バンクーバーと北西部(カナダの観光地 4)
カナダの西部は、ロッキー山脈が北西方向にアラスカ方面までのび、全般に山がちの地形です。
カナダの太平洋岸はアラスカが北から領域が伸びているため、広大なカナダの国土の割には短い海岸線です。
人口はこの地域唯一の大都市バンクーバーに集中しています。
この地域は太平洋の暖流の影響で、五大湖周辺よりも高緯度ながら比較的温暖で、降水も多い地域です。
18世紀頃からイギリスによる開拓が行われていましたが、19世紀中頃に金鉱が発見されてゴールドラッシュに沸きました。
以後、バンクーバーを中心に天然資源の輸出を柱にした産業が盛んになっています。
太平洋に面していることもあり、20世紀以降はアジア系移民も増えている地域です。
バンクーバーの西方から北西に延びる大きな島が、バンクーバー島 (Vancouver Island) です。
長さ500km、最大幅120kmの細長い島で、九州に近い面積を持ちます。
西岸は太平洋、東岸は北米大陸と隔てるジョージア海峡になっており、ジョージア海峡には多くの島が浮かんでいます。
カナダでは最も温暖な気候で、雨も多く原生林が島を覆っています。
バンクーバー
バンクーバー (Vancouver) は、カナダ太平洋岸の南端にある人口60万人の町で、周辺の町を合わせると200万人の大都市です。
町の西側は沖に広大なバンクーバー島が浮かぶジョージア海峡 (Strait of Georgia) で、穏やかな内海の地形になっています。
1792年にイギリス海軍のバンクーバー提督が探検したのが地名になっています。
19世紀は製材で栄え、19世紀後半の大陸横断鉄道開通や、1914年のパナマ運河の開業で、北太平洋の重要な港となりました。日本人や中国人の移民が多い町でもあります。
なお、市の南30kmにはアメリカとの国境があります。
- ダウンタウン (Downtown)
- バラード入り江 (Burrard Inlet) の出口付近に突き出した半島にあるバンクーバーの中心街で、碁盤目状の整然とした市街となっています。
北西から南東に向かって走るロブソン通り (Robson Str.) が目抜き通りで、デパートやホテル、ショップが集中しています。
1本北側のアルバーニ通り (Albarni Str.) には日本料理店や日系の土産物屋が集まっています。
- ギャスタウン (Gastown)
- ダウンタウンの北東部、バラード入り江に面する石畳の街路の一角です。
1867年にギャッシー・ジャック・デイトンという人物が酒場を開いた市の発祥地で、地区の名称に彼の名を冠しています。
20世紀に入って市の中心地区となり、1960年代に歴史的な重要性から当時の町並みに復元されました。
「ギャッシー・ジャックの銅像」や、蒸気エンジンで動き、チャイムで国歌を奏でる「蒸気時計」などのスポットがあります。
- チャイナタウン (China Town)
- ギャスタウンの南に隣接する中華街です。北米でサンフランシスコに次ぐ規模を誇り、中華料理や雑貨、漢方などの店が軒を連ねています。
明代様式の庭園のある「中山公園 (Dr.Sun Yat Sen Classical Garden)」があります。
- カナダ・プレイス (Canada Place)
- ギャスタウンの西、バラード入り江に突き出すように造られた白い帆船のような建物です。
1986年の万国博でカナダ館として造られたもので、現在は国際会議場として使われています。
会議施設の他に、巨大スクリーンのシネマ「CN IMAXシアター」があり、ホテル、レストラン、ショップなども集まっています。
海外の豪華客船が停泊する波止場にもなっています。
- スタンレー公園 (Stanley Park)
- ダウンタウンから北西に突き出す岬全体を占める400haに及ぶ広大な公園です。
森や湖、川などがあり、周囲10kmにわたって「シーウォール (Seawall)」と呼ぶサイクリング・コースが整備されています。
園内には7体のトーテムポールが並ぶ「トーテムポール・パーク (Totem Poles Park)」や、カナダ最大の「バンクーバー水族館 (Vancouver Aquqrium)」などがあります。
なお公園は先住民族の所有地で、政府が借り受けて市民に開放しているということです。
- グランビル・アイランド (Granville Island)
