
- ルアンパバーンの南西25kmにある滝で、メコン川からは3kmほど山中に入ったところにあります。
細い滝が幾重にも線をなして流れ、滝壺も美しい滝です。
交通機関はないので、ルアンパバーンからトゥクトゥク(乗合の三輪自動車)などをチャーターして行くことになります。
ラオス北部各地
- バンビエン (Vang Vieng)
- ビエンチャンとルアンパバーンのほぼ中間点に位置する静かで小さな町です。
ナムソン川が流れ、中国の桂林を思わせるような独特の石灰岩の切り立った山が周囲に点在します。
特に観光スポットはなく、カヤックやタイヤのチューブに乗って川を下るチュービング、周辺のトレッキングが主なアクティビティになります。
1980年代からバックパッカーたちが集まるようになり、町には多くのホテルやゲストハウスがあり、現在も欧米人に人気の町です。
- ルアンナムター (Luang Namtha)
- ルアンパバーンの北北西150km、中国国境に近い町です。
バックパッカーたちが、ルアンパバーンと中国(雲南省)をつなぐルート上で、一時滞在できる拠点の町として人気になりつつあり、バスや国内線も発着します。
目立った観光スポットはありませんが、周辺には多くの山岳少数民族が暮らしていて、その生活が垣間見えます。
北西30kmにある山里のムアンシン (Muan Sing) や、南東130kmのタイ国境のメコン川に臨むファイサーイ (Huai Xay) がそのような村で、ルアンナムターから訪れることができます。
ラオス南部各地
- パークセー (Pakxe)
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ビエンチャンの南東450km、メコン川に臨むラオス第2の都市です。しかし人口は10万人程度です。
ラオスの南部観光の拠点となります。
- ワット・プー (Wat Phu)【世界遺産】
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パークセーの南40kmにある町チャムパーサック (Champassak) の南郊にある、5世紀にこの地を征服したクメール人が築いた古代ヒンズー寺院です。
カンボジアのアンコールワットと共通の建築様式があります。
男の宮殿と呼ばれる「北の宮殿」、女の宮殿と呼ばれる「南の宮殿」、牛の姿をした「ナンディン宮殿」があり、急な階段を登るとさまざまなレリーフが刻まれた「本殿」があります。
- コーンパペンの滝 (Khone Phapheng Falls)
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パークセーからメコン川を170km下ったところにある東南アジア最大の滝で、カンボジアとの国境が近くにあります。
高さ21mの規模ですが、こういう滝が川沿いに10kmにわたって続いています。
流れが速く、船の航行が困難で、下流と上流の間の水運はここで分断されています。
ラオスの観光地
ラオスの地図
タート・ルアン
(Photo by 日本アセアンセンター (c)ASEAN-Japan Centre)
パトゥーサイ
(Photo Vientiane, Laos by ronancrowley)
ワット・シェントーン
(Photo by 日本アセアンセンター (c)ASEAN-Japan Centre)
ルアンパバーン、朝の托鉢
(Photo by 日本アセアンセンター (c)ASEAN-Japan Centre)
パクウー洞窟
(Photo by 日本アセアンセンター (c)ASEAN-Japan Centre)
バンビエン
(Photo Elephant Crossing Hotel Room 3C Balcony View by Prince Roy)
ムアンシンの町
(Photo by 日本アセアンセンター (c)ASEAN-Japan Centre)
ワット・プー
(Photo IMG_5006 by kenner116)
コーンパペンの滝
(Photo Khone Phapheng Falls by Mr ATM)