- ダウンタウンの南側に入り込んでいる入り江フォールス・クリーク (False Creek) に浮かぶ出島です。
入り江に架かるグランビル橋 (Granville Bridge) の真下にあり、かつての工業地域を再開発したエリアです。
多くのレストランやショップ、ホテル、映画館の他ビール工場などが集まっています。
- クイーン・エリザベス公園 (Queen Elizabeth Park)
- ダウンタウンの南6km、高さ150mほどの丘「リトル・マウンテン (Little Mountain)」にある広大な公園です。
市内で最も標高が高い場所で、バンクーバー周辺からカナディアン・ロッキーまで見渡せます。
かつての石切り場を造園した「サンクン・ガーデン (Sunken Garden)」は年間を通じで多くの花が咲き乱れる庭園として人気です。
- バンクーバー海洋博物館 (Vancouver Maritime Museum)
- ダウンタウンの南西、フォールス・クリークの出口付近の海岸にある海洋関係専門の博物館です。船の模型や航海道具、漁具などを展示しています。
1940〜1942年に北米の北極海沿岸を航海し、北極海のカナダの主権を世界に確立した歴史的な小型帆船「セント・ロック号」が見所で、ガイド・ツアーで見学ができます。
- ブリティッシュ・コロンビア大学人類学博物館 (Museum of Anthropology at the University of British Columbia)
- ダウンタウンの西10km、ジョージア海峡に突き出す岬近くにある博物館で、ブリティッシュ・コロンビア大学の構内にあります。
カナダ北西部の先住民族の日用品や武器、トーテムポールなど6千点をはじめ、多数の世界の民俗学的資料を展示しています。
- グラウス・マウンテン (Grouse Mountain)
- ダウンタウンの北15kmにある標高1250mの山です。1100mの地点に展望台があり、ロープウェーで登ることができます。
夏はハング・グライダー、冬はスキー場になります。
- カピラノ吊橋 (Capilano Suspension Bridge)
- グラウス・マウンテンの麓にある渓谷にかかる長さ137mの吊橋です。1899年に造られた市の名所で、谷底からの高さ70mに架かっています。
幅が狭く、風がなくてもゆれるためスリル満点です。
バンクーバー近郊
- ウィスラー (Whistler)
- バンクーバー北100kmにある北米最大のスキー・リゾートです。
ウィスラー山 (Mt.Whistler, 2182m) とブラッコム山 (Mt.Blackcomb, 2284m) の西側斜面に200以上のコースがあります。
「ウィスラー・ビレッジ」と呼ばれる中心街はホテルやレストラン、マーケットなどが集中します。
冬だけでなく、ハイキング、乗馬、ゴルフなど年間を通じて楽しむことができます。
ビクトリア
ビクトリア (Victoria) は、バンクーバー島の南東端にある島の中心地で、バンクーバー市の南110kmに位置します。
人口約7万人で、周辺人口を含めて約30万人の都市圏を形成しています。
先住民の土地だった地に、1843年にイギリスが要塞を造ったのが最初で、植民地時代にブリティッシュ・コロンビア州の州都が置かれて以来、その地位を守り続けています。
市の東方から南方はアメリカ領です。
- 州議事堂 (The Parliament Buildings)
- 市の中心部、ダウンタウン西の湾インナー・ハーバー (Inner Harbour) 近くにある議事堂です。
1897年に公募されたデザインで完成した重厚な建物で、中央に青銅のドーム、内部も大理石をふんだんに使った豪華なものになっています。
夜は美しくライトアップされます。内部の見学ツアーがあります。
- ロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館 (Royal British Columbia Museum)
- 州議事堂の東にある博物館です。1986年の開館で、州の自然や歴史、文化に関する資料を展示しています。
本来の姿で見えるように工夫した展示方法で注目されています。
- ビーコン・ヒル・パーク (Beacon Hill Park)
- ダウンタウンの南1kmにある公園です。
庭園や小さな動物園のある市民の憩いの場で、高さ39mの世界一とされるトーテムポールや、カナダを横断するハイウェイの起点である「0マイル」のプレートなどのスポットがあります。
南端は海岸で、海峡の向こうにはアメリカの山々が望めます。
- ブッチャート・ガーデン (Butchart Gardens)
- ダウンタウンの北20kmにある広大な庭園です。
セメント王といわれたロバート・ブッチャート氏が妻とともに1904年に石灰岩の採掘地跡に造園したものです。
くぼ地が花で埋め尽くされた「サンケン・ガーデン (Sunken Garden)」をはじめ、バラ園やイタリア庭園、日本庭園などがあります。
- ダンカン (Duncan)
- ビクトリアの北50kmにある町です。
先住民族の文化が色濃く残る町で、町中に80本のもトーテムポールが建っています。
先住民の歴史や生活道具を展示する博物館「カウチン文化センター (Cowichan Cultural Centre)」では名産のカウチン・セーターの製作過程も見ることができます。
- シュメイナス (Chemainus)
- ビクトリア北70kmにある小さな町です。
町おこしのため、地元アーティストが町中に33もの壁画を描いたことで知られています。
ナナイモ
ナナイモ (Nanaimo) は、ビクトリアの北北西100km、バンクーバー島の北東岸にある港町で、東70kmの対岸の本土にバンクーバーがあります。
バンクーバー島第2の町で、古くは炭鉱で栄えました。
19世紀頃の歴史的な建造物が町に点在しています。
毎年7月下旬に、対岸のバンクーバーまでモーターをつけたバスタブ(風呂桶)で海峡を横断するレースがあります。
- バスチョン砦 (Bastion)
- 港の中央に立つ八角形の建物で、町の歴史的なシンボルです。
1853年に当時の石炭会社が造ったもので、1階をオフィス、2階を兵器庫、3階を倉庫として使いました。
戦いの舞台になったことはなく、大砲も礼砲として使われただけです。現在は博物館になっています
- ニューカッスル島 (Newcastle Island)
- 港の北東1.5kmほどに浮かぶ小島です。州の海洋公園に指定され、リスやウサギ、シカなどの野生動物が生息しています。
フェリーで渡れ、発着所付近に案内所と博物館があります。島を1周するトレッキング・コースもあります。
カナダ北西部
- イエローナイフ (Yellowknife)
- エドモントンの北1000km、ノースウェスト準州の中央部にある人口2万人ほどの州都です。
19世紀に金が発見されてゴールドラッシュに沸き、1991年にはダイヤモンド鉱脈が見つかり、現在も鉱業の町となっています。
北緯62度にあり、オーロラが高確率で見える町として観光客が集まります。11〜3月がシーズンで、宿泊施設も整っています。
エドモントンからの国内線で行くことができます。
- フォート・スミス (Fort Smith)
- イエローナイフの南南東350kmにある小さな町です。
北緯60度で、ここもオーロラ観賞に適する町としてよく知られています。
エドモントンから国内線があります。
- ホワイトホース (Whitehorse)
- バンクーバーの北北西1500km、アラスカとの境近くにある人口2万人ほどのユーコン準州の中心の町です。
19世紀末に北500kmのドーソン・シティ (Dawson City) に金鉱が発見され、金を求めて集まる人々のために、南150kmのアラスカにあるスキャグウェイ (Skagway) からの山越えのための鉄道が敷かれました。
この鉄道は、現在は険しい山岳地帯を走る観光鉄道となっています。
<スキャグウェイはアラスカのページでどうぞ>
市内には、ゴールドラッシュ時代にユーコン川をドーソン・シティまで行き来した「蒸気船クロンダイク号 (SS Klondike)」の展示や、飛行機をそのまま風見鶏にした「世界最大の風見鶏 (World's Largest Weather Vane)」、かつてのユーコン地方の生活を再現した「ベリンジア博物館 (Beringia Centre)」などの見所があります。
ダウンタウンの北20kmには露天風呂の「タキーニ温泉 (Takhini Hot Springs)」があります。
また当地はオーロラの観賞地としても人気があります。
カナダの観光地